新生児黄疸の症状は?原因のビリルビンってなにもの?
新生児(生後4週まで)は、皮膚や目などが黄色くなることがあります。
新生児の皮膚や目が黄色くなる現象を、新生児黄疸(おうだん)といい、黄疸のほとんどは生理現象で、生後1~2週間で改善します。
しかし、新生児黄疸のなかには、病気が原因のものもあり、生理現象だと思って放っておいたら、実は病気のサインだったというケースもあるため、注意が必要です。
新生児期の病気は、後に障害が残ってしまったり、最悪の場合命に関わることもあります。
大切な赤ちゃんの病気のサインにはいち早く気付いてあげることが大切です。
赤ちゃんが出す病気のサインを見逃すことのないよう、この記事では新生児黄疸症状について、症状や対処法、治療法など、詳しく説明します。
黄疸とは?原因はビリルビン
生まれたばかりの赤ちゃんは、皮膚や目などが黄色くなることがあります。
これは新生児黄疸(おうだん)と呼ばれるもので、初産のママにとっては初めて見る症状で、不安になってしまうと思います。
まずは安心してください。
新生児の9割程度が黄疸になります。
黄疸は、血液中のビリルビンという成分が多くなることによって起こります。
ビリルビンは黄色の色素を持つため、赤ちゃんの皮膚や白目が黄色っぽく見えます。
ほとんどは1~2週間程度、母乳でそだてている場合は1ヶ月程度で改善する生理現象です。
ただし、まれに病気のケースもあるため、注意して経過観察をしてください。
専門的に書くととても難しいのですが、興味のある方は以下の青背景の部分も読んでみて下さい。
- おっぱいの飲みが悪い
- 活気(元気)がない
- 嘔吐する
- 白目があまりにも黄色い
- 黄疸が長く続く
これらに当てはまる場合、病気の可能性が考えられますので、少しでも不安に思ったら医師に相談してください。
新生児の病気は対処が遅れると障害が残ったり、最悪の場合命に係わることもありますので、心配しすぎくらいでちょうどいいかもしれません。
黄疸の種類
黄疸のほとんどは生理的なものです。
しかし、中には病気が原因で治療を必要とする黄疸もあります。
その種類と治療法を説明します。
生理的黄疸
お腹の中にいるときの赤ちゃんは、ママの血液中の酸素を効率よく取り込むために、血液中の赤血球の数が多くなってます。
余談ですが、赤血球が多いために皮膚が赤く見えることから、新生児を「赤ちゃん」と呼ぶそうです。
生まれたあとは、余った赤血球は破壊されてビリルビンという物質に変わり、肝臓で処理されます。
新生児の肝臓は一度に大量のビリルビンを処理出来ないため、一時的にビリルビンが体内にたまります。
これが生理的黄疸で、ほとんどの新生児に起こります。
生理的黄疸は通常、1週間〜2週間で自然に消えます。
母乳性黄疸
母乳性黄疸には2種類あります。
1つは母乳を十分飲めないことで起こる黄疸で、普通は生後3〜4日頃に見られます。
母乳の摂取不足でカロリーが足りないため、肝臓で処理されたビリルビンが、血液中に再吸収されることが原因です。
光線療法(こうせんりょうほう)を行うとともに、母乳を適切に飲むことが出来るようなサポートを受け、場合によっては粉ミルクを足すことで改善します。
おっぱいマッサージや、張りが強い場合は冷やしたりして、赤ちゃんが母乳を飲みやすいようにサポートしましょう。
もう1つは、母乳中に含まれるリパーゼという酵素が赤ちゃんの肝臓の働きを抑え、ビリルビンの代謝を抑えることにより、生後2週を超えても残る黄疸です。
この症状が出る新生児は0.5~2.4%で、特に日本人に多く見られ、体質が原因だと考えられていて、たいていはそのまま経過を見ます。
特別な治療は必要なく、母乳も続けられます。
基本的には放っておいて問題の無い黄疸ですが、黄疸が1ヶ月以上続く場合には他の病気の可能性も考えられますので、一度医師に相談してください。
母乳育児に関連した黄疸の予防のためには、生後すぐから赤ちゃんが欲しがるままにおっぱいを飲ませ、胎便をスムーズに出せるようにすることが大切です。
高ビリルビン血症
黄疸は、血液中の血清ビリルビン濃度が高くなっていることから、「高ビリルビン血症」とも呼ばれます。
血清ビリルビン濃度を血液検査で測定し、基準値を超えていた場合、治療が必要になります。
血清ビリルビン濃度の基準値は、出産時の体重や生後何日経過しているかで異なりますが、出産時の体重が2500グラム以上の場合は、ビリルビン値12ミリグラム〜18ミリグラム以上で治療が開始されます。
高ビリルビン血症の治療法は、「光線療法」と「交換輸血法」という2つの治療法があります。
光線療法
光線療法は、黄疸が重症化するのを予防するために行われる治療法です。
赤ちゃんの体に特殊な光をあてて、ビリルビンを脂肪に溶けやすい性質から水に溶けやすい性質に変え、便やおしっこに溶かして排泄しやすくする治療法です。
交換輸血法
交換輸血法は、光線療法を用いても改善されないような重症のビリルビン血症の場合に行われます。
交換輸血法が必要となるケースの多くは、ママと赤ちゃんの血液型が不適合であるために発症する重度の高ビリルビン血症です。
血液型が不適合の場合赤血球が壊れやすく、血中のビリルビン濃度が高くなります。
そこで、壊れやすくなっている赤血球を血管から抜き取り、同時に壊れにくい赤血球を輸血します。
交換輸血法は、ビリルビン値が一定値を下回るまで数時間続けられます。
溶血性黄疸
ママと赤ちゃんの血液型が不適合の場合、ママの血液中に赤ちゃんの赤血球に対する抗体ができてしまいます。
この抗体が胎盤から赤ちゃんの血液に入ると、赤血球が短期間で大量に破壊され、過剰にビリルビンが生産されてしまうことで現れる黄疸です。
主に、母子間血液型不適合妊娠により引き起こされます。
第一子の妊娠時に、母子間血液型不適合妊娠の場合は、ママの血液中に異なる血液型の血液を排除するための抗体ができます。
第二子の血液型が第一子と同じ場合、その抗体によって第二子の赤血球も破壊されてしまいます。
そのため、第一子に溶結性黄疸が見られる場合、第二子にも同じ症状が見られることが多いとされています。
しかし、母子間血液型不適合妊娠によるリスクは妊婦健診で判明するため、生後に重症化しないように、妊娠中から予防的な措置が行われます。
溶結性黄疸の原因とされているのは、ABO式血液型不適合、Rh式血液型不適合などがあります。
ABO式血液型不適合による黄疸は軽度なことが多いですが、Rh式血液型不適合は脳性麻痺の後遺症や、胎児死亡率や新生児死亡率が高まってしまうため注意が必要です。
肝細胞性黄疸
ビリルビンは血液中に放出され、アルブミンと結合して、肝臓に運ばれます。
肝臓に運ばれたビリルビンはグルクロン酸に抱合されることで、水に溶けるようになり、胆汁の一部として腸に運ばれて便や尿として排泄されます。
しかし、感染症をはじめとした様々な病気が原因で肝機能が低下すると、胆汁が生成されなくなり、ビリルビンが腸に運ばれなくなります。
その結果、便や尿として排泄されるはずだったビリルビンが体内に溜まり、ビリルビン値が高くなります。
感染症が原因の場合は、抗生剤を用いて治療をします。
また、新生児肝炎であれば生後半年くらいで黄疸は改善して、肝機能も改善されます。
原因とされる主な病気は、新生児肝炎、B型肝炎、肺血症などがあります。
閉塞性黄疸
胆道がなんらかの理由により閉鎖されてしまい、胆汁が排出されなくなることがあります。
するとビリルビンが排泄されなくなり、血中ビリルビン濃度が高まって黄疸が現れます。
黄疸以外の症状として、尿が褐色になったり、便が白色になったりします。
放置すれば進行してしまうために、外科手術を行います。
原因とされる主な病気は、胆道閉鎖症などです。
体質性黄疸
遺伝や先天的な理由で、ビリルビンが上手く体外に排出されないために現れる黄疸です。
原因特定のために様々な検査が行われますが、治療が必要でないこともあります。
原因とされる主な病気は、先天性胆道拡張症、クリグラー・ナジャール症候群、ジルベール症候群などです。
生理的黄疸でも注意が必要!核黄疸とは
なんらかの理由により、血液中のビリルビン値が異常に上昇すると、脳にビリルビンが流れ込み、脳の中に沈着します。
その結果、「核黄疸」という脳障害が起きることがあります。
黄疸が強く、脳性麻痺や難聴といった後遺症が残る可能性があり、悪化する前に治療する必要があります。
現在は、高ビリルビン血症の段階で治療するために、核黄疸は少なくなっています。
核黄疸が発症してから最初の数日は、母乳の飲みが悪い、常に眠そう、手足がぶらぶら動くなどの症状が現れ、いつもより元気がなさそうに見えたりします。
この初期段階で治療にあたることが重要です。
しかし、核黄疸に気付くことができず、症状が悪化すると、発熱やけいれんなどの症状が現れ、筋緊張がなくなりぐったりしてきます。
核黄疸は、悪化すると難聴や精神運動発達遅延のような後遺症を残すこともあるので注意が必要です。
少しでも気になる症状が現れた場合は、すぐに医師にみてもらってください。
核黄疸の治療法は、光線療法や交換輸血法、ガンマグロブリン投与などが検討されます。
心配・・・でも落ち着いて行動を!
生まれて間もない赤ちゃんが、突然治療を余儀なくされたり、具合が悪くて泣き叫んでいる姿を見るのは辛いですよね。
黄疸症状は、新生児の赤ちゃんに起こりやすく、9割の赤ちゃんに現れる生理現象です。
しかし、中には病気が原因の黄疸もあるため、注意が必要です。
現代医療では、生まれてすぐに新生児の新生児の血液検査も行われ、ビリルビン値の測定をします。
病気が原因の黄疸にはすぐに対処できる体制が整っています。
核黄疸も早期発見することができるようになりました。
ですので、黄疸が出ても落ち着いて医師の指示に従い、赤ちゃんの様子を見てあげてください。
生まれてすぐに検査はしますが、気になる症状や異変があった場合はすぐに医師に相談してください。
新生児はとてもデリケートで、少しの病気で後遺症が残ってしまったり、命が危険にさらされてしまうことがあります。
一番やってはいけないことは、素人の自己判断で大丈夫だと決めつけてしまうことです。
赤ちゃんの命、人生はあなたが握っています。
安易な判断をせず、少しでも不安や違和感を感じたら医師に相談してください。
黄疸の他にも、新生児期には湿疹や咳など、様々な症状が現れることがあります。
他の症状も黄疸と同様に、生理的なものから病気が原因のものまであるため、注意して観察してあげる必要があります。
新生児のその他の症状については、こちらの記事を参考にしてください。