新築マイホームの購入を検討するとき、必ず目にすることになるのが間取り図です。
平面図とも呼ばれるこの図面は、建物の配置を記したとても大切な図面です。
しかし、間取り図には専門用語や略語が使われていることも多く、正確に読み取ることができなければ思わぬ勘違いを引き起こすことも考えられます。
「家が完成して中を見たら思っていたのと違った・・・」
一生に一度の大きな買い物で、こんな失敗はしたくないですよね?
この記事では、間取り図を読み間違えて思わぬ失敗をしてしまわないため、間取り図によく使われる用語と略語をまとめました。
家を計画する参考にして頂ければと思います。
間取り図について、どのような図面かイメージできないという方は先にこちらの記事をお読みください。
この記事をより深くご理解頂けます。
間取り図によく使われる用語
業界用語とまでは言いませんが、間取り図には普段の生活で目にすることのない略語や用語がたくさんあります。
広く知られているものとしては「LDK」などがあります。
他にも、ドアや窓の種類など、間取り図を正確に見るために、ある程度用語や略語を知っておいてください。
LDK
LDKはリビング・ダイニング・キッチンの略で、日本語では居間・食卓・台所です。
部屋数を表す数字と組みあわせ、「2LDK」「3LDK」といった使い方をします。
結構勘違いしている人が多いのが、リビングを部屋数としてカウントしてしまうケース。
3LDKを【2部屋+リビング+ダイニング+キッチン】と思っている方が多いのですが、正しくは【3部屋+リビング+ダイニング+キッチン】です。
では、次のような間取りだとどうなるでしょう?
1階にLDKがあり、2階に4部屋あるので【4LDK】となります。
居室
居室とは、簡単に言うと日常的に過ごす部屋のことです。
具体的にはリビング・ダイニング・寝室などが居室に該当します。
洗面室・キッチン・トイレなどは居室と呼びません。
建築基準法上では、採光・換気・天井の高さ・排煙設備・仕上げ材といった制限がされており、居室は人が快適に生活をできるように、基準を満たした設計をしなければなりません。
ウォークインクローゼット
人が中に入り、衣服を出し入れできる広さのクローゼットのことをウォークインクローゼットと呼びます。
表記が長いので間取り図には『W.I.C』と略して書いてあることもあります。
納戸
先ほど居室で説明したように、居室には採光・換気・天井の高さなどの条件がありますが、それらを満たさない部屋のことを納戸と呼びます。
人が生活するには適した空間ではないので、主に倉庫や物入れとして使われます。
クローゼット・押入れ・物入れ
全て収納ですが、その用途によって呼び方が変わります。
- 衣類を収納→クローゼット
- その他の物を収納→物入れ
- 和室に設置された収納→押入れ
押入れは和室にある収納ということで差別化されていますが、クローゼットと物入れはあなたの使い方次第で呼び方が変わります。
間取り図に記載されている呼び方は、設計者が考える使い方で、クローゼットと記載されていても衣類を収納しなければならないということはありません。
同じく、物入れと書かれていても衣類を収納しても問題ありません。
設計者の意図は参考程度に、あなた好みの使い方をしてください。
土足のまま入れてベビーカーや自転車など、外で使うものを収納する空間をシューズインクローゼットと呼ぶことがあります。
建蔽率(けんぺいりつ)
土地には、建築基準法や都市の条例によって、面積の制限がされています。
空から見下ろした時の建物の面積のことを建築面積と呼び、土地に対して建築面積が占める割合を建蔽率(けんぺいりつ)と言います。
上の図のような土地60坪、建築面積30坪の土地と建物の場合、建建築面積が土地の50%を占めている状態です。
例えば、建蔽率が40%の地域であれば、上の図のような割合で建物を建てることができず、60坪の40%、つまり建築面積にして24坪までの建物が上限となります。
容積率
土地に対して設けられている制限には、建蔽率(けんぺいりつ)ともう一つ、容積率があります。
容積率とは、土地の面積に対する建物の床面積の割合のことです。
例えば、土地面積50坪、容積率80%の土地であれば、建物の床面積の合計が40坪までであれば建築できます。
建蔽率は建築面積、容積率は床面積です。
「土地を買ったけど、思うような家が建てられなかった」ということがないように、土地を購入する際には建蔽率と容積率を理解しておくことはとても大切です。
別の記事に詳しくまとめましたので、土地購入の前にお読みください。
北側斜線・道路斜線
家を建てるときは、高さに関する制限もあります。
北側斜線と道路斜線です。
こちらも建蔽率と容積率同様、建築基準法や都市の条例によって定められています。
地域によってはこれらの制限が厳しく、2階建てであっても高さの検討をしなければならないことがあるので、注意が必要です。
詳しい説明は省略しますが、その名の通り北から検討するのが北側斜線、土地が接している道路を基準に検討するのが道路斜線です。
図のような土地の場合、2階建てであれば建築可能範囲内なので問題なく建築できますが、3階建ては道路斜線制限をオーバーしてしまうため、建築することができません。
詳しく覚える必要はありませんが、土地には高さの制限があるということだけでも頭の片隅に置いて頂ければと思います。
接道方向
道路に接していない土地には家を建てることができません。
これは建築基準法で定められており、家を建てる土地には必ず道路が接しています。
道路が接している方向を接道方向と言います。
例えば、北側に道路が接しているのであれば、「北側接道の土地」とい言います。
接道方向は、間取り図を計画する際の玄関の位置などに大きくかかわります。
生活動線・家事動線
日常的な人の行動を想定した線を生活動線と呼びます。
生活動線の中でも、特に間取りを住みやすい物にするためには家事動線を意識することが大切です。
家事動線とは、家事をする際にどのように動くのかを想定した線で、主にキッチン周りの計画の際に使われます。
家事動線を意識し、洗濯機から干場までスムーズに移動できたり、使いやすいキッチン周りの配置を意識したりすることで、毎日の家事ストレスを軽減できます。
動線を考えるコツとしては、できるだけ動線同士がクロスしないことと、一筆書きに近い動線を意識すること。
この2つを意識すると無駄のない間取りにすることができます。
家事動線について詳しくはこちらの記事にまとめました。
吹き抜け(吹抜)
吹き抜けについては知っている方も多いと思いますが、1階の天井や2階の床がなく、上下階がつながったスペースのことを言います。
一般的にはリビングの上に設けられることが多く、開放的な空間を演出する効果があります。
しかし、仕切りが無いことで冷暖房効率が下がるといったデメリットもあります。
家相上も良くないとされているため、運気を気にする方は吹き抜けの計画は避けたほうがいいです。
家相について詳しくはこちらの記事を参考にしてください。
ドアや窓の種類
ドアや窓にも、開き方や大きさによってそれぞれ呼び方があります。
ドアの開き方はビジュアルと機能の両方に大きく関わりますので、必ず覚えておいてください。
引違い
一般的に「窓」と言われてほとんどの方が一番に思い浮かべるような、レール上を横に滑らせて開閉するタイプです。
両サイド2枚とも動かすことができます。
間取り図上の表記はどちらも同じなので、使われている場所によって判断しなければなりません。
片引き
引き違いは2枚の戸(窓)が動いたのに対し、片引きは1枚の戸(窓)を開閉します。
片側は壁になるので、テレビやカレンダー、インテリアグッズを壁に付けて配置したいけど、どうしてもここにはドアを配置しないと・・・という部分に使うと便利です。
両引き(引き分け)
両引き(引き分け)は、2枚の戸(窓)が1本のレールの上に戸や窓が設置されており、両サイドへ開く形態です。
大きく空間を開放することができるので、大きな物を搬入する出入り口に使用されることが多い開き方です。
片開き戸(片開き扉)
言葉で説明するのは難しいのですが、wikipediaでは、「1枚の戸(扉)を左右のいずれか一方に移動させることで開閉する形態」と記載されています。
ドアノブあり、それを引いて(押して)開く形態と言えばイメージしやすいでしょうか?
主に小規模な住宅の各部屋への出入り口や玄関に使用されます。
両開き戸(両開き扉)
先ほどの片開き戸が2枚つらなったもので、開放できる空間が片開きの2倍になります。
主に玄関に使用されることが多いです。
親子扉(親子戸)
両開きの戸(扉)と同様2枚の扉を引いて(押して)開閉するのですが、片方の扉がもう片方に比べて小さいのが特徴です。
主に住宅の玄関に使用されます。
折れ戸
クローゼットやお風呂、洗面室の入り口などに用いられることの多い戸で、開くときに真ん中または1/3の部分で折れて開く戸です。
掃出し窓
床の高さから頭の上までの大きな窓で、庭やサンルームといった、玄関を経由せず、部屋から直接外に出たい場所に設置する窓です。
腰窓
「窓」と言われて多くの方が一番初めに思い浮かべるであろう、窓の下枠が腰程度の高さ(90cm程度)からの窓のことです。
高さは床から2m程度とするのが一般的です。
スベリ窓(辷り窓)
縦スベリ窓(縦辷り窓)と横スベリ窓(横辷り窓)の2種類の窓があり、片開き戸のように開く窓のことをスベリ窓と言います。
両開き戸のように開く2枚のタイプのものは、両スベリ窓と呼ばれます。
はめ殺し窓(FIX)
日光を取り入れることだけを目的に設置される、開くことのできない窓のことを指します。
ルーバー(ジャロジー)
細長い何枚ものガラス(アクリル板)が重なってブラインドのように構成されており、ハンドルをくるくると回すことで開閉することができる。
簡単に外せてしまうので防犯性が低く、採用する場合は対策をしましょう。
オシャレですが、断熱性能が低いという弱点も持っています。
よく見かける略語
間取り図で見かける略語には次のようなものがあります
- 【R】・・・”Refrigerator”の略=冷蔵庫
- 【W】・・・”Washing machine”の略=洗濯機
- 【SH】・・・”Shutter”の略=ガレージなどのシャッター
- 【S】・・・”Service room”の略=納戸
- 【SB】・・・”Shoes Box”の略=靴箱
- 【PS】・・・”Pipe Space”の略=パイプスペース※1
- 【MB】・・・”Meter Box”の略=ガスや電気のメーターを設置する場所
- 【WIC】・・・”Walk In Closet”の略=ウォークインクローゼット
- 【CF】・・・”Cushion Floor”の略=クッションフロア※2
※1 パイプスペースとは、配管が通るためのスペースで、トイレなどの水回りの近くに配置されています。生活するうえで使用することのない空間ですので、あまり意識しなくても大丈夫です。
※2クッションフロアとは、ビニール製の床材で、主にトイレや洗面室といった水を使用する部屋の床に使用します。水分を吸収しないので、簡単に拭き取れ、掃除がとても楽です。トイレの床について、より詳しく知りたい方はコチラ。
まとめ
いかがでしたか?
間取り図でよく使われる用語や略語をご紹介しました。
これから家づくりを進めるなら、間取り図を見る機会は絶対にあります。
そしてそのとき、間取り図を正確に見ることができなければ、思っていたのと違う家が完成してしまう危険があります。
特に注文住宅の場合、完成してからしか実物を見ることができませんので、図面を正確に読み取り、図面から完成をイメージできる力を身につけてください。
この記事を参考に、間取りに失敗することなく最高の家づくりをして頂ければ幸いです。
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