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耐震診断とは?必要な理由や構造別の診断の流れ&費用相場・注意点を解説!

地震大国と呼ばれている日本。

そんな日本では、今後も首都直下型地震や南海トラフ巨大地震といった、巨大地震が起こると予想されています。

そうした中、ご自宅の耐震性能について「築年数が古いから不安…」と、お悩みの方も多いのではないでしょうか。

そんな耐震性への不安を解消する方法が「耐震診断」です。

この記事では、耐震診断の基本から依頼時のポイントまで、宅建士がわかりやすくお伝えしていきます。

地震大国の日本で、今後も安心して暮らしていくために、ぜひ参考にしてください。

 

耐震診断の意味と必要な理由

地震は突然やってくるものです。

住宅倒壊のリスクを避けるためには、地震に備えてできるだけの対策をしておきたいですよね。

まずは、耐震診断とはどういうものなのか、耐震診断をするべき理由について解説します。

 

耐震診断とは?

耐震診断とは、既存建築物の耐震性能がどのくらいあるのかを調査することです。

国が普及をすすめている耐震診断の対象は、築40年以上のとくに古い建物。

専門の建築士が目視または機器を使って構造体をくわしくチェックし、地震による被害の程度を診断します。

【耐震診断の主な調査項目】

  • 地盤、基礎
  • 耐力壁の量
  • 耐力壁のバランス
  • 土台と柱の接合部
  • 劣化度

 

【木造住宅の評点】
◎ 1.5以上 倒壊しない
〇 1.0以上~1.5未満 一応倒壊しない
△ 0.7以上~1.0未満 倒壊する可能性がある
× 0.7未満 倒壊する可能性が高い

 

【耐震工事の一例】

  • 筋交いの設置
  • 耐震パネルの設置
  • 耐震金物の取付
  • 基礎の強化
  • 屋根の軽量化

耐震診断の結果は、数値化されたデータによって確認することができるので、現在の建物の耐震性能レベルを知る目安にもなります。

耐震診断の結果がよくなかった場合は、弱点を補うための耐震補強工事を検討しましょう。

補強工事をすることで、耐震性を高めることができますよ。

 

耐震診断が必要な理由

「建築物の耐震改修の促進に関する法律(通称:耐震改修促進法)」において、旧耐震基準の建物は、耐震診断や耐震改修を積極的におこなうことを推奨しています。

「旧耐震基準」とは、建築基準法が大幅に改正された1981年(昭和56年)5月31日以前の古い耐震基準の名称。

この旧耐震基準で建てられた建物は耐震性能が低いため、大地震で倒壊してしまうリスクが高いとされているのです。

実際に、阪神淡路大震災で倒壊してしまった住宅のほとんどが旧耐震基準だった、というデータもあるほどです。

一方で、1981年6月1日の建築基準法改正以降の新耐震基準は、震度6強~7程度の地震でも倒壊しない耐震性能をそなえています。

さらに、木造住宅に関しては2000年(平成12年)にも建築基準法が大幅改正され、より耐震基準が厳しくなりました。

 

つまり、

  • 1981年以前の建物(築40年以上)
  • 2000年以前の木造住宅(築20年以上)

これらの建物は、「いまの建築基準法による耐震基準を満たしていない、耐震性能が著しく低い建築物」ということになります。

地震から命を守るためには、自主的な耐震診断や耐震改修実施が必要といえるでしょう。

 

▶【関連記事】新耐震基準とは?耐震基準が重要な理由&旧耐震基準との違いや確認方法まで

 

 

耐震診断の流れと費用相場

耐震診断は、日本建築防災協会の発行するマニュアルに沿っておこなわれるのが一般的です。

ここからは、耐震診断の具体的な流れや費用の相場についてみていきましょう。

 

予備調査&現地調査

まずは、「予備調査」として建物の概要や図面などの書類をチェックします。

【予備調査で必要となる書類】

  • 設計図書
  • 検査済証
  • 構造計算書
  • 地盤調査資料
  • 確認申請書類
  • リフォーム履歴など

くわしい資料がない場合は、現地調査の費用が上がることもあります。

不備がないよう、必要書類はあらかじめ確認しておくようにしましょう。

 

予備調査後は、構造別に決められた耐震診断基準に沿って、専門の建築士が「現地調査」をおこないます。

一度、設計事務所に持ち帰って構造計算をおこなったあと、約2~3週間で「耐震診断報告書」や「耐震補強計画案」が提示されます。

耐震診断の結果や予算に応じて、耐震補強工事の内容を検討するようにしましょう。

 

耐震診断の費用は、構造の種類や診断法、業者によって異なります。

おおよその目安は以下のとおりです。

【耐震診断費用の相場】

  • 木造住宅:10万円~40万円
  • RC造・S造:30万円~200万円

 

【木造】一般診断:10~40万円

木造住宅の耐震診断は2種類あります。

ひとつ目の「一般診断」は、建物の外観、内観、床下、屋根裏を目視でチェックしていく調査方法です。

調査時間はおよそ2~3時間と、他の診断よりも短時間で終了するところがポイント。

また、一般診断は壁を壊さない簡易的な調査のため、費用を安くおさえることもできます。

ただし、壁の内側を調べることができないため、適切な補強計画をたてられない可能性も。

一般診断はあくまでも、「現在の耐震性を知り、耐震補強工事するかどうかを決めるための診断」と考えておくとよいでしょう。

 

【木造】精密診断:15~40万円

木造住宅の「精密診断」は、壁を破壊し、建物の内部まで詳しく調査する方法です。

  • 一般診断で「耐震補強が必要」と判断された
  • 雨漏り、シロアリの被害がある
  • 設計図書を紛失してしまった

このような場合は、精密診断をおこなうことで正確な耐震性を知ることができます。

精密診断にかかる時間は、半日~2日程度。

一般診断と比べて時間もかかり、費用も高くはなりますが、合理的な補強計画をたてられるようになるので、結果的に耐震改修工事費が安く済んだということもしばしば。

耐震化リフォームを考えているのであれば、初めから精密診断を受けるのがおすすめですよ。

 

【RC造、S造】第一次診断:30~200万円

RC造(鉄筋コンクリート造)やS造(鉄骨造)の診断方法は3種類あります。

第一次診断はもっとも簡易的な診断法で、耐震壁の量が多い建物を評価するときに用いられる診断方法です。

柱・壁の断面積とコンクリート強度から、おおよその耐震性能を算出します。

壁量を計算する診断方法のため、柱と梁で構成されたラーメン構造の建物には向きません。

 

【RC造、S造】第二次診断:1㎡あたり約2,000円

第二次診断は、「柱や壁など垂直部材によって耐震性能が左右される建物」を評価するときの診断方法です。

鉄筋の影響によるねばり強さをふまえて柱と壁の強度を評価し、耐震性能を算出します。

高度な計算が必要となるため、信頼性が高く公共建築物でも多く取り入れられている診断方法です。

 

【RC造、S造】第三次診断:1㎡あたり約3,000円

第三次診断は、もっとも難易度が高く、精密な診断方法です。

第二次診断にプラスαとして、梁(はり)の強度もふくめたうえで耐震性能を算出します。

おもに、高層建築物やS造の建物を対象とした診断方法です。

 

 

耐震診断を依頼するときのポイント

耐震診断を依頼するときには、注意すべきポイントがいくつかあります。

損をしたり、騙されてしまったりすることがないよう、しっかりと確認しておきましょう。

 

国土交通省が認めた講習の修了者にお願いする

正確な耐震診断をおこなうためには、構造に関する高度な知識をもった、実績と経験豊富な建築士であることが必須条件です。

依頼先は、国土交通大臣認定(登録耐震診断資格者講習)修了者がいる組合や建築事務所などを選ぶとよいでしょう。

  • 一般財団法人 日本建築防災協会
  • 自治体が派遣する木造住宅耐震診断員
  • 日本木造住宅耐震補強事業者協同組合(通称:木耐協)

これらの機関の講習を受けている建築士であれば安心して依頼できるといえます。

ただし耐震診断の数値は、建築士個人の考え方や、床下をすみずみまで調べる熱意があるかどうかによって、多少なりとも差が出てしまうのも事実。

耐震性は命に関わる重要な問題なので、耐震診断、耐震補強計画をお願いする建築士は慎重に選ぶようにしましょう。

 

解体後に耐震計画を見直すこともある

耐震補強工事実施にあたり、途中で耐震計画を見直さなければならないことがあります。

  • 壁内部が予想以上に腐食していた
  • 図面ではあるはずの部材がなかった

こうしたケースは、解体してはじめて発覚することだからです。

当初の耐震計画を一から見直し、変更や追加工事をしなければならないということも十分あり得るもの。

耐震改修工事を実施するときは、想定外の事態が発生する可能性を念頭におき、耐震改修工事費や工事期間をあらかじめ多めに見積もっておくとよいでしょう。

 

住宅ローン控除に必要な『耐震基準適合証明書』をもらう

築年数の古い中古住宅を購入するときは、「耐震基準適合証明書」をもらっておくことで、住宅ローン控除を受けることができます。

耐震基準適合証明書とは、耐震診断をした結果、一定の耐震性能があることを証明する書類のことを指します。

ただし、住宅ローン控除の対象となるのは、”売主が取得した適合証明書”のみ。

つまり、引き渡し前に耐震診断をおこない、耐震補強工事まですませておかなければなりません。

耐震診断や工事のタイミングを間違えると、損をしてしまうので注意するようにしましょう。

中古物件を買ってリフォームをするときは、売主や仲介業者だけでなく、耐震基準適合証明書にくわしい耐震改修事業にも相談しておくことをおすすめします。

 

補助金制度を調べておく

一定条件を満たした耐震診断や耐震補強工事をすると、自治体から耐震改修補助金がもらえる制度があります。

補助金の範囲や申請条件は自治体ごとに異なるので、あらかじめお住まいの市区町村で確認しておくようにしましょう。

今回は、東京都江東区を例にご紹介していきます。

~東京都江東区の例~

【補助金額】

  • 耐震診断…全額(上限15万円
  • 耐震補強工事…費用の1/2(上限150万円

 

【補助金の対象となる主な条件】

  • 昭和56年5月31日以前に建築されたものであること
  • 在来軸組工法かつ2階建て以下であること
  • 区に登録された木造住宅耐震診断士が行うもの

参考:東京都耐震ポータルサイト 令和3年度 区市町村の耐震化促進事業に係る助成制度一覧

注意したいポイントは、耐震診断を依頼した設計事務所が、その市区町村でおこなわれている講習を受けていない場合、補助金がもらえないということ。

すでに耐震診断を受けてしまった場合や、耐震補強工事をする段階になって「実は耐震改修補助金の対象外だった…」と発覚するパターンも実は多いのです。

新築やリフォームはそもそもが高額なものなので、補助金を確実に受け取るためにも、自治体のホームページを確認し、窓口で相談したうえで申請するのがおすすめですよ。

 

【要注意】『耐震リフォーム済み』という言葉

中古住宅を購入するとき、「耐震リフォーム済み」という言葉が魅力的に感じたことはありませんか?

しかし、この言葉に惑わされてはいけません。

耐震補強工事は、正確な耐震診断と的確な耐震補強計画があるからこそ、おこなう意味があります。

残念なことに、耐震診断の資格をもたないリフォーム業者が、的はずれな耐震補強工事をおこなっているケースがあるのも事実。

それを知らずに、別の業者が売買時の住宅診断で、「耐震リフォーム済み」と記載してしまうこともあるのです。

良い中古物件を購入するためには、リフォームしたときの耐震診断報告書や耐震改修実施時の図面など、くわしい工事内容がわかる資料を確認させてもらうようにしましょう。

 

【要注意】耐震性に問題がないのに追加工事を提案する業者

耐震補強工事は、基本的には建物の耐震性能に問題があるときにおこなうものです。

しかし、耐震診断の結果が良かったにもかかわらず、「すぐに工事しないと危険です!」と不安をあおり、追加工事をすすめてくる業者もいます。

行政と連携していない耐震改修事業者や、リフォーム業者が無料でおこなっている耐震診断にはとくに注意しましょう。

そもそも耐震診断は、ホコリだらけの床下や天井裏といった狭いところを這うようにして入り込み、筋交いや金具の有無をこまかく調査しなければなりません。

それに加えて、耐震補強工事にはこまかい構造計算も必要なので、無料でやるには割に合わないほどの手間がかかるものなのです。

業者側の利益目的だけのために、床下をチラッとのぞくだけのチェックをし、不要な耐震補強工事をすすめてくる業者にはくれぐれもお気をつけください。

業者を冷静に判断するためには、

  • 国土交通省が認めた講習を受けた建築士かどうか
  • 耐震補強計画案の根拠

など、しっかりと話を聞くことが大切です。

納得できる回答がなければ、複数の業者に見積りを依頼し、少しでも不信感を抱いた業者には頼まないようにしましょう。

 

 

まとめ

耐震診断は、大地震から身を守るための第一歩です。

  • 築40年以上は耐震診断を受けよう
  • リフォーム前提なら精密診断を
  • 構造にくわしい建築士に依頼する
  • 補助金、住宅ローン控除の条件を確認
  • 怪しい業者に要注意

これらのポイントをおさえて、地震に強い住まいづくりをしましょう。

この記事が、正しい耐震診断を受けるための参考になれば幸いです。

 

 

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ライター紹介 ライター一覧

嵯峨根 拓未

嵯峨根 拓未

所有資格:二級建築士、宅地建物取引士

初めての不動産購入や売却はわからないことだらけだと思います。
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