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建ぺい率(建蔽率)と容積率とは?計算方法や具体例など家を建てる前に知ろう

 2022/11/14 おうち作り
 

土地を購入する際に『建ぺい率』『容積率』という言葉を聞いたことはありませんか?

実は、家は私有地に建てるからといって、好きな大きさで建てられるわけではありません。

どんな家を建てようかと考えた時に、土地の広さに対しどれくらいの大きさの家を建てられるか知る必要があります。

周辺の街並みや住民同士の快適な暮らしやすさを守るため、さまざまな規制があるのです。

その代表格ともいえるのが『建ぺい率』と『容積率』。

制限を知らずに土地を購入すると、「思っていたより狭い家が建つことになってイメージ通りの家が建てられなかった…」と家づくりに失敗してしまう可能性もあります。

事前に決まりを知ることで、後悔のない家の完成を目指しましょう。

 

建ぺい率(建蔽率)と容積率とは

まずは、建ぺい率(建蔽率)と容積率について解説していきます。

 

建ぺい率(建蔽率)とは?なぜ決められているの?

建ぺい率とは、敷地面積に建てられた建物面積の割合のこと。

(建蔽率と書いて“けんぺいりつ”と読みます。以降は、建ぺい率と表記)

建物を真上から見た時に、敷地に対して建物が何%占めているかを表す数値です。

建ぺい率が分かることで、敷地内にどれくらいの大きさの建物を建てられるのか分かる目安の数値といえます。

理想の土地が見つかったら、無駄なく土地いっぱいに建物を建てたいと思う人もいるかもしれません。

しかし、建ぺい率の数値が高いと、近隣の家との間隔が近くなり、十分な陽光が室内に届かなかったり、風通しが悪くなってしまったりといった問題がでてきます。

互いに暮らしやすい住居を確保するためにも、法律で定められているということですね。

また、建ぺい率は地域ごとに制限がありエリアによってその%が違ってきます。

希望した土地が都市計画法に基づく用途地域の場合、その土地が住宅地域や商業地域なのかでも数値が異なるのです。

例えば、建ぺい率60%だと敷地面積100平方メートルに対し、建物の面積は60平方メートルの家が建てられるということになりますね。

一般的に敷地面積を超えた建物を建てることはできませんので、土地のエリアにもよりますが、建ぺい率は30%~80%内が多いようです。

住居系用途地域では建ぺい率が30%~80%が目安となり、商業系用途地域なら60%~80%が目安

このように住民が多く暮らすエリアでは、家と家の距離をとることで火災時の燃え移り防止などにも役立ちます。

 

建ぺい率(建蔽率)の調べ方

建ぺい率の調べ方は大きく分けて3つ。

  • 販売されている土地のチラシに掲載されている
  • 土地を販売している不動産に尋ねる
  • 市区町村役場へ問い合わせをする

これらどの方法でも建ぺい率を知ることはできます。

例外として、防火地域内にある耐火建築物と街区の角にある敷地(特定行政庁が指定する角地)は要件を満たせば、建ぺい率がそれぞれ+10%緩和されます。

例えば、通常60%の建ぺい率のところ条件が合えば、70%繰り上げるということ。

防火地域も都市計画法において定められているものなので、問い合わせする際は一緒に聞いておくことをおすすめします。

防火地域については、建ぺい率緩和方法の項目にて詳しく説明いたしますね。

 

建ぺい率オーバーするとどうなる?

一言で建ぺい率オーバーといっても、2つのパターンがあります。

1つめは、『既存不適格』。

既存不適格は、建築当時の法令には違反していないものの、年月がたち法改正で適合しなくなってしまったパターン。

これは、現段階で建ぺい率をオーバーしていても罪にはならず、住み続けることができます。

2つめは、『違法建築(違反建築ともいう)』。

こちらは、建築する際に建ぺい率と容積率ともに範囲内で申請したにも関わらず、申請後に無許可で追加増築や改築をおこなったことでオーバーしたパターン。

最悪、住宅ローンが組めなくなる可能性もあります。

その他、行政による是正指導に従わないとさまざまなペナルティを受けることになるので注意しましょう。

 

容積率とは

建ぺい率と一緒によく耳にする『容積率』とは、敷地面積に対し建物の延べ床面積が何%を占めているかを表したもの

延床面積とは、建物全フロアの合計面積を指します。

容積率が分かることで、建物内の収容人数の目安が分かるようになります。

例えば、2階建ての住宅や賃貸マンションなど、建物が高くなるほど延床面積の数値も増えるので、容積率は50%~1300%と幅広く設定されていることが多いです。

簡単に伝えると、その土地に対して何階建ての建物を建てられるかということ。

容積率を知るためには、延床面積を知る必要があります。

ここで注意したいのが、玄関・バルコニー・ロフトは延床面積に含められないこと。

その他、地下室やビルトインガレージについては、面積を割り引く緩和措置が設けられています。

容積率を設けることで、人口の密度を管理することができるのです。

仮に、容積率を高くし階数の高い家が密集してしまうと住民が増え、たちまち下水処理や道路混雑の問題に繋がってしまう可能性も。

住みやすい街を維持するためにも、容積率は重要です。

 

用途地域によって建ぺい率と容積率は決められている

都市計画法に基づき、用途地域にはそれぞれ建ぺい率と容積率の目安が設けられています。

用途地域 建ぺい率 容積率
住居系 田園住居地域 30~60% 50~200%
第一種低層住居専用地域
第二種低層住居専用地域
第一種中高層住居専用地域 100~500%
第二種中高層住居専用地域
第一種住居地域 50~80%
第二種住居地域
準住居地域
商業系 近隣商業地域 60~80%
商業地域 80% 200~1300%
工業系 準工業地域 50~80% 100~500%
工業地域 50~60% 100~400%
工業専用地域 家を建てられない 家を建てられない

より詳しく知りたい場合は、各市町村役場へ問い合わせすることをおすすめします。

また、上記の数値以外にも条件が合えば制限緩和措置の対象になることも。

建築制限については、後ほど詳しく説明しますね。

 

建ぺい率(建蔽率)と容積率の求め方・計算方法

建ぺい率の求め方はこちら。

建築面積÷敷地面積=建ぺい率

容積率の求め方はこちら。

延床面積÷敷地面積=容積率

どちらも難しい計算ではなく、簡単な数式なので覚えておくと便利ですよ。

 

建ぺい率50、容積率100の場合

仮に50坪の土地に建ぺい率50%、容積率100%の家を建てるとこのようなイメージになります。

引用:https://www.homes.co.jp/cont/iezukuri/iezukuri_00565/

 

建築面積25坪の狭小住宅にはなりますが、階数があることで暮らしやすい家を作ることは可能になりますね。

シンプルな構造の住宅は、耐震性にも優れ安定した家ともいえるでしょう。

 

建ぺい率(建蔽率)を緩和する方法とは

防火地域や準防火地域で耐火建築物の条件を満たした建物は、建ぺい率の緩和措置を受けられます。

防火地域・準防火地域とは、都市計画法において“市街地における火災の危険を防除するため定める地域”のことを指します。

また耐火建築物とは、建築基準法第62条に基づき、主要構造部分が耐火性能を満たし、かつ窓やドアに火災を遮る設備がある建物のこと。

防火地域内で耐火建築物もしくは同等の延焼防止性能のある建物は、建ぺい率が10%プラスされます。

また、準防火地域でも同様に条件を満たせば10%プラスされますね。

極端な話ですが、条件を満たせば敷地のほとんどを占める割合で、建物を建てることも叶うようになるのです。

 

建ぺい率(建蔽率)と容積率の具体的な例

一例ですが、100坪の土地で建ぺい率が60%、容積率120%の家を建てる場合、建ぺい率は100坪×60%=60坪となります。

敷地に対して、60坪までは建てても良いという計算結果になり、容積率は100坪×120%=120坪までが延床面積の上限となりますね。

もし3階建てを希望する場合は、ワンフロアの広さが40坪ほどある家が建てられることが分かります。

 

建ぺい率(建蔽率)と容積率が低い土地とは

一般的に建ぺい率は50%くらいが目安で、容積率は建ぺい率の2倍が望ましいといわれています。

その中でも、建ぺい率が30%などの低い土地も一部存在します。

特に、鎌倉など歴史ある住宅エリアや高級住宅、その他田園地帯は低く設定されているケースも。

建ぺい率を低くすることで、街の景観を守る役目の一つになるということですね。

その他、田園地帯は開発が進むにつれ建ぺい率の見直しで引き上げられることもあります。

容積率が低い土地の活用方法として、1階に比べて2階を狭くした間取りの家も見られます。

昔ながらの家に多いスタイルではありますが、現在は建ぺい率50%なら容積率は100%がベースの数字になることを覚えておきましょう。

 

建ぺい率(建蔽率)と容積率が高い土地とは

反対に、建ぺい率と容積率が高い土地は、制限が緩く建築物への自由度が高い土地といえますね。

もし、売買まで視野に入れているのであれば、建ぺい率と容積率が高い土地の方が、価格は高くなりやすいといえます。

ただし、建ぺい率と容積率の高い地域は人通りも多く交通量も多い傾向にあるので、静かな暮らしを望んでいる場合は不向きかもしれませんね。

 

一般的な住宅の建ぺい率(建蔽率)と容積率

前述したように、建ぺい率50%に対し容積率2倍の100%が一般的な2階建ての住宅です。

例えば、敷地面積100平方メートルの場合、ワンフロアの広さは50平方メートルですね。

仮に3階建てにした場合は、ワンフロアあたりの広さが狭まることになります。

もし、個性的なデザインの家を建てたい時は、1度専門家へ相談することをおすすめします。

 

建ぺい率(建蔽率)と容積率以外にある建築制限

住民の暮らしを守るため、高さを規制した法律は多くあります。

これらによって、快適な暮らしが守られているといっても過言ではありません。

新築を建てるときは、知識の一つとして知っておくことをおすすめします。

 

3-1.道路斜線制限

道路斜線制限とは、敷地に面する道路の反対側の境界線までの距離が1.25倍または1.5倍以下の傾斜勾配にしなくてはいけません。

図に表すとこちら。

建物の高さを制限することで、道路への日当たりや風通しを確保するのが狙いです。

ただし、道路から一定の距離だけ離れると制限は解除されます。

適用距離は、用途地域によって定められているので、事前に問い合わせすることがおすすめ。

また、容積率がクリアしても道路斜線制限がクリアできない場合は、高さのある建物は建てられないことも覚えておきましょう。

 

隣地斜線制限

隣地斜線制限とは、隣地に面した建物の高さが20メートルもしくは31メートルを超える部分についての制限を指します。

隣人宅の日当たりや通風など、互いに良好な環境を保つために設けられた制限で、敷地いっぱいに建築物を建ててしまうと、昼でも日が差さず、暗く湿った部屋になり健康を害する恐れも。

用途地域によって高さの制限が定められているので、高い建物を建てたい場合は、事前のチェックも忘れずに。

 

北側斜線

北側斜線の制限とは、敷地の北側隣接地の日当たりを確保するための高さ制限のこと。

用途地域では、低層住居専用地域や中高層専用住居地域、または、田園住居地域に該当するエリアのみに適用される制限です。

北側はどうしても日当たりが悪くなるので、制限を設けることで住みやすい街を確保しています。

 

日影制限

日影制限とは、冬至の日(12月22日)を基準に一定時間以上日影にならないよう、建物の高さを制限する規制です。

こちらもこれまで同様、用途地域によって制限の範囲が定められています。

例えば、第一種・第二種中高層専用住居地域では、建物の高さが10メートルを超えると規制の対象に。

ただし、日影については地域によって異なりますので、希望した土地が日影規制に抵触しているのか事前に確認しましょう。

ネットでも検索できるほか、役場へ直接問い合わせてみてもよいですね。

 

まとめ

建ぺい率と容積率について、詳しく解説いたしました。

建ぺい率は、敷地面積に対して建てられる建物の面積率のこと。

容積率は、敷地面積に対して建てられる建築物の延床面積を表したもの。

どちらも、住みやすい街や住民の暮らしを守るために定められた規制でしたね。

 

その他にも、さまざまな建築制限も紹介しました。

  • 道路斜線制限
  • 隣地斜線制限
  • 北側斜線
  • 日影規制

建物の高さを規制する決まりは多く、そのほとんどが都市計画法に基づく用途地域で決められています。

住みたい土地が見つかったら、まずは建ぺい率や容積率を調べるとともに、用途地域による制限も確認してみてはいかがでしょうか?

インターネットでも簡単に情報を知ることができ、そのほとんどが無料で調べることができます。

せっかく家を建てるなら、後悔のないようこれからも一緒に学んでいきましょう。

 

 

くれぐれも、マイホーム作りは慎重に…

 

 

この記事の監修:嵯峨根 拓未

所有資格:二級建築士、宅地建物取引士

 

 

 

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和田光代

和田光代

建築マニアなライター。
一眼レフ片手に旅行するのが趣味。

世代を超えて愛され続ける家とは?をテーマに
建築について勉強中です。

一戸建て、マンション、アパート、団地などへの7回の引っ越し経験から、
居心地の良い家づくりを提案します♪

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