新築マイホームの頭金とは?みんなの平均はいくら?なしでも大丈夫?
新築マイホームの購入を検討するとき、お金の心配をする方は多いと思います。
家を購入する際には、建物本体費用や土地代の他にも、付帯工事費や諸経費など多くのお金が必要になることをご存知ですか?
家を建てる際の費用について詳しくはこちらを参考にしてください。
家づくりに必要な費用の中に、頭金があります。
最近では頭金0円でも住宅ローンを借りることができるようになってきたため、頭金なしで新築マイホームを購入する方も増えてきました。
しかし、頭金を用意するメリットもたくさんあるので、安易に頭金0円を選択するのはオススメできません。
頭金をどれだけ用意するかは、ライフスタイルやライフプランに合わせて決めることが大切です。
では、具体的に頭金はどれくらいに設定すれば良いのでしょうか?
この記事では、頭金を投入するメリットや頭金0円のリスクなどをご説明します。
頭金をいくらにするべきか、悩んだ際の参考にして頂ければと思います。
頭金とは
頭金とは、Wikipediaでは次のように説明されています。
一般的に頭金は物件資金の2割程度が目安と言われています。
しかし、これはあくまで一つの目安であって、あなたに最適な金額ではありません。
あなたのライフスタイルやライフプランにあった金額を設定することが大切です。
私個人の意見としては、頭金の金額は最小限にした方がいいと考えています。
理由はあとで詳しく説明します。
なぜ頭金が必要なの?
現在では都市銀行や地方銀行、ネット銀行なども住宅ローンに力を入れていますが、少し前まで、住宅ローンは住宅金融支援機構を中心に借りられていました。
この頃、住宅金融支援機構では、住宅購入価格の8割が融資の上限と定めており、住宅購入資金の2割は頭金を用意しなければいけませんでした。
しかし現在では、住宅金融支援機構は住宅購入資金の100%を融資してくれる住宅ローンも増えてきたため、頭金は必須ではなくなりました。
みんなの頭金の相場
では、住宅購入をした人は実際にどれくらい頭金を用意しているのでしょう。
2017年6月に発表された、「2016年度フラット35利用者調査」によると2016年度の頭金の平均は682.3万円でした。
図の赤枠で囲った左側が2015年度、右側が2016年度です。
金額の下にかっこで書いてあるのは、住宅購入資金に対する割合で、2016年度は20.6%となっており、見事に目安通り2割になっているのがわかります。
現在では2割にこだわる必要はなくなったとはいえ、目安として2割という考え方は間違っていないようです。
どうやって貯めた?
しかし、682.3万円というと大きなお金です。
これだけのお金をどうやって貯めたのでしょう?
計画的に少しずつ貯めた
ミサワホームの運営するベビカムというメディアが359人を対象に行った調査によると、82%の人が「衝動買いや高い買い物を控えた」「ランチや外食をやめた」など、少しずつ節約をして貯めたと回答しています。
3〜5年先に家を購入するというビジョンで今の生活を少しずつ見直し、少しずつ貯めている方が多いようです。
目的のために節約をする、贅沢をしないという考え方は、実は家が建ったあとにも繋がるとても大切な習慣です。
家を建てると毎月住宅ローンを返済しなければいけません。
その支払いを甘く見ず、計画的にお金を貯めておくことで不測の事態が起こった時、住宅ローン破綻などの最悪の事態をまねくリスクを大きく抑えられます。
株やFXなどに投資する、怪しい情報商材に手を出すといった一攫千金で頭金を作ろうとするのは絶対にNGです。
一生貯まらないどころか、今の生活を失ってしまう可能性もありますので、時間はかかるかもしれませんが、時間をかけて貯めるのがベストです。
親からの援助
自分またはパートナーの親に援助してもらうというケースも多いようです。
私も実際にお客様に家をご提案する際、親から援助してもらうという方も多くいらっしゃいます。
中には、子供が家を建てるときのためにと積み立てをしている親御さんも。
子を思う親の気持ちは、とてもありがたいですね。
頭金を用意するメリット
頭金を用意するメリットは4つあります。
- 住宅ローンが借りやすくなる
- 住宅ローンの金利が低くなる
- 月々の返済額が少なくなる
- 完済までの期間が短くなる
それぞれについて詳しく説明します。
住宅ローンが借りやすくなる
例えば3000万円の新築マイホームを建てるとします。
このとき、100%融資であれば借入額は3000万円になります。
ここに頭金を500万円入れたとすると、借入額は2500万円です。
住宅ローンの審査では、収入に対する借入額の上限が決まっていますので、借入額が低くなるとその分住宅ローン審査に通りやすくなります。
年収に対しての借入額の上限なので、年収の低い方ほど頭金を入れるメリットは大きくなります。
住宅ローンの審査基準についてさらに詳しくはこちらを参考にしてください。
住宅ローンの金利が低くなる
最近では、住宅取得費用に対する借入金額の比率によって金利を優遇する住宅ローンもあります。
例えばフラット35では、融資率9割以下の場合、金利の優遇が受けられます。
(引用:フラット35 最新の金利情報)
最も低い金利が適用された場合、9割を超える融資の金利は1.8%なのに対し、9割以下の融資の金利は1.36%です。
融資率が9割以下になるように頭金を用意することで、0.44%もの金利の優遇を受けられます。
フラット35の金利について、詳しくはこちらを参考にしてください。
【フラット35】金利の推移と今後の変動予想!最新金利の調べ方も
フラット35の他にも、融資率によって金利の優遇が受けられる住宅ローンはたくさんあります。
月々の返済額が少なくなる
完済までの期間を同じに設定した場合、頭金を用意すると月々の返済額がを減らすことができます。
3000万円の家を建てる時、頭金0円、頭金500万円、頭金1000万円の3つのパターンで、それぞれの月々の返済額をシミュレーションしてみます。
こちらの表は金利1.5%、35年返済で計算しています。
借入額 | 月々の返済額 | 総返済額 |
頭金0円(3000万円借入) | 91,855円 | 38,579,007円 |
頭金500万円(2500万円借入) | 76,546円 | 32,149,099円 |
頭金1000万円(2000万円借入) | 61,236円 | 25,719,333円 |
頭金0円と頭金1000万円では、月々約3万円もの差がでました。
さらに、利息の面でもメリットがあります。
100%融資の場合は35年間で利息が8,579,007円もついてしまうのに対し、頭金1000万円の場合、利息は5,719,333円です。
頭金を1000万円用意すると、35年で約285万円得します。
完済までの期間が短くなる
頭金を入れて融資額を減らすと、月々の支払額を変えずに完済までの期間を短くすることもできます。
総額3000万円の家購入するとき、金利1.5%の35年返済で、頭金0円で3000万円借入した場合、月々の返済額は91,855円です。
月々の返済額を同程度の約92,000円に設定し、頭金500万円と1000万円で、完済までの年月をシミュレーションしてみます。
借入額 | 完済までの期間 | 総返済額 |
頭金0円(3000万円借入) | 35年 | 38,579,007円 |
頭金500万円(2500万円借入) | 約28年 | 30,631,610円 |
頭金1000万円(2000万円借入) | 約21年 | 23,327,367円 |
頭金を1000万円用意すると、約14年も早く完済することができます。
今は月々の支払いは大丈夫でも、定年後に住宅ローンを支払えるのか不安だと言う方も多いため、期間を短くできるというのもとても大きなメリットと言えます。
期間を短くした場合でも、完済までに支払わなければいけない利息は安くなります。
頭金0円で35年で完済した場合、利息は8,579,007円です。
それに対し、頭金を1000万円用意して約21年で完済した場合、利息は3,327,367円となります。
頭金を1000万円用意して完済までの期間を短くすると、約525万円も得をします。
たくさん用意したほうがいい?
ここまで、頭金を用意するメリットをご説明しました。
では、頭金はたくさん用意した方がいいのでしょうか?
答えは、半分YESで半分NOです。
これは当たり前の話ですが、お金は無いよりあった方がいいので、お金を貯めるという意味ではたくさん用意した方がいいと言えます。
しかし、用意したお金を全て頭金にするのは絶対にダメです。
これから起こり得る不測の事態に備え、ある程度まとまったお金を残しておいた方が安心です。
頭金としてお金を支払うより運用した方が良いという意見もたまに見かけますが、住宅ローンの利息分よりも利益の出る運用法となると、まず元本保証ではないと考えられます。
元本割れを起こした場合、せっかく貯めたお金が減ったり、最悪の場合なくなってしまいます。
運用をするのであれば、しっかりとリスクも把握したうえで行って下さい。
頭金なしのリスク
さきほど、頭金を用意するメリットをお伝えしましたが、反対に、頭金なしで住宅ローンを借りるとリスクもあります。
頭金無しのリスクとして、5つのことがあげられます。
まず4つは、先ほどあげた頭金を用意する4つのメリットを得られないことです。
- 住宅ローンの審査にとおりにくい
- 住宅ローンの金利優遇が受けられない
- 月々の返済額が高くなる
- 完済までの期間が長くなる
最後の1つは、担保割れの可能性です。
担保割れについて詳しく説明します。
担保割れの可能性
住宅ローンを借りるとき、建物と土地を担保に入れます。
これを、抵当権と言います。
抵当権について詳しくはこちらの記事を参考にしてください。
不測の事態が起きて住宅ローンの返済が困難になってしまうと、この抵当権が執行され、建物と土地を売って住宅ローンの返済にあてられます。
このとき、住宅ローンの残債以上の値段で家と土地を売ることができれば問題はありませんが、売った結果、住宅ローンを返済しきれないことがあります。
この状態を担保割れと言います。
担保割れが起こってしまうと、当然ですが足りない分は債務者が返済しなければいけません。
そうなると、家の所有権はすでに住宅ローンを貸した金融機関か、すでに売れている場合買主のものになっていますので、家がなくなり、債務だけが残る最悪の状態になってしまいます。
もし不測の事態が起こらなかったとしても、もう1つ担保割れが問題になるケースがあります。
それは、家を買い替えたり引っ越したりするために、家を売却するときです。
原則として家は、住宅ローンの残債以上の金額でしか売ることができません。
そのため、担保割れを起こしていて、売却価格が残債を下回っている物件を売る場合、足りない分をまとめて返済しなければ売ることができません。
頭金を入れて借入額を減らすと、建物の評価より借入額が低い状態からスタートできますので、担保割れしてしまう可能性が低くなります。
反対に、借入額が大きくなればなるほど担保割れのリスクは高まるため、頭金ゼロの最大のリスクと言えるでしょう。
頭金なしの方がいい場合も
もし今から頭金を貯める場合、頭金なしで今すぐ住宅ローン審査を受ける方が得なケースもあります。
例えば、毎月5万円貯金し、5年後、頭金が300万円になった時点で家を建てるとします。
3000万円の家を金利1.5%、35年返済の住宅ローンを借りて購入する場合でシミュレーションしてみます。
今建てる | 5年後建てる | |
頭金 | 0円 | 300万円 |
借入額 | 3000万円 | 2700万円 |
利息 | 8,579,007円 | 7,721,138万円 |
300万円頭金を入れることで、利息分が約86万円少なくなりました。
しかし、現在家賃8万円の家に住んでいるとするとどうでしょう?
今建てる | 5年後建てる | |
利息 | 8,579,007円 | 7,721,138万円 |
家賃 | 0円 | 480万円 |
利息+家賃 | 8,579,007円 | 12,521,138万円 |
家賃を支払ってもあなたの手には何も残りませんので、家賃は消費です。
月々8万円の家賃を消費と考えると、5年間で480万円もの金額を消費することになります。
そう考えると、今すぐ頭金0円で建てた場方が、5年後に頭金300万円で建てるより、約390万円得する計算になります。
貯められる金額が少なく、現在の家賃が高いほど、今すぐ建てた方が得をします。
土地を取得して家を建てると、固定資産税がかかるため、それらを考慮すると若干計算は変わってきますが、総額3000万円の家と土地の場合固定資産税はどんなに高くても20万円程度です。
5年で100万円の固定資産税を考慮しても、約290万円も得をします。
今すぐ建てた方が得な場合、100%融資が可能な住宅ローンを選択する必要があります。
オススメの住宅ローンはこちらを参考にしてください。
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どれくらいがベスト?頭金の決め方
ここまで、頭金を用意するメリットや、頭金ゼロのリスクをお伝えしましたが、結局頭金はどれくらい入れるのがベストなのでしょう?
一般に言われている頭金の決め方と、私がお客様にご提案して行く中で感じている意見をお伝えします。
毎月返済できるかどうかがポイント
まず、一般的にはあなたが返済可能な予算を基準に判断するのが良いとされています。
総額3000万円の家を金利1.5%、35年返済の住宅ローンを借りて購入する場合で考えてみます。
頭金0円の場合、月々の返済額は91,855円となります。
月々9万円程度の支払いが可能であれば、頭金は0円でも問題ありません。
9万円より低い返済額にしたいなら、頭金を用意しなければいけません。
- 月々8万円・・・借入総額2600万円→頭金400万円
- 月々7万円・・・借入総額2300万円→頭金700万円
このように、月々の返済額が自分の予算にあうよう、頭金を用意するのが良いというのが一般的に言われている頭金の考え方です。
私個人の意見は・・・
ここからは私がお客様にご相談を受けたときにオススメしている方法なので、考え方の一つ程度に聞いていただければと思います。
先ほど、一般的には月々の返済額を基準に判断するのが一般的だとお伝えしました。
しかし、私は頭金はできるだけ少ない方がいいと考えています。
その理由は2つあります。
1つは、頭金を入れることで、住宅ローン控除で受け取れる金額が少なくなるということ。
住宅ローン減税(控除)では、年末時の住宅ローンの残債の1%を受け取ることができる補助金制度です。
残債が3000万円なら30万円、2000万円なら20万円といった具合に補助金を受け取ることができます。
頭金を入れると借入額そのもが減ってしまいますので、住宅ローン減税で受け取れる補助金も減ることになります。
住宅ローン減税について詳しくはこちらを参考にしてください。
住宅ローン控除(減税)の条件は?受け取るには確定申告が必要!
2つ目は、団信(団体信用生命保険)の補償額を減らしてしまうということです。
団信は、不測の事態が起こって住宅ローンを返済できなくなってしまったとき、保証してくれる保険です。
頭金を入れて借入額を減らすことは、この補償額を減らしてしまうことになります。
補償額を減らすうえに、もし頭金を入れていなければ手元に残ったはずのお金も失います。
そのため、極端な例ですが、頭金を500万円入れて住宅ローンを借りた翌日に万が一の事態が起こって団信が適用されたとすると、1000万円分損をすることになります。
これは、繰り上げ返済のリスクと同じ考え方なのですが、簡単な説明だけでは少しわかりにくいと思いますので、詳しく知りたい方はこちらの記事を参考にしてください。
実は住宅ローンの繰上げ返済にはリスクもあるって知ってました?
住宅ローン控除と団信の2点から、私は頭金は必要最小限のみにして、残りはキャッシュで置いておいた方がいいと考えています。
必要最小限というのは、諸経費と、金利優遇があるならそれを受けられる分です。
まとめ
いかがでしたか?
新築マイホームを購入する際に用意する頭金についてご説明しました。
頭金を用意するメリットは4つあります。
- 住宅ローンが借りやすくなる
- 住宅ローンの金利が低くなる
- 月々の返済額が少なくなる
- 完済までの期間が短くなる
しかし、現在の家賃が高い場合、頭金を無理に用意するよりも、今すぐ建てた方がいい場合もありますので、ご自身の状況をしっかりと把握し、頭金の計画を立てることが大切です。
一般的には、頭金は月々の支払い額があなたの予算内に収まるかどうかを目安に用意するといいと言われています。
しかし、私個人の意見としては、頭金はあまり入れない方がいいのではないかと考えています。
一般的な意見も、私の意見も、どちらが正解ということはありません。
場合によってはどちらも正解で、どちらも間違いの可能性もあります。
大切なことは、あなたのライフプランに合わせた計画を立てることです。
最後に、絶対に間違いのないことをお伝えしておきます。
頭金として使うかどうかは別として、不測の事態を想定してお金を貯めておいた方がいいです。
もし、新築マイホームの購入を検討しているなら、今から少しずつでもいいのでお金を貯めておいてください。
頭金をはじめとして、家の失敗で最も多いのはお金の失敗です。
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お金で失敗したくない方は、是非読んで頂ければと思います。