一戸建て・マンションの固定資産税はいくらかかる?相場や計算方法を解説

一戸建て、マンションの購入をする際、『固定資産税はいくらかかるのかな…』と気になるところですよね。

固定資産税は、車の税金と同じように毎年支払わなければいけない維持費のようなもの。

住宅購入をすれば必ずついて回るので、固定資産税がいくらかかるのかしっかり把握することが大切になります。

 

そこで今回は、固定資産税の基礎知識と、だれでも簡単にわかる概算の計算方法について解説します。

固定資産税額がいくらか知って、安心して新生活をスタートさせましょう!

一軒家固定資産税の基本知識

そもそも固定資産税とは、どのような税金なのでしょうか。

まずは、固定資産税の基本についておさえておきましょう。

 

課税対象

固定資産税は、すべての土地・建物を対象に課税されます

不動産があるエリアの市区町村(自治体)に支払う、いわゆる「地方税」です。

一戸建て・マンション問わず、不動産を購入すると必ず固定資産税が課税されることになります。

 

支払い対象者

固定資産税の支払い対象者は、1月1日時点の不動産所有者です。

たとえば、あなたが1月2日に土地を購入したとしても「1月1日時点で所有者だった人」が、その年の納税義務者となります。

とはいえ実際には、引き渡し日以降の分については日割り計算をして買主が負担することになるケースがほとんど。

その際は「清算金」として、固定資産税の負担割合分が購入価格に上乗せされることになります。

 

なお、共有名義の不動産のときは代表者1人に納税通知書が送られるので、共有者同士で清算をすることになります。

 

支払額

固定資産税の支払額は、土地と建物に分けてそれぞれ計算します。

固定資産税率は、不動産評価額の「1.4%」が原則

ただし、ごくまれに1.4%以外の税率を採用している自治体もあるので市区町村のホームページで確認しておくとよいでしょう。

土地家屋についての不動産評価額は、3年ごとに「評価替え(=価格の見直し)」をしています。

 

土地の固定資産税支払額

まず「おおまかな固定資産税を知りたい!」という人向けなのが、以下の簡易計算式です。

土地の固定資産税 簡易計算式

土地の購入価格×0.7×1.4%

これが、自分でおおまかな固定資産税を計算するもっとも簡単な方法です。

 

そもそも不動産には以下の4つの価格が設定されており、固定資産税を計算するときは「固定資産税評価額」を使うことになります。

  • 実勢価格(公示価格とほぼ同じ)
  • 公示価格(すべての基準となる価格)
  • 相続税評価額(公示価格の80%)
  • 固定資産税評価額(公示価格の70%)

固定資産税評価額は、公示価格のおよそ70%が目安とされています。

その公示価格と、実際の取引価格である「実勢価格」の金額は、ほぼ同じ。

つまりこれを利用して、実勢価格の7割の価格に税率1.4%をかけることで、購入価格からおおよその固定資産税額を計算することができるのです。

 

正確な土地の固定資産税を求めるときは、以下の計算式となります。

課税標準額×1.4%

「課税標準額」とは、固定資産税評価額をもとに、

  • 土地が高騰したときに急に税額が上がらないようにする『負担調整率』
  • 土地の形状などに応じて不動産の価値を再計算する『補正率』

など、さらにこまかく計算されている額のことです。

この課税標準額を知るためには、役所の税務課などに保管されている「固定資産課税台帳」を閲覧して、確認することになります。

 

建物の固定資産税支払額

建物部分の固定資産税についても、土地と同じように【購入価格×70%】を概算の固定資産税評価額とし、おおよその固定資産税を計算することができます。

[su_box title=”建物の固定資産税 簡易計算式” box_color=”#e7fefc” title_color=”#4c88fa”]

建物の購入価格×0.7×1.4%[/su_box]

新築住宅は、家が完成してからでないと建物の査定をすることができません。

そのため不動産会社に聞いても、だいたいの固定資産税しか伝えることができないのが実情です。

 

中古物件を買うときはすでに建物部分の評価額が確定しているので、役所で固定資産税課税台帳をチェックし、以下の計算式に当てはめれば正確な固定資産税が分かります。

固定資産税評価額×1.4%

 

※ちなみに、建物の固定資産税評価額を決める評価方法については、ほとんどの自治体で「再建築価格方式」を採用しています。

計算式は以下のとおり。

単位当たり再建築費評点×経年減点補正率×床面積 ×評点1点当たりの価額

かなり複雑な計算式になっていますね。

簡単にいうと『今の物価で同じ建物を建てるとどのくらいの建築費用がかかるのか』を計算し、さらにそこから『経年劣化を考慮した分』を差し引いて、現在の家屋の価値を求めるというもの。

個人で算出するのは不可能に近いのでこまかく覚える必要はありませんが、【建築費用-経年劣化】という要素で建物の価値が決まっていることは頭の片隅に入れておくとよいでしょう。

 

納付開始日・毎年の納付月

固定資産税の納付は、不動産取得日の翌年からスタートします。

納付月は≪毎年6月・9月・12月・翌2月≫の全4回で、一括支払いでもOKです。

毎年4~6月に市区町村から「納税通知書」が送られてくるので忘れずに支払いましょう。

 

 

固定資産税の平均相場はいくら?一戸建て・マンションの計算方法

固定資産税の計算は、素人ではなかなか難しい部分があります。

細かな規定や、控除など正確な金額を抽出することはほぼ不可能だと思っておきましょう。

とはいえ、そのままでは不安を拭えませんよね。

一般住宅の場合、固定資産税は『10万円〜30万円』がもっとも多い範囲とされています。

そのことを前提にして、一戸建て・マンションの固定資産税シミュレーションを見ていきましょう。

 

一戸建ての固定資産税シミュレーション

一戸建てを購入したときの固定資産税を、築年数ごとに計算してみます。

≪例≫

  • 土地部分:2,000万円で購入
  • 建物部分:1,500万円で購入(木造)
  • 土地面積:180㎡
  • 延床面積:100㎡

※ここでは以下を用いて計算するものとします。

  • 簡易計算式
  • 10,000円未満切り捨て
  • 土地の地価変動なし
  • 建物の経年劣化(経年減点補正率)を考慮
  • 「住宅の軽減特例」を適用(詳しくは後述します)
  • 都市計画税は除く

新築一戸建ての固定資産税

≪土地部分の固定資産税の計算方法≫

  1. 購入価格から「固定資産税評価額(概算)」を求める
    2,000万円×0.71,400万円
  2. 「税率」をかける
    1,400万円×1.4%19万円
  3. 住宅用地の「軽減特例」を適用する
    19万円×1/63万円[/su_note]

≪建物部分の固定資産税の計算方法≫

  1. 購入価格から「固定資産税評価額(概算)」を求める
    1,500万円×0.71,050万円
  2. 「税率」をかける
    1,050万円×1.4%14万円
  3. 新築住宅の「軽減特例」を適用する
    14万円×1/27万円[/su_note]

【土地3万円+建物7万円】=固定資産税10万円

 

中古一戸建て(築20年)の固定資産税

≪土地部分の固定資産税の計算方法≫

新築と同じ=3万円

≪建物部分の固定資産税の計算方法≫

  1. 購入価格から「固定資産税評価額(概算)」を求める
    1,500万円×0.71,050万円
  2. 「税率」をかける
    1,050万円×1.4%14万円
  3. 経過年数20年の「経年減点補正率」をかける
    14万円×0.263万円[/su_note]

【土地3万円+建物3万円】=固定資産税6万円

 

中古一戸建て(築30年)の固定資産税

≪土地部分の固定資産税の計算方法≫

新築と同じ=3万円

≪建物部分の固定資産税の計算方法≫

  1. 購入価格から「固定資産税評価額(概算)」を求める
    1,500万円×0.71,050万円
  2. 「税率」をかける
    1,050万円×1.4%14万円
  3. 経過年数30年の「経年減点補正率」をかける
    14万円×0.22万円[/su_note]

【土地3万円+建物2万円】=固定資産税5万円

木造住宅は築20年を過ぎると建物の価値が2割ほどまで下がるので、固定資産税の負担はかなり軽くなっています。

 

マンションの固定資産税シミュレーション

マンションを購入したときの固定資産税を、築年数ごとに計算してみます。

≪例≫

  • 土地部分:1,500万円で購入
  • 建物部分:2,000万円で購入(RC造)
  • 専有面積:80㎡

※ここでは以下を用いて計算するものとします。

  • 簡易計算式
  • 10,000円未満切り捨て
  • 土地は地価変動なし
  • 建物は経年劣化(経年減点補正率)を考慮
  • 「住宅の軽減特例」を適用(詳しくは後述)
  • 都市計画税は除く

新築マンションの固定資産税

≪土地部分の固定資産税の計算方法≫

  1. 購入価格から「固定資産税評価額(概算)」を求める
    1,500万円×0.71,050万円
  2. 「税率」をかける
    1,050万円×1.4%14万円
  3. 住宅用地の「軽減特例」を適用する
    14万円×1/62万円[/su_note]

≪建物部分の固定資産税の計算方法≫

  1. 購入価格から「固定資産税評価額(概算)」を求める
    2,000万円×0.71,400万円
  2. 「税率」をかける
    1,400万円×1.4%19万円
  3. 新築住宅の「軽減特例」を適用する
    19万円×1/29万円[/su_note]

【土地2万円+建物9万円】=固定資産税11万円

 

中古マンション(築20年)の固定資産税

≪土地部分の固定資産税の計算方法≫

新築と同じ=2万円

≪建物部分の固定資産税の計算方法≫

  1. 購入価格から「固定資産税評価額(概算)」を求める
    2,000万円×0.71,400万円
  2. 「税率」をかける
    1,400万円×1.4%19万円
  3. 経過年数20年の「経年減点補正率」をかける
    19万円×0.50549万円[/su_note]

【土地2万円+建物9万円】=固定資産税11万円

 

中古マンション(築30年)の固定資産税

≪土地部分の固定資産税の計算方法≫

新築と同じ=2万円[/su_note]

≪建物部分の固定資産税の計算方法≫

  1. 購入価格から「固定資産税評価額(概算)」を求める
    2,000万円×0.71,400万円
  2. 「税率」をかける
    1,400万円×1.4%19万円
  3. 経過年数30年の「経年減点補正率」をかける
    19万円×0.30595万円[/su_note]

【土地2万円+建物5万円】=固定資産税7万円

鉄筋コンクリート造のマンションは一戸建てに比べて価値が下がりにくいため、同じ築年数でも固定資産税は高くなっています。

 

 

固定資産税が軽減される制度

毎年支払わなければならない固定資産税は、家計にとって大きな負担になるもの。

そこで一般住宅には、固定資産税の負担を軽くするための軽減措置があります。

それぞれ申請が必要で、期間限定の特例などもあるため、どのような条件になっているかしっかりチェックしておきましょう。

 

住宅用地の特例措置

住宅用地の特例措置とは「土地の上に家が建っていると固定資産税が安くなる」という軽減制度です。

土地部分の固定資産税が1/6または1/3になり、税金の負担がグッと軽くなります。

小規模住宅用地 土地面積200㎡以下の部分 1/6
一般住宅用地 土地面積200㎡超の部分 1/3

この住宅用地の特例に期限はないので、家を取り壊さない限りずっと適用されます。

 

新築住宅の特例措置

新築住宅の特例措置とは「一定条件を満たした新築住宅の固定資産税が安くなる」という軽減制度です。

≪主な要件≫

  • 令和4年3月31日までに新築された住宅であること
  • 床面積が50㎡~280㎡であること

要件を満たしていると、建物部分の固定資産税が3~7年間、1/2に軽減されます。

一般住宅 長期優良住宅
一戸建て 3年間 1/2 5年間 1/2
マンション(3階建て以上の耐火・準耐火構造住宅) 5年間 1/2 7年間 1/2

特例適用の期間が過ぎると一気に固定資産税が上がるので、心の準備をしておきましょう。

 

中古住宅の特例措置

中古住宅の購入には「住宅用地の特例措置」のみが適用されます。

よって、土地部分の固定資産税が1/6に減額となります。

ただし、築浅物件を購入したときなどで「新築住宅の特例」の期間がまだ残っているケースであれば、前所有者の受けていた軽減措置をそのまま引きつぐことが可能です。

 

そのほかにも、2022年3月31日までに以下のリフォームをすると、建物の固定資産税が安くなる軽減措置もあります。

省エネ改修 翌年分が1/3
バリアフリー改修 翌年分が1/3
耐震改修 翌年分が1/2
長期優良住宅化改修 翌年分が2/3

リフォームについてはそれぞれ条件が異なるため、詳しくは自治体のホームページ、窓口で確認してくださいね。

 

 

まとめ

固定資産税は、不動産を所有している人が支払う地方税です。

自治体がこまかい計算をしたうえで正式な固定資産税額が決定されるので、自ら計算して支払うような場面はありません。

しかし、簡易計算式でおおよその固定資産税を把握しておくだけでも、購入後の資金計画がしやすくなります。

固定資産税 簡易計算式

購入価格×0.7×1.4%

また固定資産税が軽減される特例措置もあるので、自治体のホームページをチェックして忘れずに申請しておきましょう!