不動産売却の手付金の相場はいくら?手付金の仕組みと注意点
大きな金額が動く不動産取引では、契約時に手付金の支払いがあります。
「手付金」という言葉は聞いたことがあっても、詳しい内容について知らないという方も多いのではないでしょうか?
- 手付金の相場はいくら?
- 手付金の仕組みがよく分からない
- 売却時のリスクを減らすには?
手付金には、売買契約のキャンセルを防ぐという目的があります。
手付金を設定しなかったり金額が安すぎると、突然のキャンセルで資金計画が破綻、住む場所がなくなってしまうなどの大きな損害につながってしまいます。
この記事では、売買契約時の手付金の仕組み、相場、支払いタイミング、注意点について解説します。
手付金の重要ポイントをおさえて、スムーズな取引の参考にして頂ければと思います。
手付金の仕組み
不動産売却の手付金は、そもそもどのようなものなのでしょうか?
手付金は買主から売主に支払うもの
手付金とは、買主が売主に対して「売却代金の一部」として支払うものです。
手付金を支払うことで、買主は「もっといい物件が見つかったからキャンセルしたい」などのように、簡単には契約解除ができなくなります。
売主も「もっと高く買ってくれる人が現れたからその人に売りたい」と、契約破棄することはできません。
不動産売買は高額取引のうえ、「家」という重要な役割があるので、お互いにキャンセルしにくい状況にする必要があります。
キャンセル時は手付金を没収できる
買主が何らかの事情で契約を解除する場合、一度支払われた手付金は売主が没収できます。
しかし売主が契約解除する場合も、買主に対してキャンセル料の支払いが発生します。
【手付金100万円の例】
売主は100万円を返したうえで、さらに100万円を支払わなければならないので「手付金の倍返し」と呼ばれています。
手付金額の決め方
手付金は「キャンセル料」という性質があるため、あまり安すぎては意味がありません。
手付金に上限はない
売主が個人の場合、手付金額に上限はありません。
また下限もないので、売主の好きな金額に設定することができます。
※ちなみに業者が売主となる場合は、宅地建物取引業法により売却価格の20%を上限としています
手付金の3つの相場
では、実際の手付金の決め方をお伝えします。
手付金額の決め方には、以下の3パターンがあります。
売却価格や買主の状況に応じて、不動産会社と相談しながら決めてください。
【パターン1】売却代金の5~10%
手付金額として最も多いのは、売却価格の5~10%です。
売却価格5,000万円の場合、手付金は250~500万円とかなり高額になります。
500万円を棒に振ってまで契約をキャンセルしようとする人はいないので、手付金としての効力は強いと言えます。
【パターン2】100万円
一般人同士の売買では、高額になり過ぎないようにと「手付金100万円」と定めている仲介業者も意外と多いです。
この100万円という金額は、生活に支障が出るほどではないけれど簡単にあきらめられる額でもない「ちょうどいい金額」と言われています。
【パターン3】10万円
買主の自己資金が少ない場合、手付金がネックになって契約が進まないケースがあります。
そのようなケースでは、金額を10万円ほどに設定することもあります。
しかし、金額が低いため契約解約のリスクは高まります。
手付金支払いのタイミングは売買契約のとき
手付金は、売買契約締結時に買主が現金で支払うのが一般的です。
振込みにはタイムラグがあるため、その場で着金を確認することができずトラブルの元になります。
もしも手付金が振り込まれておらず契約破棄されてしまった場合、売主は手付金を没収できなくなります。
ただし契約日が土日の場合は、例外として金曜日に事前振込みされることもあります。
手付解除期日の設定を忘れずに
手付金をあきらめれば、基本的にはいつでも契約解除できます。
そうはいっても、引き渡し直前にキャンセルされてしまうのは困りますよね。
そこで契約書には「手付解除期日」を盛り込むのが有効になります。
直前のキャンセルには違約金が発生
手付解除期日とは、契約をキャンセルできる期限のことです。
手付解除期日を過ぎてキャンセルすると、手付金の放棄または倍返しに加えて別途違約金が発生します。
違約金額は売却代金の20%程度で、期日は売買契約から2週間後に設定することが多いです。
履行の着手とは
民法では、契約後に相手方が「履行の着手」を行った時点で契約解除はできないと定めています。
履行の着手とは、物件の引き渡しに向けてすでに行動し、すでに引き返せない状態にあることです。
【売主側の履行の着手とは】
- 買主の希望で建築材料の発注をした、または工事に着手した
- 買主の希望で土地の分筆登記をした
- 所有権移転登記をした
【買主側の履行の着手とは】
- 中間金の支払いをした
- 入居に向けて引越し業者と契約をした
- 売却代金の残額を支払った
これらの履行の着手を客観的に証明するのは、実際には時間も手間もかかります。
つまり、その代わりに「手付解除期日」を設けて売却時のリスクを回避するということです。
決済時の手付金の扱い
キャンセルなどもなく無事に決済を迎えた場合、手付金は残りの売却代金と相殺されます。
厳密にいうと、買主に手付金を一度返還してから売却代金を満額もらうのですが、二度手間になるので手付金を差し引いた金額が振り込まれることになります。
まとめ
いかがでしたか?
不動産売却時の手付金は、売買契約時に買主から売主に現金で支払われます。
一般的な手付金の相場は売却代金の5~10%で、直前のキャンセル防止のために「手付解除期日」の設定が有効です。
手付金はキャンセル防止に有効ですが、契約解除がないのが一番ですよね。
この記事を参考に、このまま引き渡しまでスムーズに進むように祈っています。
【関連記事】