マイホーム購入の際には、大多数の人が住宅ローンを利用します。
住宅ローンのほとんどが、数千万単位という大きな借り入れ額になるため「連帯保証人を立てる必要があるのか」気になる部分です。
この記事では、住宅ローンの借り入れに連帯保証人が必要なケース、不要なケースとメリット・デメリットまで徹底解説していきます。
ぜひ住宅ローン借り入れの参考にしてくださいね!
住宅ローンに連帯保証人って必要なの?
結論からお伝えすると、民間金融機関から住宅ローンを借りるとき、連帯保証人は原則不要です。
しかし、全てのケースで不要なわけではありません。
連帯保証人が必要な場合、不要な場合それぞれのケースを解説していきます。
連帯保証人が不要なケース
住宅ローンの連帯保証人が不要なケースは、「購入する住宅を担保に入れる」場合です。
「連帯保証人」とは、債務者(お金を借りた人)がなんらかの理由で契約通りに返済できなくなった時、代わりに借金を返済する人のことです。
金融期間が貸したお金を回収できなくなるリスクを回避する目的があります。
購入する住宅を担保にいれておけば、返済が滞ったとしても、住宅を売却してその代金を住宅ローンの返済に充てることが可能です。
そのため、金融機関側としては、連帯保証人を立てなくても大丈夫ということですね。
連帯保証人が必要なケース
基本的には住宅ローンに連帯保証人は不要ですが、必要なケースもゼロではありません。
保証人が必要なケースがどのようなものなのかを具体的に確認していきましょう。
審査に通らない可能性がある
借り入れ額によっては、金融機関の判断で連帯保証人が求められるケースがあります。
例えば、以下のような人は当てはまることが多い傾向にあるので要注意!
- 自営業
- 勤続年数が短い
- 収入が不安定
金融機関が「きちんと返済してくれるかな?」と思った場合には、事前審査で指定がなくても、本審査後に保証人を求められることがあります。
親子・夫婦で収入合算する
契約者本人の収入だけでは不安がある場合、契約者の親や子、または妻や夫などの収入を合算することで、住宅ローンの借り入れをしやすくします。
それを「収入合算」といい、特別珍しいことではありません。
収入合算をして住宅ローンを借り入れする時は、収入合算者(収入を合算された人)が契約者の連帯保証人または連帯債務者にならなければならない決まりがあります。
配偶者とペアローンを組む
配偶者や家族など、複数人でローンを組む「ペアローン」を利用する場合には、お互いが連帯保証人となります。
例えば、夫婦のペアローンの場合、夫・妻が別々に住宅ローンを一つの住宅に対して契約します。
そして、夫が妻の連帯保証人に、妻が夫の連帯保証人となるのです。
夫婦のどちらかが返済不能な状態になってしまった時は、もう一方がその分も返済することになります。
「連帯保証」と「連帯債務」の違いについて
前項で「連帯保証人」「連帯債務者」という言葉がでてきました。
どちらも、住宅ローンを契約した人が返済できなくなった時、代わりに返済するという点では同じですが、どのような点が違うのかを解説していきます。
連帯保証・連帯保証人とは
連帯保証人は、債務者が借りた住宅ローンを代わりに返済する必要があります。
お金を貸す側は、連帯保証人に対して債務者と同じように請求することが可能です。
しかし、お金を借りた本人ではないため、団信(団体信用生命保険)の加入、住宅ローン控除の適用ができません。
連帯保証人になることが可能な間柄は、「配偶者(夫 / 妻)」「一親等の親族(親 / 子)」となります。
保証人・連帯保証人の違い
保証人と連帯保証人は、どちらも、債務者に代わって返済責任を負うということに変わりはありません。
しかし、以下のような大きな違いがあります。
債務者に返済能力がある場合には返済を拒否することが可能
債務者の支払い能力に関わらず、求められたら返済をしなければならない
つまり、金融機関は保証人よりも連帯保証人の方が返済を求めやすいということです。
連帯債務・連帯債務者とは
主債務者が借りた住宅ローンに対して、同様に債務者となるのが連帯債務者です。
住宅ローン全額の返済義務があるので、しっかり覚えておきましょう。
連帯債務者は、収入合算をしてフラット35を借りる場合に求められますが、民間の住宅ローン商品で求められることはほとんどありません。
連帯債務者は、主債務者と同じように住宅ローン控除を適用することが可能です。
住宅ローンの連帯保証・連帯債務の注意点
連帯保証人・連帯債務者は、共通して住宅ローン返済の責任が生じる、よく似た言葉ですが、法律的には全く異なります。
とくに、収入合算して住宅ローンを利用するときには、その違いをしっかりと理解しておくことが大切です。
3つの権利がない
前項でも触れましたが、連帯保証人、連帯債務者は、保証人が持つ「催告の抗弁権」「検索の抗弁権」「分別の利益」という3つの権利がなく、使うことができません。
催告の抗弁権(こうべんけん)とは、債権者(お金の返済を請求できる権利を持つ人)から返済を請求された時、「まずは主債務者に請求してください」と主張できる権利のことです。
その主張を受けた債権者は、先に主債務者へ借金返済の督促をしなければなりません。
連帯保証人・連帯債務者にはこの権利がありません。
検索の抗弁権とは、同じように債権者から返済を請求された時に「主債務者には取り立てられる財産があるので、そちらを先に請求してください」と主張できる権利のことです。
その主張を受けた債権者は、まず主債務者の財産を差し押さえるなどして、そちらから取り立てを行う必要があります。
連帯保証人・連帯債務者にはこの権利がありません。
「分別の利益」がない
分別の利益とは、保証人が複数いる場合に返済すべき金額をその人数分で均等に割った額を各自が負担するということです。
連帯保証人・連帯債務者にはこの分別の利益がないため、1人の連帯保証人・連帯債務者が全額負担するというケースもあります。
金融機関によっては連帯債務不可
収入合算をして住宅ローンを借りる場合であっても、連帯保証型のみ取扱っており、連帯債務型が利用できない金融機関もあります。
連帯債務型を選んで住宅ローンを借りたい場合は、金融機関の取り扱いについて事前に確認しておきましょう。
連帯保証人は住宅ローン控除対象外
連帯保証人は、あくまで債務者が返済できない代わりに返済する人であり、同じ債務者という扱いではないため、住宅ローン控除の対象にはなりません。
住宅ローン控除を受けたいのであれば、連帯保証人ではなく連帯債務者になりましょう。
住宅ローンに保証人を立てるメリット・デメリット
ペアローンや収入合算で住宅ローンを借りる場合に求められる連帯保証人。
人に頼らず、保証会社を利用するという方法もあります。
保証会社を利用せず、保証人を立てるメリット・デメリットはどのようなものがあるかを解説していきます。
メリット:保証料がいらない
一般的には、住宅ローンを借りる際には保証会社を利用しますが、保証会社を利用せず個人にお願いすることも可能です。
保証会社に支払う保証料は、借入額によって変動はありますが、数十万かかってしまうことも。
保証人を立てることで、保証料がかからなくなるというメリットがあります。
メリット:融資が受けやすくなる
自営業者や勤続年数が短い人など、住宅ローンの審査に通りづらい人が、保証会社に加えて、連帯保証人・連帯債務者を立てることで審査に通る可能性がアップします。
金融機関にとっては、返済の確率が上がる方が貸しやすいということですね。
デメリット:死亡・離婚したときが大変
ペアローンや収入合算で親子や配偶者が連帯保証人・連帯債務者になっている場合の最大のデメリットは、離婚リスクと死亡リスクです。
連帯保証人・連帯債務者は、離婚した場合であっても変更することはできません。
例えば、住宅を売却し貯金を使っても返済しきれなかった場合は、残りの返済額を離婚後も二人で支払い続けていく必要があるのです。
どちらかが返済を滞納した場合、離婚後であっても、その負担は完済までもう片方が負うことになります。
また、連帯保証人が死亡した場合、同じ額の返済は続いていくにもかかわらず、世帯収入が減るため、生活が苦しくなってしまうというリスクも…。
ペアローンと収入合算によって、また金融期間によっても、団信への加入の条件は違います。
二人ともが団信に加入することができない場合は、他の生命保険に加入しておくなど、リスクを減らすための対策が必要です。
デメリット:保証人への負担・責任が大きい
ペアローンや収入合算の場合を除いて、住宅ローンの連帯保証人・連帯債務者には、とても大きな精神的負担をかけるというデメリットがあります。
親戚や友人に保証人になってもらうことで、その責任の重さから、人間関係が壊れてしまう可能性も否めません。
「数千万という借金を背負わされたらどうしよう」と思うと、とても怖いですよね。
保証人・連帯保証人・連帯債務者を誰かに依頼することも、引き受けることもやめておくのが一番でしょう。
まとめ
住宅ローンを一人で借りる場合、住宅を担保に入れるため、原則として連帯保証人は必要ありません。
だし、親子や配偶者で、ペアローンを利用する場合や、収入合算で住宅ローンを借りる場合は、連帯保証人や連帯債務者が必要となります。
主債務者が返済を滞納した場合、連帯保証人・連帯債務者にはどのような責任を負うことになるのかをきちんと理解しておくことが大切です。