中庭のある家の間取りと種類を紹介!メリット&デメリットや注意点も解説

おうち時間が増えたことで、プライバシーと開放感をあわせ持った「中庭のある家」が注目されています 。

「我が家も中庭を取り入れたいけれど、何をどうすればいいのかわからない…」そんなご家庭も多いのではないでしょうか。

中庭を見かける機会はなかなかないので、いろいろな疑問が浮かんできますよね。

この記事では、中庭のある家づくりに役立つさまざまな情報を、インテリアコーディネーターがお伝えしていきます。

良い点ばかり目を向けるのではなく、デメリットも把握したうえで検討しましょう!

 

中庭とは?

中庭とは、建物の壁や塀に囲まれた屋根のない外の空間のことを指します。

最近では、『パティオ』や『コートハウス』と呼ばれることもあり、耳にしたことがある人も多いのではないでしょうか。

家の中に木や芝生といった自然を取り入れることで、たとえ住宅地の中であっても開放感たっぷりの生活が送れるのが魅力。

日本の住宅における中庭は、4.5畳~6畳ほどのスペースが主流になっています。

スペースに余裕がない場合でも、小さな坪庭をつくれば採光や通風を確保したり、癒しの自然空間を演出したりすることができます。

 

 

中庭のある家の間取り種類

中庭のある家は、大きくわけて3種類。

敷地の広さや、中庭でどう過ごしたいかによって最適な間取りを選ぶようにしましょう。

 

コの字型の間取り

コの字型の中庭は、建物の中央部が凹んでいる間取りです。

開放感たっぷりで、リビングやそれぞれの部屋から中庭への出入りも楽になります。

3方向が壁に囲まれているため、外からの視線はもちろん、家族間のプライバシーも守りやすくなるのが利点です。

 

ロの字型の間取り

ロの字型の中庭は、建物の中心に中庭をもうける贅沢な間取りです。

全方向が壁に囲まれているため、外からは見えない完全プライベート空間にできるのが最大のメリット。

ただし、建物の形が複雑になるぶん建築コストは上がってしまうので注意が必要です。

ある程度広い土地を確保できる場合におすすめの間取りと覚えておきましょう。

 

L字型の間取り

L字型の中庭は、建物の角が凹んでいる間取りです。

外壁に囲まれた部分が2方向となるため、コの字型やロの字型と比べて周辺環境の影響を受けやすくなっています。

しかし、敷地を効率よく活かした中庭をつくることが可能なので狭小住宅にもおすすめできる間取りだといえるでしょう。 

 

 

中庭のある家のメリット

中庭のある家は、周囲が住宅に囲まれた場所であっても、開放的でのびのびとした生活を楽しめます。

ここからは、そんな中庭のある家の具体的なメリットをみていきましょう。

 

光や風が通りやすくなる

中庭のある家のメリットは、なんといってもたっぷりの採光と風通しの良さです。

中庭側に開口部が増えることで、日差しが届きにくい北側の部屋も明るくなります。

天気の良い日は、中庭に面しているすべての窓を開ければ、家の中のすみずみまで風が通り抜ける気持ちの良い空間を楽しむことができるでしょう。

 

プライバシーが保たれる

壁や塀で囲まれた中庭は、外からの視線が入りません。

そのため、家族のプライバシーがしっかりと守られるメリットがあります。

通行人や車、自転車に乗っている人の目線も避けることができるので、家族水入らずの時間も楽しめます。

中庭が、お子さまがプール遊びをしたり、トランポリンで運動不足を解消したりなど、他人の目を気にせずに自由に過ごせる場所となるでしょう。

リビングにカーテンがいらない生活は、とても開放的で居心地の良い空間になりますよ。

 

防犯面に優れている

中庭のある家は防犯面においても優れています。

中庭にある大きなテラス窓で採光性が確保されるので、道路側には人が侵入しにくい小窓のみを設置したり、思い切って窓をなくしたりすることも可能になるのです。

窓を開けても十分気持ちよく過ごせる季節に、窓を開けたまま安心して眠れるのはうれしいポイントですよね!

また、洗濯物を中庭に干すことで家族構成や生活パターンが外から分かりにくくなるので、空き巣侵入の抑止力にもなるでしょう。

 

家の中でも自然を感じられる

中庭のある家は、室内と外との距離が近いため、いつも自然を感じながら生活ができます。

四季折々の花を楽しむ庭づくりをしたり、夜はパジャマで外へ出て星を眺めたりと、ゆったりした癒しの時間を過ごせるでしょう。

都市部でも、家の中にいながら自然を満喫できる生活は、中庭の大きなメリットといえます。

 

家族とちょうどいい距離感で過ごせる

中庭のある家は、間取りに外の空間を挟むことになるため、家族とのあいだに適度な距離感が生まれます。

生活リズムの異なる二世帯住宅や、テレワークで集中したい時間帯がある、というご家庭にもピッタリ。

リビングや部屋がちょうどいい距離で保たれることにより、互いに穏やかでのんびりとした時間を過ごせるでしょう。

 

 

中庭のある家のデメリット

魅力がたっぷりある中庭ですが、いくつかのデメリットもあります。

中庭を作ることで生じるデメリットも理解し、それを心得たうえで住宅の中へ上手に取り入れることが大切。

ここからは、中庭がある家のデメリットについてみていきましょう。

 

建築・リフォーム費用が高くなる

中庭のある家は、凹凸のない一般的な家に比べて建築コストがかかります。

  • 建物の形が複雑
  • 外壁や窓が多い
  • 給排水設備、外構、照明が必要
  • 施工に手間がかかる

このような理由から、新築やリフォーム時には建築費用が上がってしまうと覚えておきましょう。

建築会社によって費用は大きく変わるため、複数の会社に見積りを出してもらい、建築費用を比較してみることをおすすめします。

 

窓が多く断熱性能が落ちやすい

中庭のある家は、窓や外壁が増えるため、家全体の断熱性が下がってしまいます。

室内の熱は、外壁から3割、窓やドアなどの開口部からは5割ほど逃げるといわれていることをご存じですか?

日本は四季がはっきりしている国なので、冬は寒く夏は暑い家になってしまった結果、冷暖房費がかさんでしまうのは避けたいですよね。

一年中快適に生活するためには、

  • 窓ガラスを二重、三重にする
  • 樹脂サッシを採用する
  • 断熱材を厚くする

など、断熱対策が必須になるでしょう。

 

水はけが悪くなることもある

中庭は壁や塀に囲まれているため、一般的な庭よりも水はけが悪くなる傾向があります。

とくにロの字型の中庭の場合、集中豪雨や大雨のときに、行き場を失った雨水が中庭にどんどん溜まってしまうなんてことも。

水はけをよくするためには、雨水がきちんと外部へと流れていくように勾配をつけたり、排水パイプを太くしたりなど、排水設備をしっかり整えることが必須になります。

設計の段階で、雨水の排水場所をしっかり確保しておくようにしましょう。

先述したように、中庭のある家は費用がかさむ傾向にある理由はこうした設備を整える必要があるためなのです。

 

居住スペースが狭くなる

中庭をもうけると、そのぶん室内の居住スペースが圧迫されることになります。

また、部屋から部屋への動線が長くなってしまうこともデメリットのひとつ。

とくにコの字型やロの字型の中庭は、向かい側の部屋へ行くためにぐるりと回り込まなければならず、間取りによっては生活が不便に感じてしまうことも。

せっかく素敵な中庭をつくったとしても、そのせいで狭く不便な家になってしまったら残念ですよね。

そうしたことを避けるためにも、必要な広さや部屋数はあらかじめ想定しておくようにしましょう。

そのときには生活動線について考えることもお忘れなく!

 

 

中庭のある家で後悔したエピソード&注意点

実は「中庭付きの家をつくったことを後悔している…」という人は少なくありません。

そこで、こちらの項目では中庭にまつわる後悔エピソードを紹介します。

中庭づくりを考えている方は、検討材料のひとつとして参考にしてみてください。

 

【後悔その1】土地が狭く理想の中庭が実現できなかった

多くの人が後悔してしまう理由のひとつとして、「せっかく土地を買ったのに、敷地が狭く思いどおりの中庭がつくれなかった…」ということが挙げられます。

とくに首都圏や政令指定都市のような人気エリアは土地の価格も高額なので、そもそも広い敷地を手に入れること自体が難しいケースもあります。

土地を手に入れたとしても、建ぺい率や容積率など、あらかじめクリアしておかなければならない問題もあるでしょう。

まずは理想の広さの中庭をつくれるかどうか、住宅会社や建築家とよく相談しておくことが大切です。

土地を購入するときの注意点

●理想の中庭が設計可能かチェック!
●庭を眺めることが目的なら、高級旅館のような小さな坪庭もあり

 

【後悔その2】虫・湿気に悩まされる

「虫が寄ってくるから中庭に出たくない…」と後悔している人もいます。

中庭は屋根のない外部空間のため、自然と共存することが大前提です。

どの場所であっても自然と近い距離で生活ができる点はメリットでもありますが、裏を返せば自然の中で生活している虫も発生するということ。

中庭の窓を開けていれば、対策をしていたとしても虫の侵入は避けられません。

そのため「虫が苦手…」という方は、虫に悩まされることも珍しくないのです。

また壁に囲まれた中庭は湿気がこもりやすくなるため、水たまりがなかなか蒸発せず、蚊が発生しやすい環境になってしまうことも。

対策としては外壁に通風用のすきまをあらかじめつくっておき、湿気のこもりにくい環境を整えるのがおすすめです。

虫・湿気を回避するための注意点

●排水設備を整備して、湿気対策を万全に!
●虫が寄ってきにくいハーブ系植物を育てる

 

【後悔その3】お手入れに時間がかかってしまう

私たちが思うより自然の成長スピードははやいもの。

そんな中で「子育てや仕事が忙しくて、中庭のお手入れが大変…」という理由も中庭を作った方からよく聞く後悔です。

中庭でガーデニングをする場合、植栽だけでなく雑草もぐんぐん生えてきます。

雑草はこまめに抜かないと伸び放題になってしまい、ほかの植物に影響を与えてしまうこともあります。

雑草の除去は想像以上に大変で、そうした庭のお手入れには時間がかかるもの。

お手入れに時間をかけないためには、床仕上げを工夫し、手間のかからない中庭を目指すとよいでしょう。

 

お手入れを楽にするための注意点

●シンボルツリーはお手入れが楽な1本を厳選!
●床仕上げは『人工芝』『タイル』『ウッドデッキ』『 コンクリート』がおすすめ

 

 

注文住宅におすすめ!中庭のある家アイデア5選

新築注文住宅で中庭づくりをするときは、間取りやデザインが自由なだけに、どうしたらいいか悩んでしまいますよね。

そこで、注文住宅におすすめな中庭アイデアを5つ紹介します。

中庭での過ごし方をイメージしながら参考にしてみてくださいね!

 

白いタイルを敷き詰める

(出典:高砂建設 建築実例)

【中庭×白タイル】は相性抜群の組み合わせです。

白いタイルの床が光を反射して、部屋をより明るく照らしてくれるのです。

洗練されたおしゃれな雰囲気の中庭にしたい人におすすめです。

 

二階建てテラスで開放的にする

中庭から、二階のテラスへ直接上がれる階段をつくるのもおすすめです。

二階建てのタテ空間を活かすことで、より開放感のある中庭に仕上げることができるでしょう。

二階テラスから室内に出入りできるようにしておくことで、さらにテラスの使い勝手が良くなりますよ。

広さを活かしたラグジュアリーな中庭をつくりたい人におすすめです。

 

お手入れ楽チンなコンクリート

(出典:crie style 建築実例)

中庭のお手入れを楽にしたい!という人は、コンクリートの床仕上げがおすすめです。

  • 水はけが良い
  • 湿気がたまりにくい
  • 虫がわきにくい
  • フラットな床面で作業がしやすい

など、メリットの多い実用的な中庭になります。

ガレージと中庭をコンクリートでひと続きにつなげれば、男前な【ガレージハウス×中庭のある家】にすることもできるでしょう。

 

ウッドデッキでプラベートガーデン

(出典:ソラマド埼玉 建築実例)

中庭の定番といえばウッドデッキの床。

木は熱伝導率が低いため、真夏の日差しの下でも熱くなりすぎずに快適に過ごせるでしょう。

ウッドデッキとリビングの床の高さをそろえ、フローリングの色を統一すると、つながりのある広々とした空間に感じられますよ。

家族の集まるアウトドアリビングとしてBBQをしたり、犬を遊ばせたり、のんびり読書をしたりなど、くつろぎの【プライベートガーデン】になること間違いなしです。

 

省スペースは玄関ポーチに中庭

(出典:KLASIC 建築実例)

都心部にある狭小住宅地では、「土地が狭くて中庭をつくる場所がない…」と悩まれる方も少なくありません。

【玄関ポーチ兼中庭】は、そんな狭小住宅地にもおすすめの省スペースアイデア。

思いきって中庭とつなげてしまうことで、玄関ポーチを広々と見せられる効果があります。

さらに、

  • 室内の間取りに影響しにくい
  • 中庭が玄関ポーチの絶妙なアクセントになる
  • 玄関から直接中庭に抜けられて便利

など、メリットも多いのです。

ガーデンテーブルとチェアや小物を置いて”魅せる中庭”として装飾を施せば、リゾート感があふれるおしゃれな雰囲気に仕上がるはずですよ!

 

 

まとめ

中庭のある家は、建物や塀に囲まれた極上のプライベート空間です。

明るく開放的な生活ができる反面、家の中に自然を取り入れるという特性上、断熱・排水対策や定期的なメンテナンスは欠かせません。

今回の記事のなかでもご紹介したメリットとデメリットを踏まえ、ご家族にとって居心地の良い、素敵な中庭づくりの参考にしてみてくださいね!

みなさまが長く住みよい住宅づくりができることを祈っています。