土地や中古住宅などの不動産を探しているときに「私道負担」という言葉を見かけたことはありませんか?
「私道負担ってどういうこと?」「購入者的にマイナスなことがある?」と疑問が過ぎりますよね。
物件情報に「私道負担」という表記がある場合、私道に関する条件があるため購入するときには注意が必要です。
この記事では、私道負担とは何か、注意しなければならない点、メリットやデメリットを解説します。
私道負担の正しい知識を身につけて、不動産売買の検討材料にしてください!
私道負担とは?
私道負担とは、「土地に私道部分が含まれていること」を意味する言葉です。
わかりやすくいうと「100㎡の土地面積のうち、〇〇㎡は道路として提供する」ということになります。
私道負担つきの土地とは?
土地の一部を道路として提供する理由はいくつかあります。
購入を検討する土地がどのタイプの私道負担になるのかを認識しておきましょう。
一部を私道として共有しないといけない土地
上図のように、地主や不動産会社が所有する土地を分けて販売する時に、道路を作ることがあります。
作った道路は公道ではなく私道となるため、周囲の家と所有権を共有して私道負担をすることになります。
セットバックしないといけない土地
所有する土地の前の公道の幅が4mよりも狭く、2m以上公道に接していない場合は、建築基準法の「接道義務」を果たしていないとみなされ、家を建てることができません。
接道義務を果たすため、敷地の一部を道路として提供し広くする「セットバック」が必要になります。
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私道負担のある土地を購入するメリット・デメリット
所有している土地の一部を提供しなければいけない私道負担の土地。
購入を検討するさいには、どのようなメリットやデメリットがあるのかを把握しておきましょう。
メリット:あくまで私道は所有者のもの
「私道」という言葉の通り、あくまで私道は所有者のものとなります。
そのため、所有者の許可がない人は通行を禁止する、通行料を課すなどといった私道の通行ルールを策定することが可能です。
そういったルールを策定することで、私道を閑静で安全な道路にすることができます。
また、たとえば第三者が私道の奥の土地に建物を造りたい場合は、工事を進めるために私道の所有者に許可をとる、承諾料を支払うといったケースもあります。
メリット:売却益が得られるケースがある
私道は所有者の持ち物であるため、土地を売却する時には、私道の部分の売却益も得ることができます。
ただし、私道がついていることに気がつかずに、敷地部分のみを売却してしまうというケースもあるようです。
デメリット:固定資産税など税金がかかる
私道は、原則として個人の所有物とみなされるため固定資産税が発生します。
建物が建てられない場所なのに、固定資産税を払わなければならないのは、損な気分になりますよね。
そのため、国税庁は「公共の用に供するもの、たとえば、通抜け道路のように不特定多数の者の通行の用に供されている場合」においては、課税対象から外すとしています。
- 道路幅が1.8m以上
- 道路の両端が公道に接続している位置指定道路
- 不特定多数の人に利用されている
条件に当てはまり、公衆用道路と認められた私道については固定資産税がかからない可能性があることを把握しておきましょう。
デメリット:所有者トラブルになることがある
前述したメリットで、許可や通行料を策定できるとお伝えしましたが、道路で
ある以上、通行権をめぐって近隣住民とトラブルになることも珍しくありません。
なかでも、複数人の共有名義の場合は、意見が割れた時にトラブル解決に向けて時間と労力を費やすことになる可能性も考えられます。
デメリット:インフラ整備の負担
公道の道路や上下水道などのインフラ整備は各自治体が行いますが、私道の場合は原則、所有者が費用を負担することになってしまいます。
私道所有者以外の人が許可なく道路を直したり、水道管を修復したりするなどのインフラ整備はできません。
共有名義の私道である場合は、所有者全員の同意と費用負担が必要となります。
私道負担のある土地なの?確認する方法
購入したい土地や、すでに所有している土地が私道負担のある土地であるかどうかを確かめるにはどうすれば良いのでしょうか。
私道負担を調べる3つの方法をお伝えします。
公図→地番→区役所で確認
私道負担のある土地かどうかを調べる時は、まず「公図」を確認することから始めましょう。
公図とは、土地の境界線や建物の位置を示した地図のことで、土地の大まかな位置や形状を確認することができます。
- 公図を利用して「地番」があるかを確認
- 地番から戸籍謄本の内容を見て、所有者が個人か確認
- 区役所で「道路」として認定されているか確認
個人が所有している場合は、私道の可能性が高いです。
現地に出向いて確認
現地に出向くことで、私道かどうか見分けることができるケースもあります。
見るポイントは「下水道マンホール」。
公道・私道どちらの場合でも、上水道とガスは市区町村や公益企業の負担で設置するため、マンホールも企業のデザインを用います。
公共道路の場合は、下水道のマンホールは、各市区町村のさまざまなデザインのものが用いられています。
しかし、下水道は私道の所有者が設置するため、マンホールの蓋が無地であることが多いので、デザインで見分けるのも良いでしょう。
不動産会社に私道負担面積を確認
契約する前の不動産会社と商談が進んだ時点にはなってしまいますが、不動産会社が作成する「重要事項説明書」で確認することができます。
これは、説明しなければいけない義務があるので、対象不動産の購入者から質問しなくても知ることが可能。
契約目前まで進んでいる場合は、「私道に関する負担等に関する義務」という項目を確認し、土地に私道がないかを確認しましょう。
まとめ
私道負担のある土地には、ほかの土地にはないメリットとデメリットがあります。
この記事で紹介した内容を頭に入れて、近隣トラブルや、リスクに備えるようにしましょう。
購入する土地に私道が含まれている場合は、納得がいくまでとことん説明を受けることが大切です。
私道負担についてしっかり理解して、土地所有者になることを目指しましょう。