新型コロナウイルス感染症の予防と対策まとめ。家族が感染したらどうする?
世界中に新型コロナウイルス感染症が広がり、日本でも多数の感染者、死者が増え続けています。
感染を防ぐため、様々なスポーツイベントやコンサートが中止になり、在宅ワークを試みる会社が増え、学校に休校要請がされるなど、今までにない非常事態といわれるような状況になっています。
まだ治療薬がはっきりと確立されていないなか、自分や家族が感染してしまうかもしれないという不安が募るばかりです。
- 家族に感染を疑う症状が出た
- 感染が明らかになった人と接触した
- 感染した家族を看病するときに気を付けること
- 感染を予防するために心掛けたいこと
今回は、もしもこのような状況になったときにどうすればいいのか、具体的にどのような対策をすればいいのか、出来る限りの予防はどのようなものかをできるだけわかりやすくまとめたいと思います。
この記事を書くにあたって、参考にさせていただいたWEBサイト、ネットニュース等につきましては最後にURLを記載しておりますのでそちらも是非ご覧ください。
家族が感染してしまったさいに気を付けることを先に知りたい方はこちら
新型コロナウイルスについて
まずは、新型コロナウイルスを正しく理解することが大切です。
新型コロナウイルスとは
人に感染する「コロナウイルス」自体は7種類あります。
そのうち4種類は多くは軽症になる一般の風邪の原因などになるウイルスです。
残りの2種類のウイルスが2002年に発生した「SARS(重症急性呼吸器症候群)」、
2012年以降に発生している「MERS(中東呼吸器症候群)」です。
そして、今回大流行している「新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)」。
新型コロナウイルスは、まだはっきりとした証拠は見つかっていませんが、コウモリが起源となった可能性があると考えられています。
新型コロナウイルスに感染する原因
現時点で、感染の原因は2つと考えられています。
飛沫感染(ひまつかんせん)
感染者の飛沫(くしゃみ、咳、つばなど)と一緒にウイルスが放出され、他の人がそのウイルスを口や鼻から吸い込んでしまうことによる感染。
注意するべき場面
屋内など換気の悪い場所で、他者と近い距離で一定時間を過ごすとき。
マスクを着用し、他の人へ自分の飛沫を飛ばさないように注意しましょう。
接触感染(せっしょくかんせん)
感染者がくしゃみや咳を押さえた手で周りの物に触ると感染者のウイルスが付きます。
感染していない人がその部分に触るとウイルスが手に付着し、その手で物を食べる、目や鼻をこするなど、粘膜から体内に入ることで感染します。
洗っていない手で目や鼻、口などを触らないように気をつけてください。
注意するべき箇所
電車・バスのつり革、ドアノブ、エスカレーターの手すり、エレベーターのスイッチなど不特定多数の人が触れる箇所
空気感染は起きていないと考えられている
現状は、空気感染は起きていないと考えられています。
しかし、閉鎖された空間で近い距離で多くの人と会話するという状況では、感染のリスクがあると考えられています。
気をつけたいトイレ
新型コロナウイルスへ感染症は、糞便から検出されることがあります。
感染者や感染症の疑いのある方が使用したトイレは、次亜塩素酸ナトリウムや70%以上のアルコールで掃除をする必要があります。
潜伏期間
WHOによると、現状のウイルスの潜伏期間は1〜12.5日(多くは5〜6日)とされていています。
また、これまでのコロナウイルスの情報などから、感染していない人については14日間の健康状態の観察が推奨されています。
国の方針
2020年3月1日の時点で、以下のように発表されています。(一部抜粋)
とにかく感染拡大を防ぎ、感染者の人数をできるだけ少なく、拡大のスピードを出来るだけ遅くすることを重要視していることがわかります。
特に、3月1日から1〜2週間が重要な時期だと考えており、大規模感染や集団感染の可能性のあるイベントについて中止や延期、学校の臨時休業の要請をしていることがわかります。
感染症を予防するために
新型コロナウイルス感染症を予防するために心がけることは以下になります。
手洗い・うがい
ドアノブや電車のつり革など、様々なものに触れることにより、自分の手にもウイルスが付着している可能性があります。
帰宅時や食事前、調理の前後など、こまめに手を洗うようにしてください。
また、うがいもしましょう。
(引用:首相官邸 新型コロナウイルス感染症に備えて ~一人ひとりができる対策を知っておこう~)
アルコール消毒
新型コロナウイルスを含むコロナウイルスは「エンペローブウイルス」の一種であり、アルコール消毒が有効です。
混雑する場所を避ける
人が多くなれば多くなるほど、ウイルスへの感染の可能性が高くなってしまいます。
出来る限り、混雑する場所を避けましょう。
湿度を保つ
空気が乾燥すると、のどの粘膜の防御機能が低下してしまいます。
乾燥しやすい室内では、加湿器などを利用して適切な湿度(50~60%)を保ちましょう。
免疫力をあげる
新型コロナウイルスを含む様々な感染症は、免疫力が低下しているときにかかりやすくなります。
十分な睡眠とバランスのよい食事を心掛けて、免疫力を高めることが大切です。
咳エチケットを守る
咳やくしゃみをする際に、マスクやティッシュ、ハンカチや袖を使うなどをして、口や鼻を押さえることです。
厚生労働省は、手洗いや咳エチケットなどの感染対策を紹介しています。
新型ウイルスを含む感染症対策をまとめた日本語版のチラシを作成しました。ご自由にお使いください。 pic.twitter.com/mWhN9EwLMm
— 厚生労働省 (@MHLWitter) February 16, 2020
新型コロナウイルス感染症の症状と相談の目安
新型コロナウイルス感染症を疑う症状は、発熱、せき、頭痛、倦怠感など一般的な風邪と症状が似ています。
中でも、厚生労働省が定めている新型コロナウイルス感染症の相談の目安は以下になります。
- 風邪の症状や37.5度以上の熱が4日以上続く(解熱剤を飲み続けなければならない方も含みます)
- 強いだるさや息苦しさ(呼吸困難)がある
ただし、 以下に当てはまる場合は2日で相談の目安となります。
- 高齢者
- 糖尿病、心不全、呼吸器疾患(COPD 等)の基礎疾患がある方や透析を受
けている方 - 免疫抑制剤や抗がん剤等を用いている方
- 妊婦
ほか、以下のような方も相談対象です。
- 発熱または呼吸器症状があり、感染者と濃厚接触歴のある方
- 発熱と呼吸器症状があり、発症前14日以内に湖北省及び浙江省に渡航・居住していた方
- 3発熱と呼吸器症状があり、「発症前14日以内に湖北省及び浙江省に渡航または居住していた方」と濃厚接触歴がある方
※「濃厚接触」とは「必要な感染予防策をせずに手で触れること、または対面で互いに手を伸ばしたら届く距離(目安として2メートル)で一定時間以上接触があった場合」のことを指します。
新型コロナウイルス感染症の疑いがあるときは
疑わしい症状が出た時は、医療機関を受診するのではなく、以下のページから、各都道府県が公表している帰国者・接触者相談センターに連絡します。
厚生労働省 – 新型コロナウイルスに関する帰国者・接触者相談センター
その後、帰国者・接触者相談センターに紹介された医療機関を受診します。
複数の医療機関を受診することは控えましょう。
看病する家族が気を付けること
もしも、家族に新型コロナウイルス感染症が疑われる症状が出たときや、感染してしまった時、看護する家族や一緒に住む人が気を付けるべきポイントがあります。
こまめな手洗い・うがい
ウイルスのついた手で目や鼻、口などの粘膜を触ると感染することがあります。
家族はこまめに石鹸で手洗いうがいとアルコール消毒を行いましょう。
定期的な換気をする
部屋のウイルス量を下げるために、定期的な換気を行って空気を新鮮に保ちます。
1〜2時間に一度、5分〜10分程度窓を大きく開けて、空気を入れ替えましょう。
感染者が療養する部屋を分ける
他の家族との接触をなるべく減らすことが大切です。
- 感染者と他の家族が過ごす部屋は分ける
- 療養する部屋は、窓があるなどの換気の良い個室にする
- トイレやお風呂などの共用部の利用は最小限にし、利用後には十分な換気
部屋を分けられない場合
- 2m以上の距離を保つ
- 仕切りやカーテンを設置
- 眠る時は枕の位置を互い違いにする(感染者の顔から距離をとる)
看護は限られた人数で行う
感染者の身の回りのお世話が必要な場合は、看護をする家族に感染する可能性があるため、可能な限り一人に決めておくことが良いです。
しかし、心臓や肺、腎臓に持病がある人、糖尿病の人、免疫の低下している人や乳幼児、妊婦はできるだけ避けてください。
全員がマスクを着用する
感染者、家族の両方がマスクを着用してウイルスの拡散を防ぎます。
- 使用したマスクは持ち出さず、すぐ捨てる
- マスクを外す時にはマスクの表面に触れない
- マスクを外したあとは石鹸で手を洗う、またはアルコール消毒
- マスクが分泌物で濡れたり汚れたときは新しいものに交換
- マスクが手に入らない時は、ティッシュ等で咳やくしゃみをする時に口と鼻を覆う
タオルや衣類、寝具などを共用しない
ウイルスは物についてもしばらく生存しています。
普段共用しているものから接触感染の可能性があります。
洗う前のタオルの共用はやめましょう。
食器の共用は避ける
感染の可能性のある人と食事する際は、食器の共用は避けます。
使用後の食器は、消毒液に5分以上浸した後、通常に洗えば、その後別の家族への使用が可能です。
共用する部分のこまめな消毒、清掃
感染者が別の部屋で生活していても、共用する部分があります。
リビング
- ドアノブ
- 窓の取手
- 照明のスイッチ
- テーブル・椅子
- 電話機
- パソコンのキーボード等
お風呂・洗面
- 水道の蛇口
- ドアノブ
- 窓の取手
- 照明スイッチ
トイレ
- 流水レバー
- 便器の蓋
これらを0.05%の次亜塩素酸ナトリウムで拭いたあと水拭きをするか、アルコールで拭いて消毒します。
洗面や風呂、トイレは、こまめに掃除を行いましょう。
一般家庭用の洗剤を利用して掃除したあと、0.1%の次亜塩素酸ナトリウムを含む家庭用消毒剤で消毒します。
集合住宅に住んでいる場合は、近隣の方に移さない努力も大切です。
エレベーターやオートロックや建物のドアノブやハンドルなど、不特定多数の人が触る可能性のある箇所は、消毒しておきましょう。
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汚れた衣服やリネンの洗濯
新型コロナウイルス感染症には下痢の症状が出る場合があります。
糞便からウイルスが検出されることがあるため、汚れた衣服やリネンなどを取り扱う場合は、手袋、マスクを使用し、80℃・10分以上の熱湯消毒をしてから、通常の洗濯を行います。
気になる場合は、他の人の分とは分けて洗濯しましょう。
色落ちが気にならないものであれば、薄めた次亜塩素酸ナトリウム水溶液(0.02%)も有効です。
ゴミを密閉して捨てる
鼻をかんだあとのティッシュなどのごみにもウイルスがついています。
触ると感染する可能性があるので、あらかじめゴミ箱にビニール袋をかけるなどして、ゴミはそこに入れるようにします。
室外に出す時は密閉して捨てましょう。
その後はただちに手洗い、消毒を行ってください。
14日間は健康状態を監視
感染者と同居している人は、すでに感染している可能性があります。
感染者の症状が軽快してから14日間は、毎日熱を測るなど健康状態を監視し、こまめに手洗いをしてください。
まとめ
飛沫感染と接触感染が起きないよう、手洗いやうがい、アルコール消毒などの予防対策を続けていくことが大切です。
日本でも徐々に感染者が増えているなか、家族が感染する可能性は十分にあります。
もしも家族が感染した時、看病のさいに気を付けるポイントを理解し、感染拡大の防止に努めましょう。
高齢者や持病のある方は重症化しやすく、特に気を付ける必要があります。
一刻も早く新型コロナウイルス感染症が終息し、この記事が必要なくなるように祈っています。
参考サイト
今回、この記事を書くにあたり、参考にさせていただいたWEBサイトは以下になります。
内閣官房 新型コロナウイルス感染症の対応について
厚生労働省 新型コロナウイルス感染症について
厚生労働省 新型コロナウイルスに関するQ&A(一般の方向け)
厚生労働省 新型コロナウイルスの感染が疑われる人がいる場合の家庭内での注意事項(日本環境感染学会とりまとめ)
Medical Note 新型コロナウイルス感染症