家を買うには、住宅や土地の金額以外にもさまざまな諸費用がかかります。
急に気にいる物件が見つかった、引っ越しせざるをえなくなった場合など、貯金が手元にない時、諦めるしかないのでしょうか?
実は、諸費用の自己資金がない場合に、住宅ローンを多めに借り入れすることができ、それをオーバーローンと呼びます。
- オーバーローンって何?
- 自己資金がなくても借りれるの?
- どんなデメリットがあるの?
- ローンで損したくない・・・
今回は、オーバーローンがどういったものなのかを詳しく解説していきます。
オーバーローンとは?
住宅ローンで対応できるものは、基本的に土地+建物の価格までという決まりがあります(各銀行によって多少解釈の違いはあります)。
ただ、各家庭での様々な事情をによっては、銀行によって住宅を購入する際に係る費用や、住宅ローンに関する諸費用を上乗せすることが可能な場合があります。
この上乗せ部分が土地+建物の価格までという決まりをオーバーしていることから、オーバーローンと呼ばれます。
どういった名目の費用をいくら上乗せしたいのかを申込時に明確に伝えられれば、それらを含めて申し込み出来ます。
上乗せ出来るものと、出来ないものは?
オーバーローンと言っても、全てが対象になるわけではありません。
住宅ローンを借りる前後で必要となる資金について、対象となるもの、ならないものをここで1つずつ確認していきます。
対象となる可能性があるもの
対象となる可能性があるものは以下になります。
住宅ローンの保証会社へ支払う保証料
ほぼ対象になります。
住宅ローンを申し込む際に、保証料を前払いにするか後払い(金利に上乗せ)にするかを選ぶことが出来ます。
保証料を前払いにし、その費用を上乗せして借りる方が後払いにするよりも総支払金額は安くなります。
そのため、金融機関の担当者も後払いよりも上乗せをお勧めしてくるケースが多いです。
不動産登記費用
対象となるところが多いです。
不動産登記については土地・建物を購入者の名義に変更するためのものと、ローンを借りた際に金融機関(または保証会社)が抵当権を設定するためのものの2つがあります。
この2つは、債務者が支払います。
必要となるものですので、認めてくれることが多いです。
火災保険の保険料
対象となるところが多いです。
住宅ローンを借りる際に、火災保険の契約をすることが条件となります。
多くが保険期間10年のものに入ることが条件になっています。
以前は35年一括払いの火災保険もありましたが、制度の変更され現在は最長の保険期間は10年になっており、金融機関によっては共済などの1年更新の保険への加入を認めているところもあります。
融資実行日に物件の所有者が債務者となるので、実行日から火災保険に加入する必要があります。
その為、融資実行日に火災保険料を支払わなければいけません。
余談ですが、最近はさまざまな災害が頻繁に起こるようになり、家に住めなくなったというニュースを目にすることも増えてきました。
地震など+αの災害保険の加入については大多数が任意ですが、地震が原因の火災や、津波による水災は地震保険でしか対応できません。
今後、何十年も暮らすことになる家なので、地震保険に加入しておく方が安心です。
また、過去に洪水が起こった地域に家を建てる場合は、水災保険を付けておくこともおすすめします。
不動産業者へ支払う手数料
これも対象となるところが多いです。
不動産業者へは、仲介手数料やローン手数料等を売買時に支払う必要があります。
その費用も購入時に必要となってくるものですので、対象となります。
自宅の外構費用
これも対象になります。
自宅の外構とは家の外の部分を指します。
家の外が手付かずのままでも家がきっちり完成していれば、住むことが出来るため、外構は費用に含めないという人もいますが、建築請負契約書には外構費用や駐車場に設置するカーポートなども含めた金額で契約をされていることが多いです。
そういった場合、金融機関はあまり細かい指摘はしてきませんので契約書のみ提出すれば問題ありません。
対象となりづらいもの
反対に、対象となりづらいもは以下になります。
住宅ローンの契約書への印紙代
これは、対象とならないことが多いかもしれません。
印紙代は、大体数万円程度で収まるため自分で用意してくださいと言われることが多いと思います。
引っ越し費用
これは対象外です。
住宅ローンに上乗せして借りられるのは、住宅ローンを組むのに必要な費用が一般的ですので、引っ越し費用は関係ありません。
金融機関によって違うもの
金融機関によってオーバーローンに含まれる可能性のあるものが以下になります。
中古物件購入時の改築費用
対象にしてくれるケースがあります。
中古物件を購入すると内装を変えたり、水回りを入れ替えたりと手を加えたい方も多いです。
そういった場合には、住宅ローン申し込み時にリフォーム費用の見積もりを準備し一緒に提出をすれば、住宅ローンに含めてくれることもあります。
金融機関によっては、購入後にリフォームローンにて対応してくださいと言われるケースもありますので、何軒か相談されることをお勧めします。
以上、オーバーローンの対象となるもの、ならないものの項目を挙げてみました。
簡単にまとめると、不動産売買の取引の際に支払うべき費用については、住宅ローンに上乗せできると思っていただくとわかりやすいかもしれません。
金融機関も競争ですので、他行よりも条件が悪ければ借り入れをしてもらえません。
住宅ローンに力を入れている地域金融機関などは、以前よりも適用する条件が緩くなっていることもありますので、複数の金融機関で相談をしてもらえるとより希望に近い条件の金融機関に出会えるかもしれませんね!
オーバーローンの注意点は?
オーバーローンには気をつけなければならない点があります。
それは、オーバーローンにした場合金利や保証料が上がる可能性があるということです。
金融機関によって金利や保証料を決定する条件は様々で、中には住宅ローンの資金計画が含まれていることがあります。
例えば、借り入れ額が建物+土地代(以下:物件代)の金額を下回れば金利を引き下げし、物件代と同額であれば金利の引き下げは無し、物件代よりも高ければ金利を引き上げるなどがあります。
もちろん他の条件もあるので、銀行によってはオーバーローンであっても最下限の金利を提示されることもあれば、物件代よりも少ない申し込みであっても最下限とならないこともあります。
また、保証料についても住宅ローンと同様の条件で保証料率を決定している保証会社も存在しますので、申し込みの際は注意が必要です。
と言っても、銀行や保証会社が「あなたはオーバーローンですので金利が0.1%加算されています。」と教えてくれることは少ないので、複数の金融機関で申し込みを行い比較することが重要です。
上乗せ対応をしてくれない時は?
金融機関によっては、そもそも住宅ローンへ上乗せしてくれないところもあります。
そういった時は、諸費用ローンというものが用意されていることが多いです。
この諸費用ローンであれば、上乗せが出来なかった引っ越し費用まで借りることが出来ます。
ただ、注意点が2つあります。
- 住宅ローンと諸費用ローン、2種類の借り入れになる
- 金利が住宅ローンより高い
1点目は、毎月2種類のローンを返済することになります。
諸費用ローンは住宅ローンよりも短い期間で返済をするため、1回あたりの返済額の合計は住宅ローン上乗せ時よりも多くなってしまいます。
2点目の金利については、諸費用ローンは住宅ローンの基準金利程度であることが多く、3%前後となります。
諸費用以外の物を含めたオーバーローンのリスク
オーバーローンと呼ばれるものは上記以外にも、実際の費用や物件価格を水増しして必要以上の金額を借りるといったケースもあります。
例えば、住宅ローンで多めにお金を借りて別のローンを返済する、自動車を買う資金を住宅ローンの中にこっそり含めておく等です。
例のようなケースは、不動産の売買契約書が正式なものと、偽りの水増し金額のものが2通存在しています。
金融機関へは水増しした分を提出し、多めに借り入れをするといったことが行われています。
この方法は不動産業者などの協力がなければ出来ません。
コンプライアンス遵守を言われている今のご時世で協力してくれる不動産業者はいないとは思いますが、こういった手法で不当に借り入れをしたことが金融機関に伝われば、一括での返済を迫られるので絶対に行わないでくださいね。
まとめ
オーバーローンには、含めることのできる諸費用と、含めることのできない費用があります。
含められるもの
- 保証会社への保証料
- 不動産登記費用
- 火災保険料
- 不動産業者への手数料
- 外構費用
含められないもの
- 印紙代
- 引っ越し費用
金融機関によって取り扱いに差があるもの
- 中古物件購入時の改築費用
オーバーローンの注意点は、以下の通りです。
- 諸費用を含めることで、金利や保証料が上がる可能性がある
- 金融機関によっては諸費用の上乗せを一切認めず、金利の高い諸費用ローンで対応される場合がある
資金使途を偽り住宅購入とは関係のない費用を含めて借りることは契約違反であり一括での返済を求められるので、絶対にしないで下さい!
このように、金融機関によってオーバーローンの取り扱いをしてくれるかは変わってきますが、住宅ローンに諸費用を含めて借りることが可能な金融機関も存在します。
金融機関によって条件は異なりますので、複数の金融機関に相談し自分のビジョンに合うローンを見つけてください!
自分にぴったりの住宅ローンを見つけたいと思っている方は、ぜひこちらの記事をお読みください。
住宅会社に言われるがまま、住宅ローンを比較せずに組むと、数十万〜数百万の損をしてしまうかもしれません。
この記事が、あなたの家探しのお役に立てることを祈っています。