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準住居地域とは?制限の内容と準住居地域に住むメリット&デメリットを解説

 2022/08/15 新築
 

「家の外観をこだわりたいけどこの地域では難しい」と言われた経験はありませんか?

  • 土地を持っているけど、用途規制がある
  • この土地は防火地域で思ったような家が建てられない

せっかく土地を持っていても、その地域地区や街の生活環境やルールを知らないことで損してしまうこともあるため、土地の規制や制限などを学ぶ必要があります。

家を建てることができる地域はさまざまですが、今回は『準住居地域』について紹介していきます。

この記事を読んで、準住居地域にはどんな規制や制限、メリットやデメリットがあるのかの情報を知っていただければ幸いです!

 

準住居地域とは?

準住居地域とは、一体どのような地域のことを言っているのでしょうか。

名前も聞いたことないという方もいらっしゃるかもしれません。

なので、今回は以下の2つのポイントについて触れながら準住居地域を紹介します。

  • 用途地域『準住居地域』について
  • 準住居地域で建築可能なもの

それでは、準住居地域について詳しく解説していきましょう。

 

用途地域『準住居地域』って?

準住居地域は、都市計画法によって定められている用途地域の1つ。

用途地域とは、都市計画において都市を住宅地、商業地、工業地などの種類に区分している地域のことです。

第一種住居地域や第二種住居地域といった他の用途地域に比べて、より多くの建物を建築することができる地域です。

そして、第一種住居地域は面積3000㎡以下の建物しか建てらませんが、準住居地域では1万㎡以下と定められており、大きな建物を建てることができるのです。 

用途地域については以下の表のように分けることができます。

用途地域
住居系 田園住居地域
第一種低層住居専用地域
第二種低層住居専用地域
第一種中高層住居専用地域
第二種中高層住居専用地域
第一種住居地域
第二種住居地域
準住居地域
商業系 近隣商業地域
商業地域
工業系 準工業地域
工業地域
工業専用地域

※各自治体のHPにて用途地域ごとに色分けされた都市計画図を見ることができます。

 

第一種住居地域についてさらに詳しくは以下の関連記事をご覧ください。

他の住居系の地域に比べて準住居地域は商業系の地域に最も近いため、比較的さまざまな建物を建てることが可能。

次に準住居地域で建てることができるものについて紹介していきたいと思います。

 

準住居地域で建てられるもの

準住居地域で建てることができるものは、以下の通り。

  • 居住用の建物(一戸建て住宅やマンション等の共同住宅、下宿など)
  • 図書館
  • 幼稚園・学校などの教育施設
  • 病院・老人ホーム
  • 店舗・事務所(床面積1万㎡以下のもの)
  • ホテル・旅館
  • ボーリング場やスケート場や映画館などの遊技場
  • 商業施設
  • 自動車教習所
  • 倉庫(倉庫業のもの)

上記に挙げたもの以外にも多岐にわたり、基準をクリアしていると建てることができます。

これらは第一種住居地域などでは建てられなかったものにも当てはまります。

このように用途に分けて建てることができるものとできないものがあるのです。

ちなみに、建築できないものとしては床面積が1万㎡以上の店舗・事務所・遊技場・基準を満たしていない工場などの物件が挙げられます。

 

準住居地域の制限

住居系の中でも『制限がゆるい』とされている準住居地域。

建築基準法などで定められた準住居地域の制限には以下の5つが挙げられます。

  • 建蔽率(建ぺい率)
  • 容積率
  • 道路斜線制限
  • 隣地斜線制限
  • 日影制限

この制限を設けることで、土地利用に応じた環境の確保が図れています。

それでは詳しく見ていきましょう。

 

建蔽率(建ぺい率)

建ぺい率とは、敷地面積に対する建築面積の割合のこと。

具体的には、敷地に対してどのくらいの家を建てることができるかということです。

建ぺい率は以下の式で求めることができます。

建ぺい率=(建築面積÷敷地面積)×100

建ぺい率は地域によって定められており、これをもとに建築面積を求めることができます。

準住居地域では、50%・60%・80%のなかで都市計画で定める値を守らなければなりません

敷地面積とは敷地面積の広さのこと、建築面積とは建物を上から見たときの面積で一般的に1階の広さのことを指します。

 

容積率

容積率とは、敷地面積に対する延べ床面積の割合のこと。

具体的にいうと、自分が持っている敷地に対して使うことができる空間の割合はどのくらいか?の指標です。

容積率は以下の式で求めることができます。

容積率=(延べ床面積÷敷地面積)×100

容積率は地域によって定められています。この式をもとに延べ床面積を求めることが可能。

準住居地域では、100%・150%・200%・300%・400%・500%のなかでその地域が都市計画で定める値を守らなければなりません。

延べ床面積とは1階と2階の床面積の合計を指します(ただし、バルコニーや吹抜け、ロフトなどは含まれません)

 

道路斜線制限

道路斜線制限とは、全面道路から一定距離までの高さ制限のことで、『適正距離』と『高さ制限』の2つがあります。

適正距離は容積率によって前面道路の反対側の境界から20m、25m、30m、35mと異なります。

高さ制限は、前面道路の反対側の境界からの距離×1.25で出た値の高さ。

特定行政庁指定区域の場合は1.25ではなく1.5と数値が変わります。

特定行政庁指定区域とは、建築基準法第56条に基づき建築物の各部分の高さの限度について、特定行政庁の指定による数値が適用される地域のことです。

 

隣地斜線制限

隣地斜線制限とは、『隣地の境界から一定以上の高さ制限』を意味します。

隣地射線制限があるならば、隣接する敷地の日照・通風・採光などを考慮して家を建てなければいけません。

適正な高さは、隣地境界からの距離×1.25+20mと式で計算することができます。

特定行政庁指定区域の場合は1.25+20mではなく、2.5+31mと数値が変わります。

 

日影規制

日影規制とは、『隣地にできる日影の時間制限』のこと。

この規制があることで居住環境を保護しつつ、日影の時間を一定限度に制限し日照などの環境を確保することができます。

日影規制には適用対象と測定面の高さと時間制限の3点があります。

  • 適用対象:高さが10mを超えるもの
  • 測定面の高さ:4mまたは6.5mを自治体が条例で指定している
  • 時間制限:2つの条件を自治体が条例でしている
    1.隣地境界から10m以内は4時間、10mをこえる場合は2.5時間
    2.隣地境界から10m以内は5時間、10mをこえる場合は3時間

準住居地域の日影規制は他の用途地域に比べて比較的緩やかな傾向にあります。

 

準住居地域のメリット

ここからは準住居地域に住むメリットについてご紹介。

比較的規制の緩い準住居地域には、多くのメリットがあります。

今回は紹介するのは以下の3つ。

  • 日影規制が緩やか
  • 生活の利便性が高い
  • 車を使う人は生活しやすい

それでは詳しく見ていきましょう。

 

日影規制が緩やか

準住居地域では、先ほど説明した日影規制が厳しくありません。

そのため、他の住居系の用途地域に比べて、より敷地を有効活用することが可能。

例えば、屋根の形状や高さなどを自分の理想のデザインにすることができるなどです。

また、住居環境が保護されているため、ガーデニングや庭で遊んだりBBQなどをすることができます。

ただし、隣地の方の家も同様に自由な形状の住宅を建てている場合もあるため、自分の家が影響を受けてしまう場合は、デメリットにもなりえます。

自分が家を建てようとしている箇所の近隣の家がどんな形をしているのかを事前にチェックするようにしましょう。

 

生活の利便性が高い

準住居地域では商業施設などを建築することが可能であるため、幹線道路沿いなど周辺に飲食店やガソリンスタンドなどもあるので、生活していく上ではとても利便性の高い地域

商業施設や遊技場などが周辺にあるため、休日に家族で遊びに出かけることも気軽にできるでしょう。

また、商業施設の他にも、病院や学校があるので子育て世代の人たちにとってはとても周辺環境の良い地域といえます。

歩いて行ける距離にさまざまな施設が揃っているため、ちょっとした買い物もしやすい環境なのは嬉しいですね。

 

車を使う人は生活しやすい

準住居地域には商業施設が建築可能な地域であるため、主要幹線道路が近くにある可能性が高いです。

車を使ってのお出かけや買い物がしやすいうえ、車の修理店等の自動車に関連する施設もすぐ近くにあるケースも多く、緊急時でも焦る必要がありません。

準住居地域では車を持っている家庭が多いこともあり、敷地面積と庭や駐車場の面積が広い家が多く建てられています。

また、家に車を止めても庭のスペースが広いので、家族が多人数家庭や大きな車を使う家庭であっても、車の乗降や荷物の積み下ろしを楽にすることができます。

その一方で、車の通行量の多い道路が通学路(スクールゾーンなど)となっているケースでは事故の危険性もあり、運転には注意が必要です。

 

準住居地域のデメリット

住みやすいと思われる準住居地域にもデメリットが存在するのが現実。

その中でも利便性が高いが故のデメリットを2つ紹介します。

  • 排気ガスや騒音が気になる
  • 住環境が変化する可能性が高い

それでは詳しく見ていきましょう。

 

排気ガスや騒音が気になる

前述したように準住居地域は近くに大きい道路があることが多く、車の通行量が多いです。

そのため、排気ガスが他の地域よりも多く環境悪化の懸念も。

また、近くに商業施設や遊技場などがある場合は、夜遅く騒音が発生することも考えられます。

今はなくてもこれから商業施設等の建築計画がある場合には、建築時の音や建設車の通行時の振動を感じることになります。

この振動などはかなり長期間となるので、神経質な方や音が気になる方は避けた方が良い地域だといえるますね。

 

住環境が変化する可能性が高い

さまざまな用途の建物が入り混じる環境がメリットでもある準住居地域ですが、そのメリットがゆえに、自分の住環境に影響を与えることも。

例えば、「買物がしやすいと思って家を買ったのに、商業施設が学校に変わってしまった!」など、地区計画の急な変更により予測できないような生活への変化もあり得ます。

ほかにも、建築の自由度が高いため、隣家の屋根の影響で日当たりが変わるなど、通常の住居地域に比べて環境が変化する可能性が高いことを許容していく必要がありますね。

反対に、自分の理想のデザインの家を建てたことで、近隣からのクレームを受けてしまう可能性もあるということになります。

家を立てる予定の土地周辺の状況を確認したり、隣人になる人はどんな雰囲気の人なのか事前に挨拶したり、家族と周辺を散歩したりすることで、その土地の雰囲気を知ることができ、その家には長く住んでいくため隣人の方々とより良い関係を築くことができますよ。

 

まとめ

今回は準住居地域についてさまざま側面から紹介してきました。

住居系の用途地域は準住居地域以外にもありますが、その中でも準住居地域は比較的規制が緩い地域です。

準住居地域に住んでいる方がどんな家に住んでいるのかを観察して、自分ならどんな家にしたいのかを想像してみましょう。

準住居地域はメリットやデメリットがありますが、最終的にどんな家を建てたいか、建てる家の周りの環境が自分と合っているかによってはとてもおすすめのエリアです。

自分や家族にはどんな地域が過ごしやすいのかを十分考慮した家づくりをして、より良い生活を送ってくださいね!

 

この記事の監修:嵯峨根 拓未

所有資格:二級建築士、宅地建物取引士

 

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TATU

不動産会社でアフターメンテナンス対応の仕事をしていました。
InstagramやYoutubeでインテリアや収納などを見るのが趣味な2児の父です!

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