二階建てと平屋はどっちがいい?メリットデメリットの違いや間取りについて
注文住宅を建てるとき、まず二階建てと平屋住宅のどちらにするか迷いますよね。
せっかく新築するなら、家族にとって居心地のいい空間にしたいものです。
家づくりにおいてもっとも大事なポイントは、自分たちに合った家を選ぶこと。
二階建てと平屋には正反対の性質があるため、家族の人数やライフスタイルなどをふまえて考えることが大切です。
この記事では、二階建てと平屋住宅のメリットデメリット、間取りづくりのアイデアをご紹介します!
ぜひ素敵な新築住宅にするための参考にしてください。
このページの目次
一軒家なら二階建てと平屋どっちがいい?
家づくりのポイントは、自分たちに合った住まいのカタチを選ぶこと。
まずは二階建てと平屋について5つの項目を比較してみましょう。
販売価格・費用を比較
一戸建ての新築プラン建物価格は、同じくらいの広さの家であれば、平屋住宅のほうが高くなることが多いです。
理由は2つあります。
1つめは、基礎と屋根の面積のちがいです。
建築費用の割合の多くは、基礎工事と屋根工事が占めています。
平屋は、二階建てよりも基礎や屋根の面積が大きくなってしまうため、そのぶん建築価格は高くなります。
2つめは、建材コストのちがいです。
現在の日本で主流となっている“二階建て用”の建築資材は、ハウスメーカーが大量発注することでコストダウンをはかっているため、比較的安くすみます。
一方“平屋住宅用”の建築資材は、多くの在庫をもたないために割高となるケースが多く、それにより建築費用も割高になります。
総合的に比較することが大切
二階建て・平屋住宅どちらにしても、最終的な販売価格はさまざまな要因によって決まります。
平屋にはトイレは1つで十分ですが、二階建ての場合、一階・二階と2つトイレを設置するのであれば費用は上がります。
また、二階建てには階段を設置する必要もあるので必然的に階段費用がかかるでしょう。
建築会社・土地価格・性能・内装・外装によっても価格はどんどん変わるので、新築プラン価格が『土地+建物セット』の建売住宅以外は、総合的にみて比較することが大切になります。
必要な土地の広さを比較
延床面積(=一階・二階の合計面積)が同じ家ならば、平屋のほうがより広い土地を必要とします。
たとえば、延床面積100㎡の家を建てようとするとき、二階建ての家なら『50㎡を2つ重ねる』カタチになりますよね。
そうすると建築面積(=真上からみた建物の大きさ)は50㎡となります。
一方、平屋住宅は『100㎡を横に広げる』ことになるため、建築面積は100㎡です。
このため、平屋を建てるなら広い土地を確保しなければなりません。
エリア・土地によって必要な広さは異なる
家を建てるときは都市計画法の用途地域によって、建ぺい率(=敷地ギリギリまで家を建てられるか)と、容積率(=高い建物を建てられるか)が決まっています。
つまり、同じ敷地面積であっても建てられる家の大きさはエリアによって異なるということ。
とくに東京の狭小住宅地では、敷地ギリギリに高い建物を建てられるケースが多いので、日当たりのいい平屋にするならかなり広い土地が必要になるでしょう。
さらに、土地を購入するにあたって接道状況も重要です。
たとえば、敷地の入り口が2m未満の「旗竿地」とよばれる土地には、家を建てることができません。
また、幅員4m未満の狭い道路に面している土地は、自分の敷地を後退させる「セットバック」をおこなう必要もあります。
このような建築制限については、重要事項説明書にくわしく記載されています。
土地を購入してしまってから「思いどおりの家が建てられなかった…」と後悔することがないように、建ぺい率・容積率・接道状況は必ず確認しておきましょう。
プライバシー・生活環境を比較
二階建ての上階部分は外からの視線が入ることなく、靴音やちょっとした騒音が響かないためプライバシーが守られやすく、防犯面においても安心です。
だたし上下階の音は伝わりやすいので、足音や夜中のトイレ音などが響きにくい間取りづくりが必須になります。
一方、平屋は完全バリアフリーの家にすることが可能。
高齢者や子どもにとって、フラットな家は安全で暮らしやすい生活環境といえます。
さらに、平屋は高さがないぶん地震に強く、二階建てより耐震性は高くなります。
耐震壁を減らすことができるため、光と風が通り抜けるゆったりとした空間をつれるのも魅力の一つです。
ただし、一階に寝室をもうけることになるので、あらかじめ窓の位置などを工夫する必要があるでしょう。
家事のスムーズさを比較
家事動線は、階段のない平屋のほうが圧倒的にスムーズです。
家事動線をラクにするポイントは、
- 水まわりを1つにまとめる
- 洗たく機の近くにバルコニーをもうける
- クローゼットを同じフロアにつくる
平屋はこれらの条件をクリアしやすいので、二階建てよりも家事がラクになります。
部屋干し派の方は、洗面所の隣に日当たりのいいランドリールームをもうければ【洗たく→干す→取りこむ→たたむ】といった一連の流れがスムーズになりますよ♪
税金・費用を比較
家を購入すると支払う固定資産税は、土地・建物それぞれの資産価値によって決まります。
敷地面積が広く、屋根も大きい平屋は、資産価値が高くなることが多いです。
そのため、平屋のほうが固定資産税は高くなりやすいといえます。
しかし不動産評価額は、エリアや建物の構造によっても大きく左右されるため、『都心の豪華な二階建て』より『郊外のシンプルな平屋』のほうが固定資産税が安くすむケースもあります。
メンテナンス費用は平屋のほうが安い
家を建てたあとの、外壁のメンテナンス費用は平屋のほうが安いです。
二階建ては外壁の面積が平屋よりも広くなるうえ、高所作業をするための足場を組まなければなりません。
メンテナンス費用をおさえるためには『ひさしを深くして外壁を守る』『傷みにくい素材の外壁材を選ぶ』など、メンテナンスの頻度を少なくする対策があります。
二階建て・平屋のメリット&デメリット
二階建てと平屋のメリットデメリットについてもみていきましょう。
<平屋メリット>階段がないので負担がなく安全
平屋の最大のメリットは、なんといっても階段がないことです。
階段を上り下りする必要がないので、足腰に負担がかからず、転落の危険もなく安全です。
将来、自分たちが車いすを使うことになったときにも、バリアフリーの平屋なら建て替えや大きなリフォームも不要で、そのまま住みつづけることができます。
<平屋メリット>家事動線がマンションと同じ
ワンフロアでつながった平屋は、マンションのように家事動線がコンパクトにまとまるため、家の中をあちこち動きまわる必要がありません。
さらに、階段がないのでお掃除がラクなのも魅力的ですね!
<平屋メリット>家族の動きが見えやすい
ひとつの空間としてつながりのある平屋は、いつも家族の気配を感じることができます。
二階建ての場合、二階にいる子どもの様子は見えにくくなってしまいます。
とはいえ都度、階段を上るのはめんどうになり一階から叫んで声をかけることも多いでしょう。
その点ワンフロアでつながった平屋なら、直接声をかけられるので家族のコミュニケーションも円滑になります。
『子どもが今何をしているか』など見なくてもわかるのは安心できますよね^ ^
<平屋デメリット>とにかく広い土地が必要
平屋を建てるためには、かなり広い土地が必要です。
とくに東京の狭小住宅地は二階建ての家がほとんどなので、ある程度の敷地面積を確保しないと日当たりが悪くなってしまいます。
立地・広さ・価格をすべてクリアした土地探しの難しさは、平屋のデメリットといえます。
<平屋デメリット>プライバシーが保たれにくい
平屋は、寝室を含めすべての部屋が一階にあります。
そのため生活音や会話などが聞こえやすく、家族同士のプライバシーが保たれにくい一面も…。
また、洗たく物も一階に干すことになるので、通行人の視線が気になってしまうかもしれません。
<二階建てメリット>狭い土地でもスペースが確保できる
二階建てのメリットは、狭い土地でも広い居住スペースをつくれることです。
とくに、都心部では土地代の高さがネックになってしまうことが多いのですが、空間をタテに活かした二階建てなら希望どおりの広さの家が建てられます。
<二階建てメリット>プライバシー・採光が確保
上下階にわかれた二階建ては、家族間のプライバシーを確保しやすくなります。
とくに、自分だけの空間がほしい“思春期のキッズ”がいるご家庭では、二階建てにすることでお互いに心地よい距離感を保てるでしょう。
また、二階をリビングにすれば採光をたっぷり確保できるうえ、外からの視線をさえぎることができます。
<二階建てメリット>二世帯住宅にも向いている
二階建ては、アパートのように一階と二階で空間をわけることができます。
そのため、二世帯住宅にも向いているのです。
二階には自分たちが使う水まわり、一階には親世代が使う水まわりをそれぞれわけて設計しておくことで、お互い気を使わずに快適に暮らすことができるでしょう。
<二階建てデメリット>家事動線がめんどう
階段のある二階建ては、家事動線が複雑になります。
たとえば、一階に洗たく機があれば、衣類を干すために二階のバルコニーまで重たい洗たくカゴをもって階段を上らなければなりません。
反対に、二階に洗たく機があると干すのはラクになるのですが、朝の忙しいときに一階のキッチンで朝食づくりをしてから、洗たく機のある二階まで階段を行き来することになります。
それならば…とキッチンを二階にすれば、今度は買った食材を運ぶために階段を上ることに…。
さらに、そうじ機を持って階段を上り下りするのもめんどうに感じるかもしれません。
<二階建てデメリット>階段がつらい…
二階建てで暮らすうえで、階段の上り下りは宿命ともいえます。
子どもを抱っこしたまま二階に行ったり、体調が悪くても上り下りが必要になったりと、そんな階段生活に嫌気がさす可能性があるでしょう。
また、階段は高齢者や子どもにとって危険がいっぱいです。
高齢者が一階だけで暮らせる間取りにしたり、階段の入り口にベビーゲートを設置したりするなどの安全対策も必要となります。
二階建ての間取りにおすすめのアイデア5選
テレワーク専用部屋や子どもの遊ぶスペースなども確保しやすい広い二階建ては、やはり魅力的ですよね!
そこで二階建てにおすすめの間取りアイデアをご紹介します。
ぜひ自分たちに合ったこだわりの間取りを考えてみてください♪
高さを活かしたロフト
二階建ての高さを活かせる人気の間取りが、開放的なロフトです。
吹き抜け空間のデッドスペースを活かすことで、収納スペースなどを効率よく増やすことができます。
ウォークイン(ウォークスルー)クローゼット
家事動線が複雑になりがちな二階建てには、広々としたウォークインクローゼットをもうけるのがおすすめです。
とくに、ドアが2つあるウォークスルークローゼットはどちらの部屋からも出入りできるので、洗たく物をしまうときにも家事動線がスムーズになります。
家族の服がすべて収納できれば、タンスなしでスッキリ暮らせます。
間取りが統一された総二階
二階建てにおすすめなのは、一階と二階をまったく同じ広さにした総二階です。
建物に凹凸のない総二階には、たくさんのメリットがあります。
- 建築費用が安くすむ
- 建ぺい率・容積率を目いっぱい使える
- 構造的に安定するので耐震性が高い
- 外壁にコケが生えにくい
- 間取りにムダがなくなる
広さ・費用・耐震性・メンテナンス性にいたるまで、長く住むうえで重要なポイントをクリアした優秀な構造なので、ぜひ検討してみてください!
ビルトインガレージ
「愛車を雨風にさらしたくない」という方には、ビルトインガレージがおすすめです。
一階部分をくり抜いて駐車スペースにできるのは、二階建てならではの方法になります。
ビルトインガレージは、カーポートの設置スペースがない東京の狭小住宅でもよく取りいれられている人気のタイプなので、ぜひ気になる方は「ビルトインガレージ」で検索してみてください。
ベッドルームにもなる屋根裏部屋
二階の天井と屋根の間には、屋根裏部屋をつくることができます。
はしごを上った先の小さな空間は、大人でもなんだかワクワクしますよね!
もともとデッドスペースになってしまう余剰空間なので、収納スペースなどに有効活用するのがおすすめです。
屋根裏部屋で一人の世界に没頭したり、寝室のように使ったりするのもいいでしょう。
【番外編】平屋なのに2階建て?1.5階建てとは
フラットな平屋暮らしに憧れるけど、居住スペースが足りない…。
そんなお悩みを解決できるのが“1.5階建て”の家。
スキップフロアや中二階と呼ぶこともありますが、上のフロアと下のフロアをゆるやかに区切ることで延床面積を広くすることができます。
平屋の良さはそのままに、子どもの遊び場や書斎、趣味を楽しむスペースとしてコンパクトなプライベート空間が生まれます。
壁がなく開放的なので、子どもの様子に目が届きやすいのも安心ですね!
家族のコミュニケーションも大切にしながら、自由度の高いゆとり空間も確保できる…そんな1.5階建ては、まさにイイトコ取りの間取りです♪
二階建てと平屋の違い 二階建ての間取りにおすすめのアイデア 平屋には1.5階建てもおすすめ! 二階建ても平屋もどちらも魅力的ですが、自分たちのライフスタイルにあった住まいにすることが大切です。 平屋で快適に暮らせるのに「周りがみんな二階建てだから…」と無理に二階建てにすると、かえって高くつくこともあります。 迷ったときは、土地代もふくめて二階建て・平屋の両方のプランで見積もりをとることをおすすめします。 あなたが家づくりに成功し、幸せに暮らせることを願っています! 次はこちらの記事もおすすめです! 【ハウスメーカーランキング2021】売上・着工棟数・オリコン満足度別に徹底比較 まとめ
二階建て
平屋
価格・税金
割安
割高
プライバシー・採光
確保できる
確保しにくい
家事動線・安全性
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快適