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坪単価で新築注文住宅の費用を比較してはいけない4つの理由

新築注文住宅の場合、価格の目安として表示されているのが坪単価です。

ポストに届くチラシや住宅会社のホームページで、「坪単価○○万円~」と書かれているのを見かけますよね。

今や住宅の分野では当たり前となりつつある坪単価という考え方ですが、【坪単価が安い=安く家が建てられる】と思っていませんか?

 

実はこれ、間違いなんです。

 

実際、最近私のもとに、「坪単価38万円のチラシを出している会社に30坪の家を計画してもらったら、2,000万円も請求された」というご相談がありました。

単純に考えると、坪単価38万円の30坪なら1,140万円で、諸経費を加えたとしても2,000万円にはなるはずがありませんよね?

どうしてこのようなことになってしまったのでしょうか?

 

この記事では、多くの方が間違って認識している坪単価について、詳しくまとめました。

単純に坪単価だけで、ハウスメーカーをランキングしているサイトも多くありますが、そういった坪単価ランキングを鵜呑みにしてしまうと、後悔することになってしまいます。

この記事を読み、間違った住宅会社選びをしないための知識を身に着けて頂ければ幸いです。

 

 

そもそも、坪単価って何?

お金のパズル

坪単価とは、1坪(約3.3m2)当たりの建築費のことを指します。

多くの人が家の価格を比べる時、価格を家の面積で割った、1坪あたりの面積を目安にしています。

 

では、次の1と2はどちらがお得だと思いますか?

  1. 30坪  3,000万円の家
  2. 40坪  3,600万円の家

ほとんどの方は、2と答えると思います。

なぜなら単純な計算で、1は1坪当たり100万円で、2は1坪当たり90万円だからです。

 

しかし、実は坪単価という指標はとても曖昧で、単純に比較するのはすごく危険です。

その理由は、坪単価を左右する4つの要因にあります。

 

坪単価を左右する4つの要因

坪単価を決める要因は4つあります。

  1. どこまでの工事と設備が含まれているか
  2. 家のサイズ
  3. 床面積は2種類ある
  4. 建物の仕様と設備のグレード

それぞれについて詳しくご説明します。

 

どこまでの工事と設備が含まれているか

坪単価を目安にする際に、最も気を付けなければならないのが、計算にどこまでの工事や設備が含まれているのかということ。

 

一般に坪単価と同時に使われることの多い建物本体価格という言葉があります。

今、あなたは「建物本体」と聞いて、どんな想像をしましたか?

この建物本体価格というのは、非常に都合のいい言葉で、これほど勘違いを引き起こす言葉はありません。

ある人は「照明器具やエアコンなど全てが揃っていて今すぐ生活できる状態」を、別の人は「屋根と壁と床があり、とりあえず家だと認識できる程度」のものをイメージするかもしれません。

 

実はどちらも正解なんです。

どこまでの設備を含んだ状態を「建物本体」とするかは、建築会社が自由に決めることができます。

  • 電気やガスの配管など、全ての設備や工事を含んで建物本体としてもOK
  • 壁や屋根だけで建物本体としてもOK

 

つまり、どの状態を「建物本体」とするかによって坪単価は大きく変わるため、坪単価だけで家の価格を比べることはできません

必ず建物本体にはどこまでの設備が含まれているのかを確認してください。

 

一般的には、最低限の設備で建物本体の価格を表示し、他の工事を以下のように定義していることが多いです。

  • 別途工事・・・屋外設備の工事費
  • 諸経費・・・各種手続きに必要な費用
  • 土地代・・・土地関連の費用

そのため、建物本体の価格以外に、かなりの費用がかかることが多いと覚えておいてください。

 

家づくりに必要な費用に関して詳しくは、こちらを参照してください。

 

【関連記事】
家を建てる前に必ず知っておきたい家づくりに必要な費用まとめ

 

 

家のサイズ

建物の大きさも坪単価を左右する重要な要素となります。

例えば40坪で2,000万円の家の場合、坪単価は50万円です。

この家を同じ仕様で30坪にしたら1,500万円で建てられると思っていませんか?

 

実はそうはならないんです。

 

まったく同じ仕様であれば、建物が大きくなればなるほど坪単価は安くなり、建物が小さくなればなるほど坪単価は高くなります。

なぜなら建物が小さくなっても住宅設備にかかる費用は変わらないからです。

 

キッチン・ユニットバス・トイレ・洗面台などの住宅設備の総額が500万円だったとすると、小さな数字で割るより、大きな数字で割った方が安くなりますよね。

設備の合計が500万円だとすると、50坪の家では1坪あたりの設備費は10万円ですが、25坪の家だと1坪あたり20万円です。

 

注文住宅の広告に坪単価が記載されていた場合、必ず何坪で計算しているのかチェックして下さい。

このチェックは悪徳メーカーに引っかからないための大きなポイントとなるので、必ずやることをオススメします。

 

極端な話ですが、100坪の家を基準にして坪単価を計算されている場合、あなたが求める大きさの家を、その坪単価で実現することは不可能です。

建築会社は少しでも安く見せたいので、100坪まではいかないにしても、大きな家を基準として坪単価を計算している場合が多いので、気を付けて下さい。

 

 

床面積は2種類ある

ここまで、【本体価格 ÷ 床面積 = 坪単価】とご説明しました。

しかし、実は床面積には【延べ床面積】【施工床面積】の2種類あります。

 

延べ床面積はバルコニーやウッドデッキ、ポーチなどの部分が除かれた面積です。

簡単に言うと、屋根と壁に囲まれた床だけの面積と考えるとわかりやすいかもしれません。

これに対し、施工床面積はバルコニーやウッドデッキ、ポーチなども全て含んだ面積になります。

かなり専門的な話になるので詳しく覚える必要は無いと思いますが、

延べ床面積 < 施工床面積

この関係だけは覚えておいてください。

 

坪単価を計算する際、やはり会社側は少しでも安く見せたいので施工床面積で計算しているところが多いです。

大きなバルコニーやウッドデッキ等がある場合、延べ床面積と施工床面積で2坪~5坪ほど変わることもありますので、注意してください。

 

例えば、施工床面積25坪で1,000万円の家があるとします。

この家のバルコニーやポーチを除いた延べ床面積が20坪だとすると、延べ床面積で計算すると坪単価50万円ですが、施工床面積で計算すると坪単価40万円になります。

この例のように計算する床面積が違えば、同じ家でも坪単価が大きく変わることもあります。

どっちの面積で計算しているのか注意して確認してください。

 

さらに言うと、延べ床面積に含まれる範囲は建築基準法で定められているので全国どこでも同じなのですが、施工床面積には明確な取り決めがありません。

これもまた、吹き抜けや階段を含むかどうかなど会社によって基準が違い、不透明な部分があります。

大きな吹き抜けのある家であれば、吹き抜けが施工床面積に含まれるのか含まれないのかで床面積にかなりの差が出ます。

何を含んで何を除外した床面積なのか確認しておいた方がより確かな判断材料となるでしょう。

 

 

建物の仕様と設備のグレード

高価な材料を使ったり、住宅設備のグレードを上げたり、良い仕様になればなるほど坪単価は高くなります。

これに関しては、説明する必要がないかもしれませんね。

 

良い設備、施工の難しい間取りや外観、有名建築家への設計依頼など、新築住宅にはいくらでも高くなる要素があります。

建物本体価格が上がれば、坪単価が上がるのは言うまでもありません。

一般的に坪単価を記載する場合、その会社の標準の設備にて算出しています。

どのグレードを標準の設備としているのかは会社によって違いますので、事前に確認してください。

 

ちなみに、標準装備がたくさんついていればお得だと思っている方が多いのですが、それは実は大きな間違いです。

その理由についてはこちらの記事を参考にしてください。

 

【関連記事】
新築住宅の標準装備という落とし穴。装備が充実=良いことではない!

 

 

都道府県別坪単価ランキング

地域によって、建てられる住宅の平均坪単価が大きく違うのはご存知でしょうか?

参考までにご紹介したいと思います。

2018年に住宅金融支援機構のフラット35をを利用して家を建てた人の平均坪単価です。

あなたの都道府県は何位でしょう?探してみて下さいね!

 

順位 都道府県名 坪単価(万円)
1 東京都 106.34
2 神奈川県 98.18
3 沖縄県 95.66
4 山口県 93.39
5 大阪府 93.19
6 千葉県 91.42
7 埼玉県 90.62
8 愛知県 90.44
9 兵庫県 90.15
10 京都府 90.14
11 滋賀県 89.08
12 岐阜県 88.81
13 岡山県 88.44
14 静岡県 88.24
15 長野県 87.51
16 広島県 87.47
17 福岡県 86.87
18 高知県 86.71
19 奈良県 86.71
20 佐賀県 86.52
21 三重県 86.07
22 徳島県 85.76
23 茨城県 85.53
24 和歌山県 85.43
25 福島県 85.38
26 熊本県 85.34
27 愛媛県 84.97
28 長崎県 84.32
29 香川県 84.32
30 大分県 84.12
31 栃木県 83.24
32 鹿児島県 83.18
33 鳥取県 83.03
34 群馬県 82.80
35 山梨県 81.39
36 北海道 81.21
37 新潟県 81.18
38 宮城県 81.15
39 宮崎県 80.35
40 福井県 79.37
41 岩手県 78.92
42 山形県 77.86
43 富山県 77.67
44 島根県 77.54
45 石川県 76.94
46 秋田県 76.52
47 青森県 75.81

※こちらのランキングは、住宅金融支援機構のフラット35利用者調査内2018年度の「第1表地域別都道府県別主要指標 (土地費借入なし)」を利用し、建設費(主体工事費、主体工事に付随する電気、給排水、ガス設備、太陽熱温水器の各工事費、設計費、工事監理費、除却工事費、屋外附帯工事費、その他必要な費用の合計額。)と住宅面積(バルコニー面積を除いた占有面積)から編集部が算出した坪単価です。

※全国平均は88.27万円/坪です

 

あなたのお住まいの地域は何位でしたか?

1位は予想通り、東京都です。2020年のオリンピックの影響もあってか、坪単価が100万円を超えています。

都市部は坪単価が高いというのは、この先もなかなか変わらないと思います。

 

 

住宅を比較するときの正しい坪単価の使い方

ここまでで解説してきた通り、あくまで坪単価は参考であって、どういう方法で算出されているかで大きく左右されます。

そのため、条件を統一して計算しなければいけません。

坪単価を正しく利用するためには、全ての条件を伝え、その条件をクリアした状態で出された見積りを基準に、延べ床面積で割ると、比較の基準として使える坪単価を求めることができます。

諸費用まで含めて比較できるとさらにいいです。

 

諸経費とは、各種手続き金や税金、保険料などを指すものとします。

新築住宅購入時にかかる諸経費について詳しくは、こちらの記事を参考にしてください。

 

【関連記事】
家を建てる時に必要な費用の相場は?新築にかかる諸経費

 

実際に建てられた家の平均坪単価

では、実際にハウスメーカーや工務店で家を購入した人が実際に支払った費用をもとに坪単価を計算するといくらなのでしょう?

新築住宅を検討する際に参考にできる坪単価を見てみましょう。

ここから先に出てくる坪単価は全て、【実際に支払った金額 ÷ 延べ床面積】で計算しています。

 

大手ハウスメーカー

下の表は、住宅産業新聞社が発表した、2016年に大手ハウスメーカーで住宅を購入した人が平均で支払った金額と、購入した住宅の平均の床面積をまとめたデータから、私が坪単価を計算したものです。

この金額には、土地代金や諸経費は含まれておりません。

 

会社名 平均本体代(万円 平均床面積(坪) 坪単価
(万円)
1 ミサワホーム 3,728 36.9 101.1
2 三井ホーム 4,000 41.7 95.9
3 住友林業 3,780 39.8 95.0
4 旭化成ホームズ 3,254 35.0 93.0
5 積水ハウス 3,729 42.0 88.8
6 大和ハウス工業 3,430 40.2 85.3
7 積水化学工業 3,060 37.2 82.2
8 パナホーム 3,549 43.5 81.7

 

この坪単価は実際に支払った金額の平均を基に算出しているので、メーカーのパンフレットより恐らく高い結果となっていると思います。

新築住宅を購入する際のリアルな数字としてかなり参考になるデータです。

 

【参考記事】
【2021最新】おすすめハウスメーカーランキング!売り上げ・着工棟数・オリコン満足度別に徹底比較

 

 

この記事内で、坪単価は建物が大きくなると安くなると説明しましたが、平均して40坪前後の家を建てている方が多いようなので、もう少し小さい家を同じ仕様で建てるとさらに坪単価は上がります。

 

工務店

ここでは、年間100棟を超えるような工務店ではなく、中規模から小規模の工務店を対象に説明していきます。

しかし、一口に工務店と言っても、その比較は難しく、高いものであれば坪単価100万円程度の会社もありますし、安いものであれば坪単価30万円代の会社もあります。

できる限り材料や設備の質を落とさず、人が快適に生活できるレベルの住宅で考えると、坪単価の下限は38万円程度ではないかと思います。

それ以下で請け負ってくれる会社もあるかもしれませんが、何かしらの安い理由があるはずですので、なぜ安く建てることができるのか、しっかりと説明を受ける必要があります。

納得のいく説明がもらえなかったときは、いくら安くてもその工務店で建てることはやめた方が無難です。

安かろう悪かろうでは建てる意味がありませんので。

ローコスト住宅で失敗しない方法について詳しくはこちらの記事を参考にしてください。

 

【関連記事】
ローコスト住宅に失敗して後悔しないための6つのポイント

 

 

ばらつきはあるものの、中小工務店が大手ハウスメーカーと競合しても勝ち目は薄いため、ハウスメーカーより安く請け負う工務店が多いです。

極端に高い工務店を除けば、ハウスメーカーより工務店の方が安いという認識を持っても間違いはないかと思います。

【参考記事】
【住宅会社社長が教える】工務店とハウスメーカーはどっちがいい?7つの視点から比較してみた

 

 

建築家

日本ではあまり馴染みは無いのですが、建築家に頼むという方法もあります。

有名な建築家になれば、かなり高額な設計料がかかってしまいますが、世界に一つだけのマイホームを望むのであれば、建築家に頼むのも一つの選択肢として考えられます。

建築家に頼むメリットは、高いデザイン性と、どんな要望でも叶えてくれる点でしょう。

中には『住まい』というよりも『作品』としての建築になっていることもしばしば。

人とは違うオンリーワンであることに価値を感じるのであれば、建築家に依頼するのもとても面白いと思います。

価格の比較はできません。

建築家によって設計料がまったく違う上に、同じ建築家の『作品』であっても、その内容によって価格は大きくばらつきがあります。

 

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まとめ

いかがでしたか?

坪単価は、一般によく知られている価格を比較する目安であるにもかかわらず、実に不透明で、実に曖昧な指標です。

正しく坪単価の仕組を知らないと、会社選びに大失敗してしまう可能性があります。

 

  1. どこまでの工事と設備が含まれているか
  2. 家のサイズ
  3. 床面積は2種類ある
  4. 建物の仕様と設備のグレード

 

家づくりで失敗しないためには、絶対に複数の会社を比較しなければいけません。

価格を比較する際には、坪単価にはこの4つの曖昧さがあることを思い出し、表示価格に騙されないように注意してください。

もし、坪単価を比較に使うなら、条件を住宅会社に伝え、その条件で出された見積もりを、延べ床面積で割って計算した坪単価を利用してください。

この記事を正しい会社選びの参考にして頂ければ幸いです。

 

坪単価について知って頂いたあとは、今回知った知識をもとに、実際に会社を比較してみることをオススメします。

会社を比較しないと、あなたの家づくりが失敗してしまう確率はかなり高くなります。

比較せずに住宅会社を決めてしまい、大失敗した体験談をご紹介しますので、次はこちらをお読みください。

 

【悲報】新築マイホーム購入に失敗。死ぬほど後悔したある飲み会での話

 

 

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嵯峨根 和正

嵯峨根 和正

おうちの悩み.com 編集長
株式会社ライフプラスハウス 代表取締役
株式会社ドレメ 取締役

生活が豊かになる家づくりをテーマに、新築住宅のご提案をしています。
おうちの悩み.comでは、住宅会社しかしらない情報や現場の生の声なども含め、おうちに関するお悩みを解決して頂くきっかけとなる記事をお届けします!


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