三世代同居のメリットデメリットを解説!ストレスが少ない家づくりのコツを紹介
「三世代同居することで家族の関係性が崩れないか不安」
「三世代で一緒に暮らすことで得られるメリットって何?」
「周りのみんなから三世代同居することを止められた」
三世代同居の例として分かりやすいのが人気アニメ『サザエさん』の家族です。
アニメでは楽しく仲の良い暮らしが放送されていますが、現実では同居する事に対して否定的な意見が多いと体感しています。
上記であげられた声は、実際に三世代同居をする前に私自身が感じていたことです。
この記事では、三世代同居で暮らしていた私が感じた、同居のメリットデメリットをまとめました。
現在は、わけあって同居を解消し離れて暮らしていますが、離れたからこそ分かる視点もお伝えできれば、今から同居を考えている人の少しでもお役に立てるのではないでしょうか。
互いにストレスなく三世代で暮らすためには、家を居心地の良い環境にする必要があります。
重要なのは、間取りと心のあり方です。
三世代同居は、メリットがいっぱいです。
ぜひ参考にしていただければ幸いです。
三世代同居とは
三世代同居とは、祖父母、夫婦、子ども(孫)の三世代が同じ家に同居することをさします。
夫婦と子どもだけで暮らすかたちを『核家族』といい、一昔前(昭和初期)は三世代同居が定番のかたちでした。しかし現代では、核家族が全体の多くを占めています。
その背景には、日本の産業構造の変化が大きく関係しているといわれています。
働き方が変わることで、地方から都心部へ若者が流れ、その結果離れて暮らすライフスタイルが定着していったようです。
同居以外にも『近居』(親世帯と子世帯が徒歩圏内などの近いエリアで別に住むこと)もあります。
他にも『隣居』は、同じ敷地内に家が二棟建っているスタイルや、玄関や生活空間を完全に分けた『完全分離型二世帯住宅』などもありますね。
どちらも、親世帯が近くにいるものの、家を別にすることでそれぞれのプライベートを確保したスタイルです。
三世代の同居率の割合は
国税調査によると平成12年では約10.1%が三世代の世帯で暮らしていましたが、平成27年には約5.7%まで減少しています。
前述したように、三世代の同居が減少している理由の一つに、産業構造の転換があります。
戦後の高度成長期から日本の産業構造は第一次産業(農業や漁業など)から第二次産業(製造業や建築業など)へと変わっていきました。
そのため、地方に住んでいた若者たちが都心部へ流れ親元に戻ることなく、都心部で生活基盤を作っていくことで親と子の同居が減っていったと考えられます。
今では三世代同居は珍しく、ほとんどの家庭が核家族となっていますね。
三世代同居5つのメリット
三世代で暮らすことで得られるメリットはいっぱいあります。
特に子どもが小さい家庭や共働き夫婦は、同居することで得られる点は多いですね。
詳しく見てみましょう。
子どもの世話を頼める
共働きが多い現代では、大人が家にいることが大きなプラスになります。
特に、0~3歳児の保育園期間は手が離せず、母親の負担も大きくなりがち。
料理中など親の目が少し離れる時や、ごみを捨てに出る時など、誰かがいてくれるだけで家事効率は格段にあがります。
また、子育て経験者が同じ家に暮らしていると、些細な相談も気軽にでき心強いですね。
例えば、子どもが好き嫌いが多くご飯を食べない時や、子どもが言うことを聞いてくれない時に、
親とは違った視点での解決策を提案してくれるので助かりますよ。
親の介護がしやすい
離れて暮らしていると介護をするための移動も大変です。
子育て・家事・介護となると時間がいくらあっても足りません。
同居していると、すぐに補助できることは利点です。
他にも転んでしまったや、風邪気味など少し補助が必要な場合も同じ家に住んでいれば、誰かが手を差し伸べることができます。
誰か一人だけの負担にならず、夫婦やその子ども(孫)も手伝えて、状況に応じた相談が家族でできるのは同居しているからこそですね。
住居費・光熱費の節約
暮らしている人が多い分、共有スペースも増え、一人当たりの光熱費や住居費の負担額は軽くなります。
光熱費や通信費などは基本料金が設定されており、同居することで一請求にまとまりますね。
同じ家に住むことでローンも一本となり、住居の返済額も軽減するのは嬉しいポイントです。
住居新築費用の援助を受けやすい
祖父母がリフォームや建て替えをするタイミングと、夫婦が家の購入を検討するタイミングがあえば、互いに援助しあい負担が少なく三世代が暮らす新築を建てることができます。
もし、祖父母が現役で働いているなら、親子で住宅ローンを組み、親から子へと二世帯にわたり返済していくスタイルのローン(親子ローン)も検討してみましょう。
親子ローンにすることで借入期間も長くなり月々の返済額の負担が軽くなります。
教育資金や老後資金など、これからまとまったお金を必要とする機会はたくさん訪れます。
住居費の負担が軽くなることで、他の資金を蓄えられるのは大きな魅力の一つですね。
家に誰かいるという安心感
子育て・介護などさまざまな生活スタイルがある中で、もしもの時だれかが家にいると安心かつ安全ですよね。
例えば、親が仕事で帰りが遅い時、子どもが一人で留守番だと心配です。
家に大人がいるだけでも安心ですが、もし子どもが危険なことをしていたら注意してくれる安心感もあります。
また、体調を崩している時も家に誰かいてくれると安心ですよね。
他にも、空き巣などは家に誰かがいると防犯対策にも繋がり安全です。
三世代同居5つのデメリット
なんとなく嫌がられる“同居”ですが、具体的なデメリットをしっかりと理解することで改善点や対策がたてられます。
きちんと理解してデメリットを無くしましょう。
気を遣う
誰かと住むということは少なからず気を遣う必要があります。
しかし、三世代同居となると以下のようなことにも最初は気を遣います。
- お風呂に入る順番
- ご飯のタイミング
- 買い物に出掛ける
- 掃除機をかけるタイミング
誰かがいることでちょっとした気遣いが毎日続きます。
たまになら気にならないことも、毎日になると負担になりますよね。
特に、体調を崩している時や忙しく余裕のない時は、普段以上に気疲れする原因にもなります。
同居するのであれば、互いにストレスにならないよう、事前にルールを決めてみましょう。
生活リズムが合わない
祖父母は朝型なのに、夫婦や子どもは夜型の場合、時間軸が合わず互いに負担に感じることがあります。
お風呂の時間や外出などバタバタと人が動く時間が違うと、睡眠妨害につながり健康を害することになる可能性も。
家づくりの際は、それぞれの生活リズムを理解し間取りを工夫する必要がありますね。
建築費用が高い
三世代で同居するために、キッチンや浴室・トイレなどの水まわりを分離すると、工事費用は一般的な家庭よりも高くなりがち。
建築には工事費だけでなく、設備にもまとまった金額を要し、金銭的な負担がのしかかります。
単に、水回りを共有にすれば費用を抑えることもできますが、共有スペースが増えるほど心理的なストレスの原因につながることも。
金銭的負担と心理的負担のバランスを冷静に判断することが重要ですね。
新築や購入、リフォームは補助金制度や減税優遇措置もあるので、条件に合わせて活用を検討するのもおすすめですよ。
子育てと介護の両立が大変
子どもが小さい時と親の介護が重なると、補助する側の負担は倍増します。
三世代で暮らしていると、家に誰かいることから外部のサービスを利用しにくい環境になりやすいです。
外に頼らず、家族内で解決すればという目線になり、かえってお互いの首をしめてしまうことになりかねません。
同居しているからといって、外部の助けは利用しないのではなく、その場に応じて臨機応変に活用することをおすすめします。
社会保険料が高い
夫婦の収入が低くても祖父母の収入が高いと世帯収入が高くなり、児童手当が減額されるだけでなく全く支給されない場合があるので注意しましょう。
世帯を分けることで問題が解消することもありますが、反対に世帯を分けると勤務先の扶養手当を受給できない可能性もあります。
世帯を一緒にするのか、それとも分けるのか、どちらが得になるかシュミレーションをしっかり行って判断しましょう。
三世代で暮らすことの心理的ストレス
特に以下のような状況の場合、ストレスを感じやすいでしょう。
- プライベートがない
- 言いたいことが言えない
- 人間関係で疲れる
これらは同居する上で、よく耳にする言葉です。
家の間取りや広さにもよりますが、家の中で一人きりになれる場所がないということがあります。
現に私は一人になれる場所が欲しくて、トイレで長居することもありました。
また、家族の発言が気になっても場の空気を壊さないよう口を閉じることもあります。
変に発言してしまい関係性が悪くならないかと不安になることも。
我慢することでその場をやり過ごしますが、ずっと我慢することは精神的にすごくストレスになりますよね。
一人になれない、言いたいことが言えず我慢するという状況が続けば、人間関係に疲れるというのも納得です。
反対にプライベートの時間が確保できて、我慢しない環境であれば心理的ストレスはかなり軽減されるでしょう。
三世代同居が負担になりにくい間取り作りのポイント
前述したように、心理的ストレスを削減した間取りにすることで、三世代同居のメリットを最大限に引き出すことができます。
お家づくりの際、互いに負担の少ない三世代同居を目指すなら、これらのことを意識しながら間取りを決めてみましょう。
- 生活音の対策
- 共有スペースを絞る
- バリアフリーにする
- プライベートルームの確保
心理的ストレスの他に、赤ちゃんから祖父母まで色んな年代の人が暮らしやすい環境を整えるバリアフリー化や、生活リズムの違う家族に負担が掛からないよう生活音にも注意しましょう。
例えば、夜遅くに帰宅するのであれば玄関と寝室は離れた間取りにすると、互いに暮らしやすく配慮のある間取りといえそうです。
間取りは、家を建てた後に変更しにくい場所なので、同居する家族の意見をしっかり取り入れつつ専門家を交え相談することをおすすめします。
家を建てる話し合い時に、「生活音は気にしなくていい」や「プライベートルームは無くてもよい」など最初は我慢できそうなことでも、いざ住んでみると小さな日々のストレスに繋がります。
不仲になってしまわぬよう、入念な計画が必須ですね。
三世代同居に関するお得な2つの政策
現在は、三世代同居することを社会でもすすめられています。
その理由は、子育てや介護について世代間で助け合い、安心して暮らせる環境をつくることをテーマとして社会全体で考えているからですね。
女性の社会進出を促進するためにも、周りの支援が重要ということです。
三世代同居を検討する中で、知っていて損のない政策は『補助金』と『税制優遇』の2種類。
自治体によって政策が違う場合もあるので、条件に合うのかしっかりと見極めて活用をしましょう。
補助金制度
引用:平成29年度長期優良住宅化リフォーム推進事業について(国土交通省)
長期優良住宅や省エネ住宅へのリフォームを行い、同時に三世代同居に対応する工事を行うことで最大300万円の補助金を受給できます。
その条件の一例がこちら。
長期優良住宅の認定を受けかつ一次エネルギー消費量が省エネ基準費20%削減されたものに加え、三世代同居に向けて、玄関・キッチン・浴室・トイレの増設をしたもの。
他にも、三世代同居をする目的で家を建てたりリフォームしたりする場合は、住まいがある自治体に1度補助金制度がないか問い合わせてみましょう。
インターネットでも簡単に調べることができ、タイミングが合えば“県”と“市区町村”の両方から補助金を受けられる場合もあります。
募集期間や条件もさまざまなので、詳しく知りたい方は窓口に問い合わせてみましょう。
減税措置
引用:三世代同居リフォーム減税(国土交通省)
三世代同居をするにあたって既存の住宅をリフォームする場合、条件を満たせば標準的な工事費用相当額の10%に値する金額が、その年分の所得税から控除されます。
所得減税の対象となる工事は、浴室・トイレ・キッチン・玄関のいずれか1つ以上を増設することが条件です。
また改修工事後は、浴室やキッチンなどの共用部分が2つ以上の複数となる必要があるので注意しましょう。
例えば、キッチン2つと玄関2つは対象だけど、キッチン1つにトイレ2つは対象外です。
このように細かな規約があるので、リフォームを検討する時はしっかりと専門家に相談して、お得な制度を活用しましょう。
まとめ
『三世代同居』と聞くと嫌煙されがちですが、共働きが増えた現代では家に家族がいるという環境はすごく有難いものです。
同居することでメリットとなる部分はこちら。
- 子どもの世話を頼める
- 親の介護がしやすい
- 住居費・光熱費の節約
- 住居新築費用の援助を受けやすい
- 誰かいるという安心感
メリットがある半面、同居が世間的に嫌煙されている主な原因がこちら。
- プライベートがない
- 言いたいことが言えない
- 人間関係で疲れる
他にも、生活リズムの違いや住宅の建築費用が高いという点もあげられます。
だからこそ、家づくりの時は家族でしっかりと話し合い、みんなが我慢の少ない間取りやルールを構築しないといけません。
一人でさまざまな問題を抱え込むよりも、気軽に相談できる人がいる環境はやはり魅力的です。
互いの負担が少なくなるよう、外部をうまく活用しながら三世帯同居を始めてみてはいかがでしょうか。
くれぐれも、マイホーム作りは慎重に…