木造住宅の土台や柱などを食べて、家をボロボロにしてしまうこともあるシロアリ。
マイホームに安心して長く住むためには、定期的にしっかりとした点検を行い、対策をしていくことが必要となります。
今回は、シロアリ被害を予防するためにはどのような対策方法があるのか、業者に駆除を依頼するタイミングはいつなのかなどを解説していきます。
大切な住宅を守るためにも、シロアリ対策をまだ行っていない方はぜひ読んでみてくださいね
シロアリ対策が必要な理由
シロアリは、木材をすみかとエサにする厄介な害虫。
エサ場である木造住宅や木材に仲間を呼び寄せ、建物を倒壊させるほどの木材を食べてしまうこともあります。
このことからも、木造住宅がシロアリ被害に遭いやすいことは間違いありません。
しかし、木造以外の構造であっても、柱や床材、家具にも木材が使われているケースは多くあるため、どんな家でもシロアリ被害に遭う可能性はあるのです。
そのため、ほとんどの家はシロアリ対策が必要だといえるでしょう。
自分でできる!シロアリ対策・予防法9選
まずは自分でできるシロアリ対策と、予防の方法をご紹介していきます。
誰でもすぐに出来る方法なので、実践してみてください!
切り株を放置しない
シロアリは、『死んだ木』を食べる生き物。
そのため、家の周りの木を切ったあと、残った切り株を放置するのはとても危険です。
実はシロアリは、切り株だけではなく地面深くに入り込んだ根もエサとしています。
シロアリが切り株周辺に巣を作りやすいのは、根を食べるため。
気が付けば根からシロアリに食べられていた…なんてことも。
もし家の周りや庭に切り株がある場合は、掘り起こして処分しておくことで、シロアリの巣を家の近くに作らせない対策となるでしょう。
シロアリ被害を受けた木杭は処分する
切り株と同様に、生垣を固定するために使用されている木杭も、劣化が原因でシロアリの被害を受けてしまうケースがあります。
腐敗予防やシロアリ予防を施されている木杭であったとしても、10年も経ってしまえばその効果はほとんどありません。
そのまま放置しておくと、シロアリの恰好の餌食となってしまうでしょう。
お庭や家の周りに木杭を使用している人は、シロアリ被害に遭っていないかどうか、こまめにチェックすることをおすすめします。
もしも被害に遭っていたら、すぐに処分しましょう。
生垣は10年ほどでしっかりと根を張るので、不要になった木杭は早めに抜くことでシロアリ対策にもなります。
通気口を植物やプランターで塞がない
床下の空気を入れ替え、湿気が溜まることを防ぐ役割がある通気口。
その通気口が植物やプランターなどで塞がっていると、床下の湿った空気と外の湿気の少ない空気が入れ替わることができません。
空気の循環が悪くなると、暗くて湿った場所を好むシロアリが家の基礎に近づくきっかけになってしまいます。
一度、自分の家は通気口を塞いでいないか?をぜひチェックしてみてください!
物置や荷物を基礎の周りに置かない
家と物置の間が狭くなりすぎると、そこは暗くて湿った空間というシロアリの好む環境となってしまいます。
物置や大きな荷物などを住宅の周りに置いている場合は、10㎝以上の間隔をあけて風が通るようにしましょう。
可能であれば、北のような日の当たりづらい方角は避ける方がベターです。
不要な木材は処分する
DIYや家具の解体などを行ったあと、その廃材をおうちの周りに放置してはいませんか?
前述しましたが、シロアリは、木材や切り株などの「死んだ木」を食べる生き物です。
木の廃材を放置するということは、シロアリに餌を与えているようなもの。
シロアリを予防するためには、廃材はなるべくすぐに処分しましょう。
どうしても一時的に保管しておきたいという場合は、コンクリートやレンガ、ビニールの上に乗せるなど、地面から離す工夫が必要です。
地面に直接置いたままにはしないようにしましょう。
木を使っている箇所に防腐・防アリ処理をする
ガーデニングやエクステリアで、枕木やウッドデッキといった木製のものを採用したい場合は、防腐処理や防アリ加工されているかをチェックしましょう。
市販のガーデニング用品は、「加圧注入材(特殊な処理で内側に防アリ薬剤を注入した木材)」が多いのですが、年月が経つとその効果もなくなってしまいます。
しっかりと加圧注入処理をされているものであれば、10年以上その効果が持続するものもありますが、低品質のものである場合は5年も持たないことも…。
メンテナンスが必要な状態であれば、自分自身で木材用の防腐・防アリ処理を施すことが大切です。
ウッドデッキの下は風通しを良くする
自宅にウッドデッキがある場合は、ウッドデッキの下にプランターや植木鉢などの物を置いていないかをチェックしてください。
ウッドデッキの下は日が当たりづらいため、湿気が溜まりやすく、シロアリが住み着きやすくなる場所。
ウッドデッキの下にはなるべく物を置かず、風通しの良い状態を保つことが大切です。
雑草はこまめに抜く
雑草が生い茂ってしまうと、家の周りや庭の風通しが悪くなり、湿気が溜まりやすくなります。
特に通気口の周辺は、雑草のせいで塞がってしまわないよう特に注意しましょう。
お手入れするのが大変だという方は、防草シートや除草剤などであらかじめ草が生えないように対策をしておくと効果的です。
家の周りに段ボールを置かない
実は、木から作られている段ボールもシロアリの大好物です。
また、シロアリに限らず、ゴキブリなど別の害虫のエサやすみかとなり、害虫の温床となってしまった…なんてことも。
引越しや宅配など、生活と切り離せない段ボールですが、家の周りや物置など、屋外に放置しないよう気をつけましょう。
シロアリ対策前に被害に遭ったときの駆除方法
次は、実際にシロアリの被害に遭ってしまった場合の注意点や対処法をご紹介します。
シロアリを駆除するときの注意点
シロアリの駆除方法をお伝えする前に、まず注意することからお伝えします。
殺虫剤を使用しない
意外に思われるかもしれませんが、シロアリを駆除する時に殺虫剤を使用することはおすすめしません。
殺虫剤がかかったシロアリには一定の効果を発揮しますが、警戒心の強いシロアリはすぐに逃げてしまうのです。
散らばって逃げた先で別の巣を作り、駆除もしづらくなり、さらに被害が拡大してしまう可能性があるからです。
同様の理由で、バルサンなどの使用も控えた方が良いでしょう。
応急処置は掃除機を使う
シロアリを見つけたら、掃除機で吸い上げて駆除しましょう。
実は、シロアリは衝撃に弱い生き物で、多くは吸い上げられた時の衝撃で死んでしまうことが多いのです。
吸い上げたシロアリは、1日経てば全て死んでしまうため、通常のゴミと同じように処理をして大丈夫です。
掃除機に抵抗のあるかたは、テープに貼り付けて駆除するといった方法もあるので、そちらも試してみてくださいね。
駆除を行うさいば、事前準備をきっちりとする
シロアリの駆除には、床下で作業や薬剤の使用などが必要になります。
- 目を保護するゴーグル
- 長袖・長ズボンの作業服
- マスク
- 懐中電灯やヘッドライト
- (床下に入るさいは携帯電話)
このようなものを事前に準備することで、安全かつスムーズに駆除作業ができるようになります。
しっかりと準備してから行いましょう。
ホウ酸のようなエサを家の周りに埋める「ベイト工法」
ベイト工法とは、「ベイト剤」という特殊な毒の入った餌タイプの駆除剤を家の周りに埋め込み、その駆除剤を食べさせることで、シロアリの巣を全滅させる方法です。
ゴキブリなどの害虫駆除に利用する『ホウ酸団子』と同じような仕組みの駆除方法です。
土の中に穴を掘って埋めるだけなので、使用方法も簡単です。
ベイト剤は、シロアリの脱皮を抑制することで駆除する毒であるため、脱皮をしない哺乳類には効果がありません。
つまり、人にもペットにも優しい安全性の高いシロアリ駆除方法といえます。
しかし、シロアリがその餌を巣に持ち帰る時間が必要なので、即効性はありません。
一度きりではなく継続することで、その効果が発揮されます。
家屋に直接薬剤を散布する「バリア工法」
バリア工法は、床下や壁に薬剤を散布する駆除方法です。
シロアリの被害箇所にドリルで1cmほどの穴を開け、薬剤を注入し、木の表面や地面など満遍なく薬剤を散布します。
住宅に直接穴を開けるため、家を傷つけてしまうというデメリットがあります。
また、誤って薬剤を吸い込んでしまい、体調が悪くなってしまうことも…。
さらに、駆除できたと思っていても、実は駆除できたのは一部の巣だけで、完全に取り除くことはできていないというパターンもあります。
ベイト工法とは異なり、即効性と持続性があることが特徴ですが、直接散布する工法であるため、子どもやペットがいるご家庭にはおすすめできません。
シロアリ対策・駆除を業者に依頼する目安
シロアリ対策を専門業者に依頼する目安を知るためには、自分の家の状況を自身で見極めなければいけません。
家の周囲を点検し、シロアリの対策や駆除が必要かどうかを見分けるポイントをお伝えします。
家の基礎に土の道ができている
家の基礎に、不自然な土の道(蟻道)がないかどうかを定期的にチェックしましょう。
土の道があった場合、それがクロアリのものであるか、シロアリのものであるかをチェックします。
- 軽く触ってみて崩れる・・・クロアリの蟻道
- 崩れにくくしっかりと固まっている・・・シロアリの蟻道
シロアリの蟻道ができている場合は、家の中にすでにシロアリが入り込んでいる可能性が高いです。
なるべく早く、専門家に点検を依頼するようにしましょう。
床下に水漏れがある
床下に入ることができるのであれば、一度床下に潜って様子を確認してみてください。
床下に湿気が溜まっていたり、水漏れを発見した場合は要注意。
湿気を好むシロアリがすでに生息している場合があります。
一見、異常がないように見える木材でも、ドライバーなどの器具でついてドライバーが刺さるような場合は、木材が脆くなっている証拠。
すでにシロアリの食害に遭っている可能性が高くなっています。
雨漏りする
2階の窓から屋根を見ることが可能な家であれば、屋根にズレや浮き上がり、がたつき、割れ、サビなどがないか一度チェックしてみましょう。
雨漏りや屋根の隙間から入った水で濡れ続けた柱や梁などの木材は、シロアリに狙われやすい状態だといえます。
屋根に不安な状態や気になる点がある場合は、一度、業者に点検に来てもらうことをおすすめします。
シロアリ対策・予防の費用相場
シロアリ被害の予防・駆除のための工事を『防除施工』と言います。
その防除施工には、費用がどのくらいかかるのかが気になるところですよね。
実は、シロアリの予防と駆除で行う工事の内容に大差なく、予防の費用と駆除の費用は大きく変わりません。
シロアリの予防・駆除費用の一例は以下の通りです。
1坪あたり・・・6,300円
30坪の場合・・・約19万円
1mあたり・・・6,500円
30坪の場合・・・約30万円
まずは数社から無料調査や見積もりをとって、費用相場を確認してから依頼するようにしてくださいね!
まとめ
今回は、シロアリの対策予防や点検・駆除方法についてご紹介しました。
安心して長く住める住宅にするためには、まずはシロアリを予防することが大切です。
実際にシロアリの被害に遭ったあと、予防や駆除を行うには多くの時間や費用がかかってしまいす。
まずは、以下のようなすぐにできるシロアリ対策を始めてください。
- シロアリが好む湿気の多い場所を作らないようにすること
- 餌になりそうな木材や段ボールを屋外に放置しないこと
また、定期的に家の周囲や屋根を点検することも大切です。
シロアリの被害が確認できた場合は、それ以上被害が広がらないように速やかにシロアリ駆除業者に依頼して駆除してください。
日頃からシロアリ対策をしっかりと行い、長く住める住宅づくりを心がけてくださいね。
みなさまが大切な住宅に長く住みよく生活できることを祈っています。