固定資産税のかからないガレージの条件とは?課税制度をくわしく解説
「ガレージのある家に住みたい。」
愛車を保管するだけでなく、趣味のスペースやストックルームとしても活用できるガレージ。
ただし、ガレージにも固定資産税がかかるのを知っていますか?
しかも、ガレージのタイプによっても税額の違いがあります。
この記事では、ガレージの固定資産税について詳しく解説していきますね。
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そもそも固定資産税とは?
『固定資産税』とは、土地や家屋の所有者に対して課される税金のこと。
地方自治体は、1月1月時点における建物の存在を、航空写真より現況確認しています。
したがって、登記や建築確認申請の有無にかかわらず、地方自治体が把握した建物は固定資産の課税対象となります。
固定資産税の計算方法
固定資産税は、土地や家屋の『固定資産税評価額』をベースに計算されます。
建物の固定資産税評価額は、『家屋の評価額』に基づいて設定。
なお、家屋の評価額とは、国が定めた基準の再建築価格によって決められますが、その計算のために間取りや使用材料などの調査を行います。
また、築年数が経つにつれて、すこしずつ評価が低くなり、減額されていきます。
建物の固定資産税 = 評価額 × 標準税率(1.4%)
以上の計算式で、税額がきまります。
ただし、注意点が2つあります。
ひとつは、標準税率は、1.4%よりも高い税率に設定している地方自治体があること。
もう一つは、評価額は、特例や税の軽減措置によって変化することです。
固定資産税がかかる条件とは?
建物の固定資産税には、課税される条件があります。
その条件を知ることで、課税される建物の構造をざっくりと掴みましょう。
外気分断性
外気分断性は、建物の屋根と壁があるかどうかで判断します。
3方向以上を屋根と壁で囲まれたビルトインガレージは、固定資産税がかかります。
土地への定着性
土地への定着性は、建物に基礎があり、永続的にくっついているかどうかを指します。
例えば、基礎の上に建っているプレハブ小屋や物置は、土地に定着しているといえますね。
用途性
用途性は、その建物が居住空間や作業場などの用途に利用可能であることを指します。
使う目的のある建物は、用途性がある、ということになります。
固定資産税がかからない建物の要件とは?
これまで、固定資産税がかかる条件をお伝えしてきました。
つぎに、固定資産税がかからない建物の要件についてポイントをおさえましょう。
1月1日時点に存在しない建物
冒頭で伝えたように、地方自治体が課税対象の建物を把握する日は1月1日です。
したがって、1月2日に把握された建物は課税対象にはなりません。
基本条件を満たさない建物
「外気分断性」「土地への定着性」「用途性」の条件を満たさない建物は、課税されません。
例えば、屋根と柱だけで構成されているカーポートなどは該当しません。
コンクリートブロックの上に乗せただけの物置も除外されます。
固定資産税評価額が低い建物
固定資産税評価額が、20万円に満たない建物は課税対象外として免税されます。
ガレージとカーポートの違い
ここからは、ガレージについて解説していきます。
まずは、ガレージとカーポートの違いを知っておくと理解がスムーズです。
ガレージ
カーポート
ガレージとは、屋根と壁に四方を囲まれた自動車を格納するための建物。
カーポートとは、屋根と柱だけの簡易的な駐車スペース。
ガレージは、屋根と壁に囲まれているため「外気分断性」があり、基礎があるので「土地への定着性」があります。
さらに、車を駐車し、保管するという「用途性」もありますよね。
したがって、ガレージには固定資産税がかかります。
その一方で、カーポートには壁がなく、基礎もありません。
固定資産税がかかるのは、「外気分断性」「土地への定着性」「用途性」のすべてを満たす建物。
そのため、カーポートには固定資産税がかかりません。
2種類のガレージの特徴
ガレージには、独立式とビルトインの2種類があります。
それぞれの特徴を解説しますね。
独立式ガレージ
独立式ガレージとは、住宅とは別に独立して立っている建物です。
リフォーム工事などで、後から建てることが容易にできます。
独立式ガレージの維持費と設置費
既製品の独立式ガレージを設置する費用は、本体と基礎工事を合わせて100万円程度が相場です。
維持費としては、固定資産税と自治体によっては都市計画税の課税対象になることも。
固定資産税の目安として、100万×60%×1.4%(固定資産税の税率)=8,400円程度。
さらに、都市部に設置した場合は都市計画税も課されます。
都市計画税の目安として、100万×60%×0.3%(都市計画税の税率)=1,800円程度。
固定資産税と都市計画税の両方課税された場合は、10,000円前後が維持費であることが予測できますね。
ビルトインガレージ
ビルトインガレージは、住宅の一部にガレージが含まれている建物です。
構造躯体の一部になるので、新築時に計画するのが一般的です。
リフォームで設置することもできますが、施工が大がかりになるためコストがかかります。
ビルトインガレージの維持費と設置費
ビルトインガレージを設置する費用は、新築の場合は建物の本体工事に含まれます。
設計を依頼している建築業者に、金額を確認しましょう。
ビルトインガレージの面積が住宅の面積の1/5以下であれば、固定資産税の対象から除外されます。
逆に、ビルトインガレージの面積が住宅の面積の1/5を超えると、延べ床面積に加えられ、その分の固定資産税は高くなります。
さらに、電動シャッターのメンテナンス費用がかかることも覚えておきましょう。
固定資産税がかからないガレージとはどんなもの?
ガレージの種類や設置状況によっては、固定資産税は無料になります。
3つのガレージそれぞれのパターンを紹介しますね。
プレハブ
コンクリートブロックの上に建っているプレハブ小屋は、土地定着性がないとされ固定資産税はかかりません。
ただし、電線を通すことで、その場所から動かさない状態になったとみなされ、課税対象とされるケースがあるので注意しましょう。
コンテナ
基礎の上に建っているコンテナハウスは、四方を壁で囲われているうえ、地面に定着しているため固定資産税がかかります。
なお、コンテナハウスは建築物なので、設置をする際には建築確認申請も必要です。
バイクガレージ
屋根と柱だけで構成されているバイクガレージは、固定資産税がかかりません。
前述しましたが、基礎がなく屋根と壁だけで構成されているカーポートタイプの場合も同じです。
固定資産評価額が高くなるガレージとは?
ガレージの固定資産評価額が高いと、固定資産税も高くなります。
具体的には、主にシャッターやドアなどの建具の仕様が関係します。
シャッターは、電動や手動、また種類によって評価額が違います。
シャッターではなくドアをつける場合も、材質が高級なものであれば評価額が高くなります。
建物引き渡し後にガレージ設置をすすめられる理由
「ガレージは、引き渡し後に設置する方法もある」という不動産業者もいます。
その理由は、建ぺい率の上限まで住宅を建築してからガレージを設置している実例があるから。
要は、ガレージを後から設置すれば指摘されない限りは建ぺい率オーバーができてしまうということ。
建築物の建ぺい率オーバーは、建築基準法違反です。
ただし、カーポートには緩和条件があります。
各市町村の役所に、条件に該当するかどうか問い合わせてみましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
ガレージを検討するときには、課税制度を知っておくと住まいづくりの判断がしやすくなりますよ。
夏の日差しや冬の積雪から、大切な愛車を守ってくれるガレージ。
将来のライフスタイルも考慮しつつ、どんなガレージにするかを検討してみてください!