注文住宅や外壁リフォームに使われる「サイディング」という外装材。
どんなものかよく分からない方も多いのではないでしょうか?
サイディングは、新築住宅の90%以上で採用されている外壁材で、工事価格が安く耐久性に優れています。
今回は、サイディングの基本知識をお伝えします。
ぜひ、外壁選びの参考にしてください!
サイディングとは?
サイディングとは、パネル式の外壁材のことで、工場で塗装された完成品を釘などで打ち付けて張っていくタイプの外壁です。
≪外壁の施工方法は2通り≫
- 湿式(しっしき)
職人さんが現場で材料を調合し、コテを使って塗り固めていく施工方法(モルタル外壁などの塗り壁) - 乾式(かんしき)
パネル状のサイディングを、釘や固定金具で張っていく施工方法
サイディングは、塗り壁のように手間暇がかかりません。
短い期間で施行でき工事価格も安いため、新築・リフォームともに外壁の主流となっています。
サイディングボードの特徴
サイディングボードには3つ特徴があります。
- 耐久性が高い
- デザインが豊富
- シーリングが必要になる
サイディングボードは、防水性や断熱性に優れていて、モルタル外壁よりもひび割れしにくいなど、経年劣化に強い特徴をもっています。
デザインが豊富で好みに合った外壁を選びやすいのも人気の理由。
またサイディング外壁は、サイディングボードを何枚も組みあわせて張っていくため、ボード同士のつなぎ目に1cmほどのわずかな目地ができます。
目地から雨水が侵入すると、外壁内部の腐食や雨漏りの原因になってしまうことも…。
そこで「シーリング材」というゴムのような充填剤で目地を埋める工事も必要になることを忘れないようにしましょう。
おすすめのサイディング(外壁材)の種類
注文住宅や外壁リフォームにおすすめのサイディングを4種類ご紹介します。
窯業(ようぎょう)系サイディング
窯業系サイディングとは、主にセメントと繊維質でつくられている外壁素材です。
耐久性・防水性などのバランスがいいため、新築住宅の約8割は窯業系サイディングが使われています。
タイル調やレンガ調といった柄も豊富なので、外壁のデザイン性を重視したい方におすすめ!
施工事例が多く、施工業者によって仕上がりに差が出にくい点も安心できるでしょう。
金属系サイディング
最近人気が高まっているのが、アルミなどの金属系サイディング。
「部屋が冷えてしまうのでは…?」と思われがちですが、断熱材と一体化されたガルバリウム鋼板(こうはん)も登場し、温かい家にすることができます。
また、断熱性だけでなく遮音性も高くなっているのが注目ポイントです。
シンプルなデザインが多く、スタイリッシュな雰囲気の外壁にしたい方におすすめ!
外壁リフォームでは金属系サイディングが一番人気ですよ。
木質系サイディング
木質系サイディングは、無垢材のサイディングです。
“木目調”ではなく本物の木を使用するので、周りと差がつくおしゃれな外壁を演出できます。
ただし、防火性が低く価格が高いデメリットもあるので要注意。
そのため木質系サイディングは、ワンポイントで使うのがおすすめです。
樹脂系サイディング
樹脂系サイディングは、プラスチック製のサイディングで、アメリカではポピュラーな外壁素材です。
凍害に強いため、日本では北海道などの寒冷地で使われています。
- 素材自体に顔料が練り込まれているので色あせない
- サイディング同士を重ねる施工方法なのでシーリングがいらない
など、メンテナンスが簡単なメリットも。
ただし、実績のある施工業者が少ないため、樹脂系サイディングを採用するときはあらかじめハウスメーカーや工務店に相談しましょう。
サイディング外壁の塗装方法やメンテナンス
住宅の経年劣化は避けられないものであり、サイディングも例外ではありません。
ここからは、サイディングの張り方やメンテナンス、塗装方法についてお伝えします。
張り方・質感は家のイメージに合わせる
サイディングは、張り方によってイメージが大きく変わります。
- 統一感のある家にしたい
1種類のサイディングを全面張りにする - モダンで安定感のあるイメージにしたい
2色のサイディングを上下で張り分ける - 個性的な家にしたい
質感の異なる2種類のサイディングを使う
このような張り分け方もあるので、家のイメージに合わせて選んでみてください。
また細かい部分にはなるのですが、厚さ14mmタイプのサイディングは釘を打ちつけて張る施工方法なので、じーっと見ると釘の頭が目立つことがあります。
一方、厚さ15mm以上のサイディングは下地に固定された金具に引っかけていくため、表面に釘が見えることはありません。(サッシまわりなど一部は釘打ちになります)
さらに、サイディングの厚みを活かした深彫りデザインも楽しめるので、外壁にこだわりたい方は15mm厚以上のサイディングがおすすめです。
年に一度は自分で補修チェック
外壁をいつまでもきれいな状態で保つには、早めのメンテナンスが有効です。
そこで、自分でできる補修のチェックポイントをお伝えします。
≪汚れ≫
表面についた汚れであれば、ブラシや高圧洗浄機で落とします。
ただし、サイディングに高圧洗浄機を使用する場合、柔らかいシーリング材の部分は避けてください。
- コケ
日が当たらない北側の面など、表面にコケなどが生えている場合、ブラシでこするか高圧洗浄機で落とします。このときも、高圧洗浄機は柔らかいシーリング材の部分は避けます。 - シーリング材の劣化
サイディングの目地を埋めているシーリング材が、凹んだりひび割れていたりしたらシーリングの打ち直しが必要です。放置すると、外壁内部に雨水が侵入する原因になります。 - 色あせ
外壁塗料が色あせている場合は、再塗装が必要です。塗膜によるコーティング効果が薄れている状態なので、外壁が傷みやすくなります。 - チョーキング現象
外壁を触ってみて、手にチョークの粉のようなものがついたら再塗装が必要です。外壁塗料が寿命をむかえたサインなので、放置すると外壁の傷みが急激に進んでしまいます。 - ひび割れ
外壁にひびが入っている場合、ひび補修と再塗装が必要です。放置すると、ひびの隙間から外壁内部に雨水が侵入する原因になります。ひびが大きく補修箇所が多い場合、サイディング自体を張り替える方法もあります。 - ゆがみ
外壁にゆがみがある場合、サイディング自体を張り替える必要があります。放置されたひびの隙間から雨水が入り込んで内側が湿気を含んだ状態になっているため、外壁内部の腐食や雨漏りの恐れがあります。
サイディングの状態は目視できるものが多いので、年に一度はチェックしましょう。
サイディングメーカーによる定期点検
サイディングは自己診断だけではなく、メーカーの定期点検も大切です。
プロの目で見て必要なメンテナンスのアドバイスを受けられます。
お住まいの立地や気候、条件などによって耐用年数や劣化の程度は変わりますが、一般的な外壁リフォーム時期の目安は次のようになります。
- 10年目:外壁塗装、シーリング
- 20年目:外壁塗装、シーリング
- 30年目:張り替え
家を建ててから、最低3回はリフォームが必要ということですね。
サイディングの寿命は約30年なので、将来のビジョンを踏まえたリフォーム計画が大切です。
サイディング補修の価格は?
サイディングの補修価格は、施工業者や家の大きさ、選ぶ外壁塗料の種類によっても変わります。
30坪=外壁面積120㎡の場合、費用相場は以下のとおりです。
外壁塗装&シーリング
- 費用相場:80~140万円
- 工事期間:約2週間
サイディングの再塗装方法は、新しく選んだ色で上塗りするケースが多いです。
新築時に選んだサイディングの色を残したい場合、クリア塗装で塗膜やツヤを復活させる方法もあります。
ただし、外壁の劣化が少ないなど条件があるので施工業者に相談してみてください。
サイディング張り替え
- 費用相場:180~250万円
- 工事期間:約3~4週間
サイディング張り替えは、一度外壁をはがすことで外から見えない傷んだ下地も補修できるメリットがあります。
「将来子どもや孫に家を譲りたい」など、長く住むことが前提であれば張り替えがベストです。
サイディング重ね張り
- 費用相場:120〜200万円
- 工事期間:約1週間
サイディング重ね張りは、現在の外壁をはがす必要がないので工事日数とコストをおさえることができます。
外壁が二重になることで、断熱効果や防音効果がアップするメリットも。
ただし、下地補修が不要であることが前提。
すでに雨漏りしていたり、外壁内部が傷んでいると診断されたりした場合、重ね張りはおすすめできません。
まとめ
サイディングは、日本の住宅で主流となっている外壁材です。
- 新築住宅のほとんどは窯業系サイディング
- 外壁リフォームは金属系サイディングが人気
- 木質系サイディングはワンポイントで取り入れるのがおすすめ
- メンテナンスが簡単な樹脂系サイディングもある
耐久性は高いですが、家を守るために定期的なメンテナンスは必須です。
サイディングの寿命は約30年なので、将来のビジョンやメンテナンス費用についてもあらかじめ考えておくことが大切といえます。
この記事を参考に、最適な外壁選びをしていただければ幸いです!
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