【建築士監修】工務店とは?ハウスメーカーとの違いや特徴をわかりやすく解説!
注文住宅を建てるとき、ハウスメーカーと工務店のどちらにするか?は迷いどころですよね。
特に、工務店はCMもしていないし、何をどこまでやってくれるのか?というのが見えにくいと思います。
工務店といってもピンからキリまであるので、変なところに頼んでしまうとせっかくの注文住宅が台無しになってしまいます。
高いお金を払って失敗するなんて、絶対に嫌ですよね!
そこでこの記事では、工務店のしくみや特徴、ハウスメーカーとの違い、良い工務店を選ぶための3つのポイントをお伝えします。
- 安く家を建てたい
- オンリーワンの注文住宅を建てたい
- 注文住宅に失敗したくない!
という方は必見です!
工務店とは?
工務店とは、ごく狭い範囲のエリアで建築をおこなっている地域密着型の施工業者です。
一般的に、熟練の技をもった大工さんが設計から施工までを一貫しておこなっており、ハウスメーカーより自由度が高いという特徴があります。
また、その地域の気候や地盤の変化についても知りつくしているので、それらの知識を生かした魅力的な家づくりをできる強みなどもあります。
一戸建ての8割は工務店が建てている
日本では大手ハウスメーカーが有名で、ほとんどの家はハウスメーカーが建てているんじゃないかと思ってしまいますよね。
しかし実は、日本の家の8割は工務店が建てています。
参考:一戸建て供給シェア
ハウスメーカーの多くは、施工を下請け業者に「丸投げ」しています。
つまり、実質的にはほとんどの家は工務店がつくっているんです。
しかし、工務店単体でみるとそれぞれ着工棟数が少なく、宣伝もしていないため、広く名前が知られにくいのが現状です。
工務店とハウスメーカーの違い
ハウスメーカーと工務店にはどのような違いがあるのか、それぞれの仕組みをみていきましょう。
工務店の仕組み
工務店は、基本的には営業・設計・施工・アフターサービスまで自社でおこないます。
営業マンと大工さんが直接顔を合わせて相談できるので、社内連携がとりやすく情報伝達もスムーズです。
しかし小規模なゆえ、大工さんのこだわりが強かったり腕が悪かったりすると、リカバリーがきかず納得のいく仕上がりにならないこともあります。
【工務店の特徴】
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フルオーダーの工務店は良くも悪くも自由です。
良い業者をしっかりと選定することができれば、安くて満足のいく家を建てられるでしょう。
近隣の工務店なら、引き渡し後に何かあっても、たらい回しにされずすぐに駆けつけてくれる安心感もありますね。
ハウスメーカーの仕組み
ハウスメーカーは、営業・設計を自社でおこない、施工は下請けや孫請けの工務店に依頼します。
施主の顔を知らない職人さんが家を建てるということで、不安に感じる方も多いかもしれません。
そこでハウスメーカーの家は、ある程度まで工場でつくられた製品を現場で組み立てる「規格品」となり、最低限の品質を保てる仕組みになっています。
【ハウスメーカーの特徴】
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ハウスメーカーの家は、パターン化されたセミオーダーです。
また、モデルハウスの運営費、CM、マージンがあるため、あなたが支払ったお金の3~5割はハウスメーカーの取り分となります。
一括仕入れによる材料のコストカットもあるので一概にはいえませんが、ハウスメーカーと工務店でまったく同じ仕様の家を建てるのであれば、一般的にはハウスメーカーの方が割高ということになります。
工務店の種類
工務店には、小さな工務店から全国規模のビルダーまでさまざまなタイプがあります。
大まかに工務店の種類を4つご紹介します。
- 一人親方の工務店
- スーパー工務店
- パワービルダー
- フランチャイズ加盟店
一人親方の工務店
一人親方とは、○○市・○○町などの小さなエリアで家づくりをおこなう「超地域密着型」の工務店です。
昔ながらの大工さんと弟子、家族経営といったカタチが多いですね。
大工さんが設計も兼ねているのであれば、施主と直接話すことができるため、こまかい要望や微妙なニュアンスを伝えやすいメリットがあります。
設計のみ外注している工務店、ハウスメーカーの下請け専門の工務店もあります。
スーパー工務店
スーパー工務店とは、主にひとつの都道府県内で営業・設計・施工を自社でおこなう、やや規模の大きな工務店です。
社内に専門の設計士がいるため「凝ったデザインの家にしたい」「変わった間取りの家を建てたい」という人に向いています。
小回りがきき、それでいてある程度の実績もあるので、こだわりの注文住宅を建てたい方にはちょうどいい規模といえます。
ホームページを充実させていたり、気軽に相談しやすい工務店が多いので、地域ごとにチェックしてみてください。
パワービルダー
パワービルダーとは、近隣3県以上にまたがるエリアで、営業・設計・施工を自社でおこない、年間200棟以上の施工実績がある大きな工務店です。
タマホーム、アイダ設計、アイフルホームなどもパワービルダーに分類されています。
ハウスメーカーといっても通じる規模なので、ブランド力があり安心感があるメリットもあります。
しかし規格化された家が多く、自由度は低くなります。
フランチャイズ加盟店
フランチャイズ加盟店とは、ハウスメーカーの名前を借りて地域密着で営業・設計・施工をおこなう工務店です。
本部が一括仕入れした建材を使い、指定された工法で家づくりをするため、コストが抑えられる反面、自由度が低いデメリットがあります。
地元の小さな工務店がやっているケースが多いので、ハウスメーカーの営業マンよりも現場に詳しく、柔軟な対応が期待できます。
ただし、店舗によって対応・施工技術に差がある点には注意が必要です。
失敗しない工務店の選び方
工務店で注文住宅を建てる場合、どのような工務店を選べばいいのでしょうか?
ポイントは3つです。
- 地域密着の昔からある工務店
- 営業・設計・施工まで自社完結できる
- 住宅完成保証制度に加入している
1.地域密着の昔からある工務店
テレビCMなどをしない地域密着型の工務店は、口コミが命です。
地元で悪い噂が広まってしまえば、小さな工務店などはすぐに潰れてしまいますよね。
そんな過酷な状況の中、長い間営業を続けられている工務店は、誠実な仕事をする工務店と判断できます。
また、アフターサービスをきちんとおこなってくれる工務店も地元での評判が良く、一生付き合っていけるパートナーになるでしょう。
2.営業・設計・施工まで自社完結できる工務店
工務店の中には、設計だけを外部の設計事務所に依頼しているところもあります。
しかし電話などで詳細確認をしていかなければならない外注は、行き違いが発生しやすく、こだわりのある注文住宅にしたい場合には向きません。
営業・設計・大工が同じフロアに集まって小さなことでもすぐに確認できる工務店であれば、情報がより早く正確に伝わりやすく、工務店ならではの連携の良さを最大限に生かせます。
3.住宅完成保証制度に加入している工務店
「住宅完成保証制度」とは、万が一、工事の途中で会社が倒産してしまった場合、施主の費用負担を最小限におさえて住宅を完成させる保険です。
工務店が任意で加入するものであり、保証料も基本的には工務店が支払います。
住宅完成保証制度に加入するためには、工務店の経営状況をチェックされます。
厳しい審査をクリアした工務店しか加入できない制度なので、住宅完成保証制度に加入できる工務店は経営が安定している優良企業と判断できます。
保証制度に加入しているかは工務店に聞くか、住宅あんしん保証サイトでチェックしてください。
あなたが注文住宅を依頼したい工務店が住宅完成保証制度に加入していなければ、施主から「保証制度を利用したい」と申し出ることで、工務店が手続きをしてくれることになります。
まとめ
【工務店】
狭いエリアで建築をおこなう地域密着の施工業者
- 低価格で自由度が高い
- 仕上がりに差が出やすい
【ハウスメーカー】
営業・設計を自社でおこない、施工を下請けの工務店に任せている
- 一定のクオリティで当たりはずれが少ない
- 割高で自由度が低い
良い工務店を選ぶポイントは3つです。
- 地域密着の昔からある工務店
- 営業・設計・施工まで自社完結できる
- 住宅完成保証制度に加入している
工務店にもハウスメーカーにもそれぞれ良さがあります。
後悔しないように、あなたに合った会社を選んでください!
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