シングルマザー(母子家庭)に役立つ節税の完全ガイド!内容・手続きを徹底解説
母子家庭向けに国や自治体が支給している手当や、税金の支払いが少なくなる控除などを正しく把握できていますか?
厚生労働省の調査によると、働いている81.8%の母子家庭の母のうち、正規の職員が44.2%、パートやアルバイトが43.8%、平均年間収入は243万円となっています。
子育てをすることを考えると、このデータの母子家庭の収入は決して高いものではなく、生活を切り詰めている家庭がほとんどだということがわかります。
月に数万円の支給、支払う税金の優遇などは、生活していくうえで助けになるとても重要な収入です。
- どのような控除があるの?
- ぜんぶ申請できているか確認したい
- 手続きは必要なの?
- 絶対に損したくない
払わなくてもいいお金を払っているなんて絶対嫌ですよね。
そんなシングルマザーの方を一人でも減らすため、今回のこの記事では、シングルマザーが対象になる税金の控除や割引、減免される制度とその手続き方法や必要な書類などをご紹介します。
シングルマザーが利用できる制度一覧
シングルマザーの方が手当や補助金を受け取ったり、税金を免除してもらうことは、生活していくうえでかなり重要な収入です。
月に1万円受け取れたり、節約できるたら大きいですよね。
シングルマザーの方が受け取れる可能性のある手当と助成金、減免と割引制度については、以下の通りです。
減免、割引制度
- 寡婦控除
- 国民健康保険の免除
- 国民年金の免除・納付猶予制度
- 保育料の免除・減額
- 少額貯蓄非課税制度
- 電車やバスなど公共交通期間の割引
- 水道代の減免
- 粗大ゴミ処理手数料の減免
手当、補助・助成金
- 児童手当
- 児童扶養手当(通称 母子手当)
- 児童育成手当
- 特別児童扶養手当
- 障害児福祉手当
- 遺族年金
- 母子家庭の住宅手当
- 生活保護
- ひとり親家族等医療費助成制度
- 乳幼児、義務教育就学児の医療費助成
- 自立支援給付金
今回の記事では減免・割引制度についてご説明します。
手当、補助金についてはこちらの記事で詳しくまとめましたのでご覧ください。
▶︎シングルマザー(母子家庭)が受け取れる手当の完全ガイド!計算から手続きまで徹底解説

母子家庭(シングルマザー)が利用できる控除一覧
控除とは、「引き去ること」という意味です。
ほかにもこの記事の中で優遇、免除、減免、割引などという書き方をしていますが、簡単にいうと「支払う金額(税金など)を少なくする」ということです。
寡婦控除(かふこうじょ)
「寡婦」とは聞き慣れない言葉ですが、離婚や死別によって夫から離れて生活している女性(再婚はしていない)のことを指します。
寡婦であるとき、条件を満たして申請すれば受けられる所得控除が寡婦控除です。
所得控除とは、所得税を計算するときの課税所得金額(税率をかける前の金額)から該当の金額を引くことをいいます。

▷ 支給対象
「一般の寡婦」と「特別の寡婦」の2種類があり、支給額が異なります。
一般の寡婦
一般の寡婦とは、以下の1、2のどちらかに当てはまる場合になります。
- 死別や離婚などで単身で生活している人で、扶養親族または子どもがいる
- 死別や離婚などで単身で生活している人で、合計所得金額が500万円以下
(扶養家族や子どもの要件はなし)
特別の寡婦
特別の寡婦とは、以下の条件に当てはまる場合になります。
- 死別や離婚などで単身で生活している人で、扶養親族または子どもがおり、合計所得金額が500万円以下

▷ 控除金額
寡婦控除を適用することで、支払う所得税や住民税を計算するときに課税所得金額から次の金額を控除(税金の対象となる金額から除外)することができます。
所得額 | 住民税 | |
一般の寡婦の控除額 | 27万円 | 26万円 |
特別の寡婦の控除額 | 35万円 | 30万円 |
この説明だけではわかりづらいので例を挙げて説明します。
【例】
課税所得金額(税金の対象となる金額)が200万円で、所得税(10%)に一般寡婦の控除が適用される場合
(課税所得金額が200万円の場合は所得税10%、一定額控除が97,500円)
所得税
200万円×10% -9.75万円 = 10.25万円
寡婦控除を受けた場合の所得税
(200万円-27万円)×10% -9.75万円 = 7.55万円
こちらが支払う所得税になります。
一般の寡婦控除を受けることで、所得税だけで2.7万円が節税ができるということになります。
また、同じように住民税(約10%)でも控除が行われます。
住民税
200万円×10% =20万円
寡婦控除を受けた場合の住民税
(200万円-26万円)×10% =17.4万円
一般の寡婦控除を受けることで、住民税だけで2.6万円が節税ができるということになります。
所得税と住民税を足すと、200万円の所得の場合、年間で5万円以上の節税ができるということです。
節税できる5万円を10年間払ったとしたら50万円にものぼります。
大きなお金になってくるので必ずきちんと手続きしておきたいですね。

▷ 申告方法
会社員の場合
会社員の方は、所属している会社から配られる年末調整に記入することで申告できます。
「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の「主たる給与から控除を受ける障害者、寡婦、寡夫又は勤労学生」欄に記入します。
「寡婦」「特別の寡婦」のいずれかにチェックをつけ、会社に提出してください。
ほかに添付書類などは必要ありません。
フリーランス・個人事業主の場合
フリーランスや個人事業主の方は、確定申告の際に手続きをすることになります。
申告書A様式の「所得から差し引かれる金額」の「寡婦、寡夫控除」欄に、一般の寡婦の方は27万円、特別の寡婦の方は35万円を記入します。
そして、第二表の右側にある「本人該当事項」の「寡婦(寡夫)控除」欄の該当箇所へチェックを入れ、あとは通常の申告事項を記入し、税務署に提出してください。
こちらも特に添付書類などは必要ありません。

国民健康保険の軽減・免除
会社勤めで社会保険に加入している方以外は、離婚で夫の扶養から外れると国民健康保険に加入し保険料を払うことになります。
国民健康保険の保険料にも軽減措置や免除があり、一定の条件を満たせばだれでも利用できます。
保険料の軽減については、前年度の所得が一定金額以下の場合に適用され、自動的に計算されるので、申請の必要はありません。
保険料の免除については、申請が必要ですので解説していきます。

支払うのが難しい場合は必ず免除申請の手続きをしましょう。
▷ 免除対象
- 災害や病気、離婚などで前年より所得が大幅に下がった人
- 収入が一定以下の人
内容や金額については、市区町村によって異なります。
▷ 手続き方法
各市町村の保険年金課の窓口で、免除の申請を行います。
免除の種類は以下の4種類。
- 全額免除
- 4分の3免除
- 半額免除
- 4分の1免除
どの免除に該当するか、申請が通るかは、申請してみないとわかりません。
また、一度免除の申請が通ったとしても、ずっと続くわけではなく期間限定の免除になるので気をつけなければいけません。
国民年金免除・納付猶予制度
国民健康保険と同じく、国民年金にも免除や納付猶予制度があるので利用しましょう。
免除や納付猶予になった期間も、年金の受給資格期間に計算されます。

▷ 免除対象
収入の減少や失業などで国民年金を納めることが難しい人
▷ 手続き方法
こちらも各市町村の年金窓口で、免除の申請を行います。
免除の種類は以下の4種類。
- 全額免除
- 4分の3免除
- 半額免除
- 4分の1免除
どの免除に該当するか、申請が通るかは、申請してみないとわかりません。

保育料の免除・減額
保育料は前年度の世帯収入(課税額)を元に計算されますが、離婚などでひとり親世帯となって大幅に収入が減った場合は、申請することで保育料を減額してもらえるケースがあります。
また、場合によっては4月にさかのぼって減額を受けられる場合もあります。
各市町村によって制度が異なるため、各市町村の窓口に問い合わせてみてください。

小額貯蓄非課税制度
銀行の預金や郵便局の貯金の利息は所得に入ります。
小額貯蓄非課税制度(通称「マル優」)とは、350万円までの貯金の利子にかかる税金を、非課税にすることができる制度です。
▷ 免除対象
- 各種障害者手帳の交付者
- 各種障害年金受給者
- 各種遺族年金受給者
- 寡婦・寡夫年金受給者
- 児童扶養手当受給者
▷ 手続き方法
金融機関で、「小額貯蓄非課税制度」を受けたいと申し出て、必要書類を提出します。
必要書類は金融機関によって異なる場合があるので、事前に確認しましょう。
以下のような書類であるケースが多いようです。
- 児童扶養手当証書
- 児童の母であることを証明する書類(戸籍謄本など)

電車やバスなど公共の交通機関の割引
児童育成手当を受給している家庭に対して、各市町村の割引制度です。
市町村によって異なりますが、JRの運賃を3割引きに設定している自治体が多いです。
詳しくは住んでいる地域の役所に問い合わせてみてください。

水道代の減免
上下水道の基本料金等の減免は、各市町村の割引制度です。
- 児童扶養手当
- 特別児童扶養手当
上記を受給している家庭が対象になることが多いです。
こちらも自己申請が必要です。
各自治体のサイトや、担当の窓口、水道局でもで内容を確認することができます。
▷ 手続き方法・必要書類
- 本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカード、パスポートなど)
- 児童扶養手当証書
- 印鑑
基本的には上記3点ですが、各市町村によって異なるので申請手続きの前に必ず確認しておきましょう。
粗大ゴミ処理手数料の減免
こちらも各自治体の制度です。
- 児童扶養手当
- 特別児童扶養手当
- 生活保護
上記を受給している世帯に対して適用されることが多いようです。
粗大ゴミの処理を依頼するときに、減免対象であることを申告することで適用されます。
さいごに
いかがでしたか?
家事に育児に仕事にと多忙なシングルマザー生活の中で、手当や助成金の手続きをするのはひと苦労ですよね。
今回、沢山の制度を紹介したので、「大変そう・・・」と思った方もいらっしゃると思いますが、まずは住んでいる市区町村の窓口に問い合わせてみることからです。
せっかくシングルマザーのために準備されている制度ですから、払うお金を少しでも少なくし、そのぶん子どもとの生活を豊かにするために利用しましょう。
控除や減免の制度をうまく活用し、生活に余裕が生まれてきたら、憧れのマイホームも夢ではないかもしれませんよ!
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