人に貸しているマンションは売れる?【3つの売却方法をケース別に解説】
一時的な転勤などで人にマンションを貸していても、状況が変わり「やっぱり売却したい!」ということもありますよね。
- 人に貸しているマンションは売れるの?
- 入居者とトラブルにならない?
- どうやって売却するの?
- どんなことに注意すればいい?
- できるだけ高く売りたい!
このような疑問を抱えていませんか?
マンションは、人に貸したままでも売却できます。
売却方法はいくつかありますが、どの方法を選ぶかによって売却価格が異なるため、あなたに合った売却方法を選ぶことが大切です!
売却方法を間違えると、せっかく高く売れるのに安く売却してしまったり、入居者とトラブルになってしまうことも・・・
この記事では、人に貸しているマンションを売却する3つの方法をお伝えします。
ぜひ最後までお読みいただき、マンション売却を成功させてください!
人に貸していてもマンションは売れる
不動産を売却することは、所有者の正当な権利です。
そのため売却に関しては、入居者の許可を得る必要はありません。
ただし、入居者を追い出すことはできません。
所有者と入居者のあいだには賃貸契約が結ばれています。
借地借家法は、入居者の立場を守る内容になっているので、たとえ家賃を滞納していても追い出すのは難しいといわれています。
では、どのようにしてマンションを売却すればよいのでしょうか?
人に貸しているマンションの3つの売却方法
人に貸しているマンションを売却する方法は、次の3つです。
もっとも手間がかからないのは、マンションの入居者にそのまま購入してもらうこと。
また高く売るのであれば、入居者が退去するのを待ち、空き家にしてから売却すると高く売れます。
一般的な方法は、オーナーチェンジという売却方法ですが、売却価格が安くなることが特徴です。
それぞれ詳しく説明します。
入居者に購入してもらう
あなたがマンションを貸している入居者は、もしかしたら「住み心地も良いしずっとここに住みたいなぁ・・・」と思っているかもしれません。
そんなとき、所有者から「購入しませんか?」と打診があれば、願ってもいない申し出になりますよね。
そこで、まずは現在の入居者にマンションを購入する気はないか確認してみてください。
入居者に購入してもらうメリット・デメリット
入居者がそのままマンションを購入する場合、以下のメリット・デメリットがあります。
メリット | デメリット |
・手間がかからない ・仲介手数料が安くすむ ・入居者は引っ越しをせずマンションを買える ・入居者の月々の支払いが安くなる |
・特になし |
◎売却の手間がかからない
通常、マンションを売却するときは内覧があります。
売主は休日に予定を空けて対応したり、ハウスクリーニングを依頼するなどのさまざまな準備が必要になります。
しかし、すでに住んでいる入居者が購入するのであれば、買主を探す手間も内覧対応も不要です。
◎仲介手数料が安くすむ
仲介手数料は、買主を探してくれた不動産会社に手間賃として支払うものです。
そのため、管理会社経由で売却の話がうまくまとまれば、不動産会社に依頼する必要はなく仲介手数料も不要になります。
もし、売買契約書作成などの専門手続きのみを不動産会社に依頼するとしても、通常の仲介手数料よりはるかに安くすみます。
◎入居者が引っ越しをせずマンション購入できる
マンションに住んでいる入居者は、住んでいる間に家族関係が変わることがあります。
たとえば、子供ができた場合などは「そろそろ不動産を持ちたい」と考える人も多いのですが、その不動産を購入するためには膨大な時間と手間がかかります。
しかし妊娠中や小さい子どもがいる中で、あちこち物件を探し回ったり、引っ越しをすることは精神的にも大きな負担になります。
そのような負担をかけずに不動産を購入できるのは、入居者にとって大きなメリットになります。
◎入居者の月々の支払いが安くなる
マンションを買うときは、一般的にローンを組むことになりますが、日本の住宅ローンは低金利で推移しています。
そのため、毎月の家賃を支払うより買った方が結果的に月々の支払いが安くなるケースも多いです。
しかも自分の資産になるので、自由にリフォームをしたりいざというときに売却することも可能になります。
購入意思を確認するときのポイント
入居者に購入意思を確認するときは、「近々、引っ越しをする予定はないか?」もあわせて確認してください。
その返答によって、ベストな売却方法が変わってくるからです。
ただしトラブル防止のために、対応は管理会社に任せた方がよいでしょう。
空き家にして売却する
入居者が近いうちに引っ越しをする予定があれば、退居を待ってから空き家として売却するのがおすすめです。
賃貸ではなくなるので、売却方法は一般のマンションと同じになります。
空き家にして売却するメリット・デメリット
空き家にしてから売却する場合、以下のメリット・デメリットがあります。
メリット | デメリット |
・高く売却できる ・買主の幅が広がる ・早期売却できる |
・売却の手間がかかる ・費用がかかる |
◎高く売却できる
マンションは、空き家として売却するのがもっとも高値で売れます。
入居者がいないため自由に内覧しやすく、買主のタイミングで購入できるので、売却自体がスムーズに成立しやすくなります。
◎買主の幅が広がる
人に貸した状態で売却すると、買主は投資家などに限られてしまいます。
しかし空き家として売り出すのであれば、一般の人も買主候補になります。
ターゲット層が広がれば、その分高く購入してくれる買主が見つかりやすくなるでしょう。
◎早期売却できる
買主の幅が広がると、内覧希望者は増えます。
そのため、購入を迷っている買主は「早く買わないと他の人に取られてしまうかも…」という心理状態になります。
そうなれば購入の決断が早くなるので、結果的に早く売れることになります。
×売却の手間がかかる
空き家のマンション売却をするには、内覧などが必要になります。
不動産会社を探して仲介契約を結んだり、内覧対応のスケジュール調整をするなどどさまざまな手間がかかります。
×費用がかかる
空き家として売るには、ハウスクリーニング、設備の修理・交換などをしておかなければなりません。
その際に、数万円~数十万円の費用がかかることもあるため、ある程度まとまった資金を用意する必要があります。
どうしても入居者に退去してもらうには?
もし、あなたの親戚が「マンションを売るつもりなら、わたしが買って住みたい!」と言ってくれたとします。
このような場合、どう対処すればよいのでしょうか?
入居者に退去してもらうのは難しい
賃貸物件には2年ごとの更新があります。
入居者が拒否しないかぎり更新するのが基本で、所有者の都合で「次の更新までに出て行ってください」と言うことはできません。
もしも事情を説明した結果、入居者が退去に応じてくれたとしてもタダというわけにはいきません。
- 立ち退き料の支払い
- 引っ越し代金の負担
- 敷金の全額返還
- 家賃の無料期間を設ける
どうしても退去してほしいという場合は、不動産会社に頼んで交渉を任せるのがベストです。
ただし、定期借家契約なら退去してもらえる
入居者と結んだ賃貸契約が、期間に定めのある「定期借家契約」であれば退去を待ってから売却することができます。
退去予定日の1年前~6ヵ月前までに、「この日で契約満了になるので退去の準備をしてください」と通知することで、問題なく退去してもらえます。
オーナーチェンジで売却する
オーナーチェンジとは、入居者が住んでいる状態のまま物件を売買し、所有者だけが入れ替わるという売却方法です。
入居者に購入の意思がなく、退去する予定もない場合は、オーナーチェンジで売却することになります。
オーナーチェンジのメリット・デメリット
オーナーチェンジには、以下のようなメリット・デメリットがあります。
メリット | デメリット |
・入居者とトラブルにならない ・費用がかからない ・買主は即家賃収入を得られる |
・買主が投資家に限定される ・売却価格が安くなる ・内覧ができない |
◎入居者とトラブルにならない
オーナーチェンジでマンションを売却する場合、入居者の立ち退き交渉などは不要です。
入居者の賃貸条件は一切変わらないため、トラブルになる恐れもありません。
◎費用がかからない
オーナーチェンジ物件は、現状渡しが基本です。
通常の売却で必要なハウスクリーニング代や、設備交換費用などの負担がありません。
◎買主は即家賃収入を得られる
すでに入居者がいる状態で売却をすると、買主は購入と同時に家賃収入を得られます。
即利益につながる投資物件となるので、買主が見つかりやすくなります。
×買主は投資家に限定される
賃貸中のマンションは、不動産市場において「投資物件」扱いになります。
そして投資物件の場合、金利の安い住宅ローンを組むことができません。
金利が割高の「投資用ローン」を利用しなければならないため、買主は資産に余裕のある投資家に限定されます。
×売却価格が安くなる
オーナーチェンジ物件は、一般の方法とは売却価格の割り出しかたが異なるため、安く売ることになります。
投資家は「利益が出るか?」の一点で購入を決めるため、一般の人より見る目が厳しくなります。
さらに経験豊富で値引き交渉にも慣れているので、人気物件であっても高く売るのは難しくなります。
×買主が内覧できない
入居者が住んでいるマンションは、当然ながら内覧することができません。
そのため、あなたも買主も室内を確認しないままマンションを売買することになります。
これは、大きなリスクをともないますよね。
オーナーチェンジの場合「この物件なら買っても大丈夫そうだな」と思ってもらわないと、マンション売却はできません。
そのため、売主は以下のような書類を準備し、買主に信頼してもらう必要があります。
- 入居者情報
- リフォーム履歴
- 設備の詳細
- 室内写真
- 図面
入居者との契約条件はそのまま引き継がれる
オーナーチェンジをするときは、入居者に不利益が出ないようにしなければなりません。
入居者が退去するときも、新オーナーからきちんと敷金が返還されるように引き継ぎをしておきます。
ちなみに、買主から預かっている前払い分の家賃や、固定資産税などは日割り精算をします。
入居者への通知方法
オーナーチェンジの場合、事前に入居者の許可を得る必要はありません。
賃貸物件に住んでいて「来月から家賃はこちらに振り込んでください」という通知を受け取ったことがある方もいるのではないでしょうか?
売却手続きがすべて完了したあとに、入居者あてに「賃貸人の地位承継通知書及び同意書」を郵送します。
書面は不動産会社が用意し、売主と買主の連名で以下の内容を通知します。 賃貸人の地位承継通知書及び同意書 ・オーナーが変更した旨の説明
・オーナーが変更になった日(引き渡し日)
・賃貸借契約書を新オーナーに引き継ぐ旨
・口座変更の依頼
上記の書類に、入居者のサインと捺印をもらい返送してもらいます。
ファミリーマンションは売れにくい
オーナーチェンジをする場合、考えられる物件は主に3つです。
この中で一番売れにくいのは、なんと「ファミリーマンション1室」なんです。
なぜなら、空室のリスクが高いから。
あなたが投資家になったこと想像してみてください。
例えば・・・
マンション1棟(10室)を家賃10万円で貸すと、1ヵ月の収入は以下のようになります。
・満室… 10万円×10室=100万円
・空室3部屋…10万円×7室=70万円
・空室5部屋…10万円×5室=50万円
満室時の収入を100%とすると、空室が3部屋で70%、空室が5部屋あっても50%の収入は確保できることになります。
一方、1部屋のみを所有して賃貸に出した場合は、以下のようになります。
・満室…10万円×1室=10万円
・空室…10万円×0室=0円
満室なら100%の収入ですが、空室になれば収入は0%になってしまいます。
まさに「0か100か」のリスクがあるということです。
このような空室リスクを避けるために、投資物件は複数所有して収入源を分散させておくのが基本です。
つまり、同額の投資をするのであれば、2,000万円のファミリーマンション1室よりも、500万円のワンルーム4室を購入した方がリスクが減るということです。
ファミリーマンションを売るには?
「ファミリーマンション1室」は空室リスクが大きいことを銀行も理解していて、投資用ローンを組むときも銀行の審査基準は厳しくなります。
そこで、売主にできることは、入居者が退去しないように先手を打つこと。
具体的には、入居者に以下のような交渉をするのが効果的です。
- 投資家は購入しやすくなる
- 売主は売却しやすくなる
- 入居者は更新料が優遇される
一石三鳥でみんなが幸せになります。
ただしトラブル防止のため、交渉をするときは不動産会社に任せた方が良いでしょう。
利回りをチェックしてみよう!
投資家は、利回りの良い物件しか購入しません。
コスト管理もシビアなので、儲からない物件には見向きもしません。
投資物件の価値は「収益還元法」によって計算されます。
収益還元法とは、その物件が賃貸物件としてどのくらい利益が出るか?を算出する方法です。
ここでは、一般的な直接還元法という方法を使ってわかりやすく説明します。
表面利回りと実質利回りの違い
利回りには、表面利回りと実質利回りの2つがあります。
表面利回りとは、経費を考慮せず「家賃収入」と「物件価格」だけをもとに、単純計算したものです。
実質利回りとは、管理費、固定資産税、物件の取得時にかかる諸費用をすべて含めて、正確に計算したものです。
マンションの利回りの目安は、以下の通りです。
●実質利回り 3~5%
年間家賃収入÷物件価格×100
家賃10万円/物件価格2,400万円
(10万円×12ヵ月)÷ 2,400万円×100=5%
では、同じ売却価格で実質利回りも計算してみましょう。
実質利回りの計算方法
(年間家賃収入-年間経費)÷(物件価格+諸費用)×100
家賃10万円(管理費4万円)/物件価格2,400万円(諸費用200万円)
(10万円×12ヵ月-4万円×12ヵ月)÷(2,400万円+200万円)×100=2.7%
つまりこの例の場合、売却価格を2,400万円未満にしなければ投資物件としては売れにくいということになります。
人に貸しているマンションを売却する際の注意点
人に貸しているマンションを売却するときに、注意するべきことが3つあります。
売却理由を明確に
マンションを購入する買主は、リスクがありそうな物件はなるべく避けます。
売却理由を変にかくすと「何かトラブルがあって手放そうとしてるのでは…?」とマイナスの印象を与えてしまい、売れにくくなります。
「転勤」や「資産整理」など具体的な理由を伝えて、物件自体にマイナスな理由があるわけではないことをアピールしてください。
住まなくなってから3年以内の売却がベスト
マンションを売って利益が出ると、所得税の支払いが発生します。
居住用不動産を売ると、売却益が3,000万円までなら非課税になる「3,000万円特別控除」という優遇制度があります。
しかしこの制度には、「所有者が居住しなくなった日から3年後の12月31日までに売却すること」という条件があるので注意してください。
売却方法に合った不動産会社を選ぶ
不動産会社には、それぞれ得意分野と不得意分野があります。
オーナーチェンジ物件の売却をするなら、投資物件の売買実績が豊富な不動産会社に依頼することが大切です。
普段、一般の人を相手にしている不動産会社を選んでしまうと、ノウハウがないので売却に不利になります。
不動産会社はたくさんあるので、あなたに合った不動産会社を探してください。
簡単に不動産会社を探すなら、無料の一括査定サイトがおすすめです。
マンションを高く売却する自信がある!という不動産会社だけが査定をしてくれるので、効率よく不動産会社を選ぶことができますよ。
まとめ
いかがでしたか?
人に貸しているマンションを売却する方法は3つです。
- 入居者に購入してもらう
- 空き家にして売却
- オーナーチェンジ
一番簡単なのは、マンションの入居者に購入してもらう方法ですが、購入意思がなければ退去を待ってから売却すると高く売れます。
退去予定もなければ、オーナーチェンジで売却することになります。
それぞれのメリット・デメリットを把握して、あなたに合った方法で売却を成功させてください!
この記事があなたのお役に立てれば幸いです!
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