オール電化の電気代が高い!?電気料金の仕組みとガス併用時の差を徹底比較
新築を建てる時、オール電化がいいのか、もしくはガス併用の方がお得なのか迷う人は多くおられます。
オール電化は設備にまとまった初期費用が要するので、毎月の電気代が安くないとトータル損になってしまうかも。
この記事では、オール電化の月々の電気代平均価格とガスを併用した場合の値段の比較を記載いたしました。
相場や仕組みを知らずに契約してしまうと、後に電気代で頭を抱えることになる可能性も高いです。
電気料金の正しい仕組みを知ることで、最適解を見つけるヒントになれば幸いです。
オール電化の電気代が高い原因は?
電気代が高騰した原因の一つに、2022年2月以降ウクライナ情勢の影響があげられます。
日本は石炭や液化天然ガスを燃料とした火力発電が主流です。
社会情勢が変化したことをキッカケに資源の輸入価格が高騰し、電気料金を決める燃料費調整額が変動したことで、各電力会社が価格改正を行い結果電気代の高騰へと繋がりました。
資源の輸入高騰だけでなく、太陽光発電や風力発電など開発・運用を促進するための、再生可能エネルギー発電促進賦課金や利用するための設備やコストにかかる託送料金も値上がりした要因の一つだと考えられます。
電気料金の仕組みは以下のような図で決定します。
出典:エネチェンジ(仕組み図)
上記の条件をふまえ「ここ最近、電気料金が高くなった」と感じるのは、燃料費調整額や再生可能エネルギーによる価格変更が行われたことが原因です。
オール電化の基本知識
オール電化とは、キッチンの設備や給油、空調など住宅全体に使用されるエネルギーの全てを電気でまかなうことを指します。
オール電化は初期費用としてIHクッキングヒーターやエコキュート(温水器)などを設備として導入する必要があり、工事費込みで約60万円前後かかります。
オール電化のメリットは、火を使用しないため火災が起きず安全かつ、災害時の復旧も比較的早いといわれている点。
料金については、オール電化向けのプランがあり、使い方によっては電気代削減も叶います。
ただし、住まいの地域によって提供する電力会社が異なるので、東京に比べると北海道や沖縄などは電力会社を選ぶ選択肢が狭まる難点もあり、住まいの地域がどのような電力会社が管理しているのか事前に調べておきましょう。
オール電化と一般の電気料金の違い
オール電化と一般の電気料金プランの大きな違いは、使用する時間帯によって料金の変動があるかないかという点です。
オール電化のプランは、電気をあまり使わない夜間は電気料金が割安な設定になっています。
その反面、日中は電気料金が高めな設定。
共働きで日中家にいない人は、お得なプランですね。
昔からある定番の電気料金プラン(従量電灯プラン)は、オール電化と違って時間帯によって料金が変動することはなく、いつ使っても一定の電気料金です。
使ったら使った分だけ電気料金が上がるので、仕組みとしてはとてもシンプルで分かりやすいでしょう。
ただし、オール電化に比べて1kwhあたりの電気料金は高く設定されています。
温水器エコキュートについて
エコキュートとは『再生可能エネルギーを活用した給湯器』のこと。
エコキュートは、エアコンなどにも使用されている仕組みと同じで、大気中の空気を利用しヒートポンプ内の熱交換機でお湯を作っています。
出典:湯ドクター(エコキュート仕組み図)
大気中の熱を使用してお湯を沸かすので、環境に優しく“エコ”な給湯器。
また、電気代の安い時間帯にお湯を作って貯めておくので、使用時に都度沸かしてお湯を作るガスに比べると、電気代も抑えられ家計にも優しいのです。
また、貯湯しているので、災害時に利用することもできます。
ただし、エコキュートの購入にはまとまった金額が必要になり、初期費用がほとんどかからないガスとの違いも理解しておきましょう。
オール電化の電気料金の平均値は?
各家庭の電気料金は、月々いくらくらい支払っているのでしょうか?
総務省統計局の調べ(2020年度)をもとに、それぞれ暮らす人数に分けて具体的な電気代を見てみましょう。
1人暮らしの電気代の平均値
1人暮らしの電気代の平均は6,000円前後。
1人暮らしのため、日中家にいることがほとんどなく、夜間や休日がメインの使用となります。
また、夜間や交代制の仕事に勤めている人は電気使用の時間帯も変わるため、オール電化の場合、個々の生活リズムによって最適なプラン選びが重要ですね。
2人暮らしの電気代の平均値
2人暮らしの電気代の平均は9,000円前後。
同棲など他人と暮らす中では、日中家にいることが多いのか、夜型の生活リズムなのかで電気代に変動があります。
光熱費を折半しているのであれば、電気代の平均値を知ることで、使いすぎの制限や節約のキッカケになりますね。
3人家族の電気代の平均値
3人暮らしの電気代の平均は約1万超えです。
人数が増えるので、電気代は徐々に高くなります。
特に赤ちゃんの時は、体調管理のために室内温度を一定に保つためエアコンをつけっぱなしにしたり、シャワーだけで済ましていたのを毎日お風呂にお湯を貯めたりするようになりますね。
家族が増えると電気代は比例してあがることを知っておきましょう。
オール電化vsガスはどちらがお得?
オール電化とガス・電気の併用には、それぞれメリットデメリットがあり、必ずしもこちらがお得とは言い切れません。
オール電化にすると、光熱費の支払いが1つにまとめられ、基本料金の支払いが1つになるのでお得だといえます。
ガス・電気併用の場合は、オール電化と比べると初期費用が少なく、さらにプロパンガスではなく都市ガスを利用すると1kwhあたりの単価が安く抑えられる傾向。
オール電化は時間帯によって電気代が安くなるので、電気代が安い夜の時間帯を使用することが多いのであれば、ガス併用と比べるとオール電化の方がお得になるでしょう。
オール電化の賃貸マンションはお得?
電気代については、住む人の生活リズムやお風呂など、お湯の使い方によってかなり差があります。
例えば、小さな子どもがいて日中も電気をよく使うとオール電化の場合電気代が高くなります。
他にも、1人暮らしで毎日湯船に浸かりたい人ならば、シャワーだけで済ましてしまう人よりも電気代は高くなるでしょう。
オール電化には価格以外にもメリットはあります。
例えば、エコキュートなので冬場の寒い時期でもすぐに温かいお湯がでたり、火を使わない災害時も火災の心配が無く安心だったりする面は魅力的ですね。
特に賃貸マンションは、オール電化の設備初期費用が発生しないためお得といえそうです。
一人暮らしでオール電化に向いている人の特徴
前述したように、生活のサイクルがどのようなリズムになっているかでお得になるのかならないのかが分かれます。
オール電化に向いている人の特徴は以下。
- 電気代の高い日中は家にいない
- お風呂はシャワーのみですませる
- 火事やガス漏れの心配をなくしたい
- キッチン周りをスッキリとさせたい
単身で暮らす会社員や大学生は、比較的オール電化の住宅に向いています。
日中家にいることが多い専業主婦や在宅ワークをしている人は、不向きかもしれません。
旧電気料金プランとオール電化料金プランの単価比較
オール電化は旧の従量電灯型プランよりも一般的に安くなると言われていますが、実際にどれくらいの差があるのか比較してみましょう。
東京電力エナジーパートナーの比較例
一般的な家庭が利用する旧プランは『従量電灯Bプラン』
1契約あたりの基本料金が10Aで286円、30Aで858円です。
電力量料金は、120kwhまでを第1段階とし1kwh19.88円、120kwh~300kwhまでなら26.48円。
対して、オール電化住宅向けのプランは『スマートライフSプラン』
こちらは基本料金10Aにつき295.24円です。
電力量料金は、午前6時~翌午前1時までを1kwh25.87円、午前1時~午前6時までを1kwh18.37円としています。
参考資料:東京電力エナジーパートナー
従量電灯プランは、一定ラインを超えると電気代が高くなるのが特徴。
オール電化向けプランは、時間帯によって電気代が変わる仕組みとなっています。
結論、電気代の安い時間帯に家で居ることが多いのであれば、オール電化は旧プランよりも安く使用できるでしょう。
オール電化の電気代を節約する方法
電気代を節約するなら、具体的にどのような対策をとれば良いでしょうか。
すぐにできることから、導入までに少し時間がかかるものまで、大きく3つのポイントに分けて紹介しました。
詳しく見てみましょう。
生活に合ったプランを選ぶ
契約中のプランの見直しをしてみましょう。
例えば、家族が増えたとか減った以外にも、仕事が変わったことで生活リズムが変わったなど、電気の使用量を正しく把握する必要があります。
生活に合ったプランを選ばないと、無駄に電気代を支払ってしまうハメに。
また、電力会社によってはさまざまな乗り換えキャンペーンを行っていることがあります。
私もプランを見直して、大手電力会社から新電力会社に切り替えました。
乗り換えキャンペーン時だったので、最初の1年間は基本料金が割引になりお得に利用できましたよ。
乗り換え以外にも、使用量が減った場合はアンペア数を下げることで電気代節約にも繋がるのでおすすめです。
省エネ家電を利用する
消費電力の多い家電や24時間稼働している家電を省エネ家電に買い替えるだけで、節約に繋がります。
特に発熱するタイプのIHクッキングヒーターや洗濯機・衣類乾燥機などの家電は消費電力が高め。
冷蔵庫など24時間稼働している家電の買い替えも効果的です。
また、炊飯器は省エネ家電に買い替えるだけでなく、保温時間を減らしてみましょう。
食べる時間に合わせてタイマー予約することで、炊きあがりのご飯が食べられるだけでなく、電気代の節約になり一石二鳥ですよ。
保温機能は使わず、余ったご飯は1食ずつラップでくるみ、冷凍して保存するのも一つの手ですね。
太陽光発電を取り入れる
オール電化と太陽光発電をセットで使うことで、毎月の電気代を安くすることができます。
太陽光発電を取り入れることで、日中の電気代が高い時間帯の使用を太陽光発電で補えるからですね。
しかし、ソーラーパネルは初期費用が高いことが難点。
初期投資を相殺できるまでにかなりの年月を要するので、補助金制度や節税効果など活用できるものはしっかりと活用しましょう。
また設置業者は複数から見積もりをとり、相場感を理解してから申し込むことも重要です。
多額の費用を要するソーラーパネルの導入は、契約を焦らずじっくりとシュミレーションを練ってから設置することをおすすめします。
電気代が高くなる冬の節電対策
寒い冬は電気代が高くなりがち。
室内の温度を下げないためにも、エアコンをつけっぱなしにしているという家庭も多いのではないでしょうか。
冬の電気代の多くを占めるエアコンは、厚着をして設定温度を下げたり、効きをよくするためにフィルターや室外機の掃除したりして節電につなげましょう。
他にも、エアコン以外の暖房家電としてこたつや電気毛布の使用も検討してみましょう。
断熱シートや隙間防止シートを活用すればお部屋の温かい空気を逃がさず、冬の節電対策に繋がりますよ。
まとめ
電気料金の仕組みとオール電化の特徴をお伝えしました。
オール電化は、夜間など電気代が安い時間帯を中心に使用するのであれば、電気・ガス併用よりも安いでしょう。
しかし2023年現在、電気料金は軒並み価格改正を行って全体的に高騰しています。
毎月支払う電気代だからこそなるべく抑えたいですよね。
電気代を節約する方法はこちら。
- 生活に合ったプランの見直し
- 省エネ家電を利用する
- 太陽光発電を取り入れる
他にも、電気代が高くなりがちな冬のエアコンの設定温度を下げてみる。
こたつや断熱シートの活用も効果的です。
火を使わないオール電化は、安心・安全面も高く今後も需要をのばしていくでしょう。
それぞれの生活に合った最適プランを選んで、お得に利用していきたいですね。
くれぐれも、マイホーム作りは慎重に…