再建築不可物件は売れない!?売却方法・相場・注意点などのキホン知識
親の家を相続したけれど「その家は再建築不可だから売れないよ」といわれて困っていませんか?
- 再建築不可物件って何?
- どうやって売却するの?
- いくらで売れるの?
再建築不可物件は、売りにくい不動産の代表格です。
「どうせ売れないから・・・」と売却をあきらめてしまっている方も多いかもしれません。
しかし、再建築不可物件でも売却できる方法はあります!
空き家のまま放置してしまうと高額な税金を支払うリスクもあるので、早く売却してスッキリしたいですよね!
この記事では、再建築不可物件のキホンをわかりやすく解説します。
記事を読めば、再建築不可物件の相場や売るためのコツ、注意点を知ることができます。
再建築不可物件とは?
「再建築不可」とは、一度建物を取り壊してしまうと二度と建て替えができない土地のことです。
建築基準法には、以下のような接道義務があります。
再建築不可物件は、この接道義務を満たしていない物件のことです。
【再建築不可の例】
【再建築できる例】
ここでいう道路とは“建築基準法上の道路”のことで、私道や単なる通路は含まれません。
「普通に車も走っているし公道だと思っていた」という道が、実は私道で再建築不可だったというケースもあります。
接道義務は安全のためにつくられた
接道義務とは、災害などが起こったときに緊急車両がスムーズに建物に近づけるようにとつくられた法律です。
このような再建築不可物件が増えたきっかけは、昭和54年におこなわれた建築基準法改正です。
▶幅員3.64m以上の道路に、敷地が1.82m以上接していること
【現在】
▶幅員4m以上の道路に、敷地が2m以上接していること
消防車の規格が変更されたことにともなって、接道義務の範囲も変更されました。
しかしこのわずか数十センチの差で、法律どおりに建てたはずの家が突然「法律違反」になってしまうことに・・・。
とはいえ、すでに建てた家を取り壊すわけにはいきませんよね?
そこで、「次に建築するときからいまの法律に従ってくださいね」と定められ、再建築不可物件が生まれることになりました。
法改正された昭和54年以降に、一度も解体されていない家も多いことから、このような再建築不可物件はいまも多く残っています。
再建築不可物件の多いエリアは?
再建築不可物件は、東京23区、神奈川県横浜市・川崎市などの住宅密集地に多くあります。
歴史ある京都の裏路地にも「突っ込み道路」という行き止まりの道路や、「袋地」という他人の土地を通らないと通行できない道もあります。
ただ比較的、立地がよく便利なエリアにあるので周辺の坪単価は高めです。
政府の調査によると、このような再建築不可物件は住宅の約3割を占めるといわれています。
再建築不可物件と一般宅地の違い
「売りにくい」といわれる再建築不可物件は、一般宅地とどのような違いがあるのでしょうか?
再建築不可物件の特徴をまとめました。
相場は一般宅地の5~7割ほど
再建築不可物件の相場は安く、ふつうの宅地の5~7割ほどです。
一般相場が2,000万円であれば、同じ敷地面積でも1,000~1,400万円で売却することになります。
買い手からすれば「超お買い得物件」ではありますが、建て替えができないというデメリットが大きいために、買い手がなかなかつかないのが現状です。
固定資産税が安い
再建築不可物件は、ふつうの宅地よりも固定資産税が安いです。
- 道路に面していない
- 不整形地である
- 間口がせまい
- 築年数が経過している
再建築不可物件の持つこれらの特徴が、不動産評価額を計算するときの減価補正の要因となるからです。
住宅ローンが組めない
再建築不可物件は、そもそも一般宅地としては見られていません。
そのため、買い手は建物を担保にした住宅ローンを組めません。
再建築不可物件の買い手となるのは、現金一括払いができる人や、住宅ローン以外の割高のローンを組める人。
このように買い手が限定されてしまうことが、さらに売りにくい要因となっています。
車通りが少ない
再建築不可物件は、せまい路地に面している場合がほとんどです。
そのような場所は、大型トラックの行き来や、スピードを出して通り抜ける車がありません。
小さな子どものいる家庭や、身体が不自由な方にとっては、安心して外に出られる土地といえるかもしれません。
倒壊するリスクが高い
再建築不可物件のほとんどは、昭和56年以前に建てられた旧耐震基準の家。
耐震性が極端に低いために、大きな地震があると真っ先に倒壊する可能性が高いです。
また一度倒壊すると建て替えられないので、突然住むところを失うリスクもあります。
再建築不可物件を売却する方法
仲介では売りにくい再建築不可物件は、以下の方法で売却します。
- 隣地所有者に売る
- リフォームをして売る
- 投資家に売る
- 再建築可能にして売る
- 買取業者に売る
隣地所有者に売る
再建築不可物件の売り先として一番良いのは、隣の人に土地を買い取ってもらう方法です。
もしかしたら、お隣さんはその場所を気に入っていて「建て替えたいけど再建築不可だし引っ越すものなぁ・・・」と思っているかもしれません。
そんなときあなたから「うちの土地を買いませんか?」と話があれば願ってもいない申し出になりますよね。
お隣さんにとっても、敷地が広くなることで得られるメリットがたくさんあります。
狭小地では、隣地も同じように再建築不可というケースがあります。
お隣さんも再建築可能になれば、自宅を建て替えられるようになるので、多少高くても買い取ってくれる可能性があります。
リフォームをして売る
建築不可物件であっても、リフォームやリノベーションは可能です。
建築基準法では、大規模リフォームをするときは「建築確認申請」が必要と定められています。
しかし、例外として「4号建築物」(木造2階建て/延べ床面積500㎡以下)は、建築確認申請をうけなくてもよいことになっています。
よく「再建築不可物件は柱さえ残せばリノベーションできる」といわれますが、これは再建築不可物件のほとんどが「4号建築物」に該当しているからです。
リフォームやリノベーションをした建物は、新たな価値を生みだし売りやすくなります。
好立地なら投資家に売れる可能性もある
都心部にある駅近物件なら、賃貸としての需要があります。
借りる人にとっては、再建築不可物件のデメリットはなく
- 都会の便利なところに安く住める
- いつでも退去できる
- 住宅ローンを組む必要がない
など、むしろメリットの方が大きくなります。
自分で大家さんになって経営するのも良いのですが、おすすめは投資家に「収益物件」として売却すること。
賃貸経営にはさまざまな手間やリスクがあり、よほど慣れている人でないと面倒なトラブルに巻き込まれる可能性があります。
再建築可能にして売る
「できるだけ高く売りたい!」という方は、再建築を可能にして売る方法もあります。
先ほどお伝えしたとおり、建物を建てるには「幅4m以上の公道に敷地が2m以上」接していなければなりません。
そこで以下の対策をおこなって「建築可能」にします。
手間はかかりますが、再建築可能になれば一気に市場価値が上がり、一般宅地と同じ価格で売却できるようになります。
ただしすべての土地でできるとは限らないので、まずは不動産会社に相談してください。
手っ取り早く売るなら買取業者
以下のような方は、業者に買い取ってもらうのがベストです。
買取相場は仲介と比較して6~8割ほどになります。
【買取価格の例】
・再建築不可物件の相場(6割の場合) ・買取の相場(7割の場合) |
再建築不可物件を買取にすると相場の半分以下になります。
しかし、すぐに現金化できるメリットや、内覧対応や建物検査などの必要もありません。
再建築不可物件を売るなら知っておくべき注意点
さいごに、再建築不可物件の注意点を3つお伝えします。
絶対、更地にしない!
再建築不可物件を売ろうと思っているなら、絶対に更地にしないでください!
建物自体がないと、資産価値が低くなるどころか買取業者でもお手上げになってしまう可能性があります。
「どうせ古い家だからとりあえず取り壊しておこう」と解体したらアウト。
建物さえあればリフォームするなどほかに方法はあるので、買い手が希望しないかぎり手を加えないようにしてください。
もしも更地にしてしまったら・・・?
再建築不可物件を更地にすると、売却ではかなり不利です。
もし更地にしてしまったら、売るのではなく土地活用にシフトチェンジする方法があります。
再建築不可物件のあるエリアは家が密集しているため自宅に駐車スペースのない家も多く、月極駐車場としての需要が期待できます。
駅から徒歩10分以内なら、コインパーキング、バイク・自転車置き場として活用できるかもしれません。
また、近所の店舗、工場、建設会社などに声をかけて、資材置き場として貸し出す方法などもあります。
放置は危険!「特定空き家」になると税金が上がる
もし、いまは誰も住んでいない再建築不可物件を放置しているなら、注意が必要です。
平成27年に空き家対策特別措置法が施行され、次のような建物は「特定空き家」に該当する可能性があります。
この「特定空き家」に該当すると固定資産税がはね上がります。
通常、土地の上に家が建っていると固定資産税が6分の1になる優遇制度が適用されています。
しかし、特定空き家に該当するとその優遇が打ち切られ、更地と同じ高額な固定資産税を支払うことになるので注意してください。
境界線をハッキリさせる
狭小住宅地でもっとも多いのは、境界線をめぐる隣人トラブルです。
とくに築年数の経過した再建築不可物件は、以下の理由で隣地境界線があいまいになっています。
古くからのご近所付き合いのおかげでトラブルに発展しなかった場合でも、人に売るとなれば話は別です。
境界線のハッキリしていない土地は、隣人トラブルのリスクが高いため買い手に敬遠されてしまいます。
そこで、測量をおこなって境界線を確定させておく必要があります。
また狭小地では、リフォームをするときに隣の敷地に足場の設置をお願いすることもあるので、お隣さんとはなるべく円満な関係を築いておきましょう。
まとめ
いかがでしたか?
再建築不可物件は、建築基準法の接道義務を満たしていない物件です。
建て替えができず、相場は5~7割ほどと安くなります。 【再建築不可物件の売却方法】
空き家として放置すると固定資産税がはね上がることもあるので、早めの売却をおすすめします。
再建築不可物件は、取引価格が安いうえに手間がかかります。
そのため、売却を依頼する不動産会社は慎重に選んでください。
ふだんは一般宅地の仲介ばかりをおこなっている“利益重視”の不動産会社が、片手間で再建築不可物件をやるとなれば、あなたの物件は後回しにされてしまいます。
売却を成功させるには、再建築不可物件の売却に強い不動産会社に依頼することが重要です!
再建築不可物件の扱いになれた不動産会社をさがすなら、不動産一括査定サイトが便利です。
1分の入力であなたに合った不動産会社が見つかります!
不動産一括査定サイトは、こちらの記事でもくわしく解説しているのでぜひご覧ください!
プロが勧める不動産一括査定サイト5選!メリットとデメリットも解説!
あなたの不動産売却が成功することを願っています!