延べ床面積の調べ方が知りたい!延べ床面積が関係する3つの費用について
いざ物件探しをはじめてみると聞きなれない専門用語がたくさんでてきます。
今回は延べ床面積に焦点をあて、費用面と限られた土地をより広く有効活用する方法をまとめました。
家を決めた後に「事前にもっと調べておけばよかった…」と後悔しないように、物件を探す前に一度目を通して損はないですよ。
ぜひ最後まで読んでみてくださいね。
【一戸建て】延べ床面積=総床面積の調べ方
『延べ床面積』とは、建物の総床面積をさします。
延べ床面積を調べるなら最寄りの法務局で窓口問い合わせをする、もしくはインターネットでも閲覧することが可能。
その際、登記簿謄本(全部事項証明書)を取得してみましょう。
以下の内容を確認することができます。
- 所在地
- 種類・構造
- 延べ床面積・専有面積
- 建築年月日
建物購入時であれば重要事項説明書や売買契約書にも記載されています。
もし登記簿等の証明書が必要ならばオンラインで請求するとお得です。
窓口請求よりも手数料が安いだけでなく、平日は21時まで対応可能なので、仕事が忙しく法務局が対応している時間に行くことができない人におすすめの方法です。
待ち時間なく、自宅や会社に届くのはメリットの一つですね。
延べ床面積の基本を理解しよう
延べ床面積は建築時に提出する『建築確認申請(確認申請)』に記載されています。
建築確認申請とは、家を建てる前に都道府県や市に建ぺい率や容積率を記載した書類を提出し、建築確認の手続きを申し込むための書類をさします。
建築確認申請により「建築基準を満たしている違法建築ではないのか」、「その土地の用途に適しているのか」等の確認を受けるのです。
これらは、建築基準法に必要性を明記されており、申請を受ける義務があります。
正確な延べ床面積を知ることで、容積率や後の固定資産税にも大きく関わってくるのです。
延べ床面積の求め方
前述したように、建物の総床面積を『延べ床面積』といいます。
延べ床面積は、平屋なら1階部分のみ、2階建ての住宅なら1階と2階を足した総床面積で算出されます。
実際の居住空間とは異なり柱の中心から柱の中心を結んで囲まれた面積をさすので、柱や壁の厚みの分、数値より狭い印象となるのです。
その他、延べ床面積と似たワードで『建築面積』と『土地面積』があります。
専門用語を正しく理解すれば物件の要望をハッキリと専門家に伝えることができ、住まい探しがはかどりますよ。
建築面積
建物を真上から水平に見たときの外周で割り出した面積を『建築面積』といいます。
基本的に1階部分の面積をさし、建ぺい率の計算基準として用いられます。
敷地に対して建物が占める割合を算出することで、建築基準法に則った住宅を建てることが叶うのです。
土地面積
土地面積はその名の通り『敷地面積』とも呼ばれ、土地を真上から見た時の投影面のこと。
水平投影で測るため、山間部などの斜面地は実際の土地面積よりも小さくなる傾向にあります。
延べ床面積に含まれない場所とは
代表的な箇所が以下の5種類。
- 天井の高さが1.4m以下のロフトや階段下収納
- 吹き抜け
- バルコニーやベランダ
- 地下室や床下収納
- ビルトインガレージ
これらは延べ床面積に算出されない場所です。
ロフトや階段下収納は、同じ階の面積2分の1以内であれば延べ床面積から除外されます。
またそもそも床のない吹き抜けは対象外ですね。
バルコニーやベランダは、出幅が2m以下だと除外対象。
地下室や床下収納は、延べ床面積の3分の1以内かつ地盤面から地階の天井が1m以下であることが対象外の条件です。
狭小地を最大活用するビルトインガレージは、延べ床面積5分の1以内であれば除外対象の箇所といえます。
その他、出窓や屋上なども延べ床面積に含まれないです。
延べ床面積に含まれないスペースを知ることで、部屋の広さに関わる容積率と記事後半で解説する固定資産税に大きく関わってきます。
容積率を左右する延べ床面積とは
容積率とは、土地に対してどのくらいまでの延べ床面積の家を建てられるかを表した数値をさします。
例えば、土地が100㎡で容積率が150%の場合、建物の延べ床面積は最大150㎡までとなります。
容積率は住むエリアによって基準値が設定されており、住居系の用途地域と商業系の用途地域では容積率も違ってくるのです。
土地の広さに対して、建築可能な大きさが限られているのであれば、延べ床面積に含まれない場所を有効活用してみましょう。
一例ですが、延べ床面積に含まれない箇所を収納スペースとして活用することで、それぞれの部屋をより広く確保することができますよ。
【賃貸マンション】専有面積の基本を理解しよう
物件を探している時に『専有面積』というワードを耳にします。
さまざまな専門用語がある中で、正しく意味を知ると数値だけで見るのと、実際に住んでみた時とのズレが無くなりますよ。
専有面積とは
マンションやアパート等の集合住宅において、各部屋の居住者だけが使用できる床面積を『専有面積』と言います。
マンションやアパートでは、専有面積の他にエントランスや廊下・階段などマンションの住民と共有する箇所もあり、区別する目的で使用される用語です。
専有面積に含まれるのは、リビングダイニングや寝室などの居住スペース以外に、キッチンやトイレなどの水まわり、玄関やクローゼットも該当します。
専有面積の種類
出典:LIFULL HOME’S【専有面積説明図】
専有面積は『壁芯面積(へきしんめんせき又はかべしんめんせき)』と『内法面積(うちのりめんせき)』の2種類の方法で表示されます。
それぞれ特徴と違いを詳しく見てみましょう。
壁芯面積
壁の厚みの真ん中を中心線とみなし、囲んだ面積を『壁芯面積』といいます。
部屋を真上から水平に見た時、壁の厚みを約半分含めて表す部屋全体の面積のこと。
壁の厚みが含まれている分、実際の居住スペースより広い数値となるのが特徴です。
壁芯面積は分譲マンションの売買でよく目にするワード。
新築中古問わず区分所有の建物では『不動産の表示に関する公正競争規約』により、壁芯面積で表記することが定められているのです。
建設中に売り出される分譲マンションは、室内が完成していない段階から宣伝広告を打ち出すので、壁芯面積でしか正確な数値を表すことができないために使用するワードともいえますね。
内法面積
壁の内側のみを表示した内法面積は、実際の居住スペースを表した数値です。
買主側からすると実際の広さを知ることができ、壁芯面積よりも内法面積が知りたい人も多いかと思います。
中古マンションや賃貸マンション・アパートは内法面積で表示されることが多いです。
ただし賃貸マンションやアパートについては、壁芯面積と内法面積のどちらでも表記が可能なため、注意が必要。
専有面積として記載がある場合は、壁芯面積をさすのか内法面積をさしているのか問い合わせてみましょう。
分譲マンションは、規則により壁芯面積での表記が定められているとお伝えしましたが、中古分譲マンションの場合は『登記簿面積』と記載されることがあります。
こちらは基本的に内法面積をさしますが、柱の出っ張りなど一部考慮されない部分もあるので、完全な内法面積ではないことを頭に入れておきましょう。
壁芯面積と内法面積の違いを知ることで「実際に住んでみたら思っていた広さと違う」というズレが無くなりますよ。
専有面積の調べ方
戸建て同様、建物の登記簿謄本や建築確認書で確認することができます。
ただし賃貸の場合は個人で調べるよりも、不動産会社や管理会社に問い合わせすると教えてくれるケースがあるので1度相談してみましょう。
専有面積に含まれない場所
バルコニーやベランダ・玄関ポーチは、専有面積に含まれず共有スペースとして認識される場所。
マンションやアパートのベランダ類には火事などの緊急時に隣室へ突き抜けられる非難通路の役目も担っているからです。
また玄関ポーチとは、玄関先にある庇(ひさし)下の部分をさします。
雨風や日差しを遮る効果があり、マンションやアパートの入口部分に設置されているもの。
基本的にはマンションの住人が利用することから、共有スペースと認識されることで専有面積からは除外されます。
ロフトや床下収納も専有面積に含まれない場所です。
ロフトは部屋全体の専有面積に対して50%未満かつ天井高が1.4m以下の条件を満たすスペースが除外対象となります。
一般的に賃貸マンションやアパートは表記された専有面積+ロフトと設計されていることが多く、屋根裏収納やちょっとした趣味の部屋として活用することもできますよ。
実際の居住スペースに+αがつくことで住まいをより広く活用することが叶います。
ロフトについて詳しく知りたい方はこちらを参照ください。
延べ床面積が含まれない箇所を活用して家を広くする方法
住居に欠かすことのできない収納スペースをロフトや床下収納を活用することで、各部屋をより広く確保することができます。
またリビングを吹き抜けにすれば、太陽光を室内にたくさん取りこめて風通しもよい開放感のある空間を演出できるでしょう。
廊下に出窓を設けるのもおすすめです。
45㎝程度の出窓をいくつか設置すれば圧迫感を感じない広々とした廊下を作ることができます。
出窓には花やお気に入りの雑貨を飾るのも素敵ですね。
他にも、ビルトインガレージは狭小地を最大限に活用することが叶います。
まとまった庭を確保することが難しい場合は、外部階段を設置し屋上を設けてみてはいかがでしょうか。
洗濯物を干したり、屋上ガーデニングをしたりするのも魅力的です。
これら外部階段と屋上も延べ床面積除外対象となり、暮らしに合わせて有効活用してみましょう。
延べ床面積が関係する3つの費用
延べ床面積の基礎知識と関連する専門用語をいくつか解説してきました。
この章では、実際に延べ床面積を知ることで費用面がどのように変わるのかまとめています。
物件を探すときや家を建てるときの参考になれば幸いです。
建物価格
延べ床面積×坪単価で建物の本体価格が算出されます。
いくら坪単価が割安でも延べ床面積が広いと建物価格は高くなるということですね。
ただし単純に、延べ床面積を狭くしたからといって建物価格が安くなるとは限りません。
住宅メーカーによって坪単価の計算方法や使用する建材によって価格は変動するためです。
また生活に欠かせないキッチンやトイレなどの水まわりは、リビングや寝室に比べ設備を要することから、割高な傾向にあります。
例えば、各部屋を一回り狭くしてトイレを1階と2階に設置した場合、工数や設備が増加するため建物価格の上昇に繋がるのです。
火災保険
住宅の面積によって火災保険額は変動します。
特に専有面積が広いほど建物の評価額も高騰し、建物と同額の保険金額が設定されるのです。
どのような保証をつけるかだけでなく、延べ床面積をはじめ、地上階数や建築構造、耐火基準なども保険額を算出するために必要な項目ですね。
固定資産税
固定資産税の算出方法は、固定資産税評価額×標準税率の1.4%で割り出されます。
固定資産税評価額は建物の本体価格だけでなく土地の時価や建物設備を全てを考慮した価格。
そのため、建物価格の目安となる延べ床面積が広いとその分固定資産税も高くなる可能性があります。
延べ床面積に含まれないロフトやバルコニーは、固定資産税の対象基準から除外されるのです。
また、固定資産税に関しては、新築戸建てにかかる固定資産税を3年間、マンションの場合は5年間2分の1に減額する特例措置もあります。
令和5年1月現在、上記の適用期限は令和6年3月31日まで延長されています。
【参考例】延べ床面積30坪の間取り
出典:Techno Home【実例写真】
延べ床面積が約30坪、土地の広さが78.95坪、3LDK、2階建ての住宅。
土間リビングを吹き抜けにすることで開放感のある空間を演出しています。
8帖ある小屋裏では収納だけでなく、シアタールームなど趣味の部屋としても活用できますね。
限られた空間を工夫することで広く見せることができるのです。
まとめ
延べ床面積を知るには法務局で問い合わせするか、インターネットから閲覧することができます。
延べ床面積を知ることで、建物本体価格や火災保険、固定資産税などの費用面を理解するだけでなく、敷地に対してどのくらいの建物を建てられるかの基準にもなります。
限られた敷地を最大限に活用しつつ、完済後も支払いが続く火災保険や固定資産税を抑える工夫が必要ですね。
延べ床面積を含まない場所を有効活用することで、住まいを広く確保しつつ費用を抑える糸口が見つかるかもしれません。
聞きなれない専門用語が多い不動産業界ですが、一つずつ理解することで物件探しのお手伝いになれば嬉しいです。
くれぐれも、マイホーム作りは慎重に…