三世帯とは?メリットデメリットと同居が上手くいく家づくりのポイントを解説
結婚するとセットでついてくる『同居問題』。
それぞれ別に家を持つか、はたまた一緒に暮らすのか。
一緒に暮らすことで得られるメリットもあればデメリットもあり、安易に決めてしまうと今後付き合っていく家族関係が不仲になってしまう可能性もあります。
今まで別々に生きてきた人同士が同じ空間で暮らすためには、気をつけるだけでなく、お互いが暮らしやすい家づくりが重要です。
ポイントをしっかりと理解して、円満な家族関係を築きましょう!
三世帯とは?
まず世帯とは『独立して生計をたてている人の集まり』を指します。
三世帯なら、3つの世帯が集まって同じ家で暮らすことですね。
祖父母世帯と親世帯と子世帯で三世帯となり、それぞれが独立して生計をたてている状態となります。
簡単にまとめると、『それぞれが働いている大人の集団』ですね。
世帯の種類とは?
家族にもいろいろな形があり、同居の形もさまざまです。
- 祖父母世帯、親世帯、子世帯
- 親世帯、子世帯、子世帯
- 夫の親世帯、妻の親世帯、子世帯
などが一例としてあげられます。
その他にも、親世帯、子世帯、独身の子世帯を、2.5世帯と指す場合もあるようです。
また、三世帯と似た言葉で『三世代家族』もあります。
三世代とは、祖父母世代、親世代、孫世代の3つの世代で、生計を共にした家族を指します。
同じ同居でも生計を共にしているか、していないかでグループが分けられますね。
三世帯と三世代で様々なパターンがありますが、大人が集まって一緒に暮らすという点では共通するポイントも多くあります。
どの形でもポイントを抑えることで、快適な暮らしを作ることができるのです。
三世帯住宅と二世帯住宅の違い
二世帯住宅の場合、親子での同居がスタンダードです。
三世帯住宅の場合、前途のようにさまざまな世帯が加わることで、他人と同居することになり得ます。
二世帯住宅の多くは、玄関やキッチンを共有しているところも多いですが、他人が加わる可能性の高い三世帯住宅となると、共有部分が多ければ多いほど生活への配慮が必要となることも。
三世帯住宅は、お互いストレスなく暮らすためにも、生活に必須な水回りや出入りの多い玄関は分離することをオススメします。
完全に分離してしまうと、建築コストが高額になることや、まとまった敷地を必要とすることから、同居する家族が負担の無い箇所を共有することで、コストを抑えることも可能に。
例えば、廊下や階段は人が留まりにくく、共有しやすい箇所といえます。
三世帯同居のメリット
同居することで得られるメリットはたくさんあります。
経済的な負担が軽くなることや困った時にサポートができることもメリットの一つですね。
メリットを理解して、うまく活用すれば日常の負担は軽減されること間違いなしです。
節税ができる
もしも住宅を相続することになり、条件がクリアできれば相続税を大幅に節税できる可能性も。
「相続なんて今は考えられない…」と感じる人もいるかと思いますが、もしもの時が訪れた際、知っているのと知らないのでは金額の負担は大きく変わってきます。
詳しく知りたい方は、相続税について記事後半で詳しく説明しますので、ぜひ読んでみてくださいね。
家事分担ができる
働いていると家事をする時間が、まとまって取りにくいもの。
残業が続いてしまって自炊が難しい時や、急な雨で洗濯物を取り込みたい時、誰かが家に居て手伝ってくれるとかなり助かります。
全て一人でするのではなく分担することで、時間にも余裕が生まれリラックスする時間をつくることも可能。
また、家事の得意不得意にあわせて分担する方法もあり、親世帯は料理メイン、子世帯は掃除メインなど分けることも可能です。
育児・介護を協力しやすい
はじめての子育ては分からないことも多く、不安になりがち。
相談できる人や話を聞いてくれる人が身近にいることで、かなり心の負担が軽くなります。
学校からの急な呼び出しや急な看病が必要になった時も、同居なら助け合いやすいですね。
また、介護が必要になった場合も、一緒に暮らすことで移動時間が無く、都度対応することが可能に。
同居している人同士がサポートしあうことで、育児や介護のストレスが減ることは大きなメリットの一つですね。
マイホーム取得費用が抑えられる
マイホーム購入には多額の費用が必要です。
ローンを組むにしても、頭金を入れることで月々の返済負担を軽くすることができます。
例えば、同居するための家の取得にあたり、頭金を両親が支払うことで、子供世帯の月々のローン負担額を軽くすることもできます。
働き手が多くいる同居だからこそ、一人当たりの費用負担が減り念願のマイホームを持つことも叶います。
三世代同居のデメリット
他人と住む可能性の高い同居は嫌なイメージがつきものです。
では、具体的にどのような困りごとがあるのでしょうか。
デメリットを事前に知ることで対策をたてることができます。
家族円満を目指しましょう!
プライバシー確保が難しい
同じ家に暮らすことで、プライバシーの確保や生活リズムの違いなどからストレスやトラブルにつながる可能性が高くなります。
共有空間が多いほどプライバシー確保は難しいといえるでしょう。
例えば、玄関やリビング、水回りなど生活に必要な箇所を全て共有する『完全共有型』の場合、同居する人たちの生活リズムが違うと、掃除やお風呂などの生活音を気にして、自由に使える時間帯を縛られてしまいます。
また人目を気にして、夫婦だけでの会話やスキンシップも取りづらく、すれ違いが生じることも。
共有空間を増やすことで、建築費用は抑えられますが、お互いを理解し、プライバシーを確保をするルール作りが必須になります。
玄関やキッチン、トイレなど一部のみを共有する『部分共有型』の場合、完全共有型に比べるとプライバシーは確保しやすくなります。
ただし、一緒に暮らす人の生活リズムや掃除の頻度などを考慮して共有する箇所を決めないと、「出勤前に水回りやトイレを使うタイミングが重なりストレスが溜まる…」「キッチンを気兼ねなく使えない…」といった状況になる可能性も。
水回りなど別にする場合は、特に建築費用が高額になりやすいですが、のちのちにお互いがストレスを抱えることを思うと、別にすることを検討するのも良いでしょう。
外から見ると一つの家に見えても、それぞれの設備が2つずつある『完全分離型』もあります。例えるなら、マンションのようなイメージですね。
それぞれの世帯ごとに生活に必要なものが揃っていて、同じ敷地で暮らす。
この場合、プライバシーや気疲れをすることはありませんが、建築費用が高額になり、かつまとまった広い土地が必須となります。
都心部や人気エリアでまとまった土地を確保することは難しいでしょう。
住宅を売却しづらい
現在は核家族が多く、同居する人は昔より減っています。
その中で、三世帯住宅となるとさらに需要は少ないのが実情。
また二世帯住宅と違い、三世帯となるとさまざまなパターンのケースの世帯があるため、必要となる間取りもさまざま。中古物件が少ないことから、需要の低さが見て取れます。
その他にも共有名義の場合、住宅を手放すのにも名義人全員の合意が必要です。
あらゆる要因が重なり、結果として売却しにくい状態となってしまいます。
家にいてもリラックスしにくい
3つの世帯が一緒に暮らすことで、気を遣わないといけないこともしばしば。
我が家は、お風呂あがりにパンツ一丁でウロウロするお父さんやパジャマのままゴロゴロする子ども達もいますが、そういったことがしづらくなる可能性があります。
疲れている時は、「掃除を後まわしにしよう」、「ご飯は買ってきたお惣菜で済まそう」などという風に家事を手抜きしたくなるものですが、同居の家族の目線が気になったり、気を遣ったりすることもリラックスしにくい要因の一つだといえます。
文化の違いがトラブルに発展しやすい
親世帯と子世帯など年齢に差があればあるほど、文化の違いは生じやすいです。
例えば、朝方と夜型が同じ家で暮らすと、お互いの生活音が気になり睡眠妨害へと繋がってしまう可能性も。
また、食事を一緒にする場合は、味や好みの違いでストレスを感じることが予想されます。
和食がメインの家族と洋食がメインの家族では好みの味付けタイプが違い、日々の食事がストレスになりトラブルへと発展することも…。
同居が上手くいく家づくりのポイント
3つの世帯が暮らすことで、さまざまな気遣いが生じます。
家は疲れた身体と心を癒す場所として、リラックスできることが理想ですね。
そのために、各世帯が負担なく暮らせる工夫が必要となります。
ポイントを知ることで、同居のメリットを最大限に活かせる家づくりを実現しましょう。
プライバシーを確保した家づくり
プライバシーを尊重するのであれば、共有スペースを完全に無くした『完全分離型』の家を検討してみるのがおすすめ。
同じ敷地に住んでいますが、玄関も3つ、キッチンやお風呂もそれぞれにすることで家族だけのスペースを確保可能。
ただ、デメリットでも伝えたように、建築コストが高額になることや、広い土地を要するため難しいことが予想できます。
例えば、マンションのような形にして、階数ごとで区切る設計方法もあります。
この場合、庭などが共有部分となりますが、1階の室内が丸見えにならないような工夫が必要になりそうです。
適度な距離感を保つ共有空間づくり
3つの世帯が仲良く暮らすために、共有空間はかなり重要な力を発揮します。
例えば、屋上や庭、インナーテラスや地下室では、週末は3世帯が集まって、バーベキューや趣味を一緒に楽しむことができます。
こうしたイベントを通してコミュニケーションを円滑にしておくことで、困った時はお互いにお願い事をしやすい信頼関係を築くキッカケになります。
普段はそれぞれのライフスタイルで過ごし、イベント時は気軽に集まれる距離感は三世帯住宅ならではの楽しみではないでしょうか。
生活音や生活動線を考慮した間取りづくり
お風呂やトイレなど水回りの音は、生活音の中でも気になりやすいものです。
寝室の近くに音の発生場所があれば、生活リズムが違うと睡眠の妨げになるなどストレスになることも。
また、玄関や階段など人の動きが多い場所は、足音にも注意が必要です。
ほか、室内から発生する音だけでなく、道路に面した部屋は車の音が目立つこともあります。
各家族の生活の流れを考慮した、負担にならない間取りや動線づくりが必須となるでしょう。
将来を見据えた間取りづくり
高齢者がいる世帯と一緒に暮らす場合、建物をバリアフリーにすることで、住みやすい家になります。
多くの世帯が共に暮らす家だからこそ、全ての世帯が気持ちよく住める配慮が必須。
例えば
- 階段や廊下に手すりを設置
- 段差を無くした玄関
- 作業台の高さが変更できるキッチン
などが挙げられます。
バリアフリーにすることで、もしもの場合でも住みやすい家となりますね。
三世帯住宅のお金について
三世帯が快適に暮らすためには、さまざまな工夫と配慮が必要となります。
そのため、マイホーム費用も高額に。
しっかりとお金の知識をつけることで、賢い家づくりの参考になれば幸いです。
賃貸として貸出
同居していた子が独立を理由に家をでることで、空きスペースができることも。
その場合、空きスペースをそのまま放置したり、倉庫として使用するだけでなく、新たな収入源の一つとして活用することができます。
特に完全分離型の家なら、共有する箇所が無いため、他人に貸してもプライバシーの確保は可能です。
賃貸で得たお金を家のローンに回すもよし、リフォーム代として貯蓄するのもよし。
完全分離型の住宅は、初期費用が高額になりがちですが、将来の賃貸化を意識して家づくりをするのも一つの案ですね。
補助金について
地域によってさまざまな補助金制度があります。
新築を建てる場合や中古物件をリフォームする場合、申請することで補助金がおりることも。
お住まいの地域によって、条件が異なるため住宅の取得前にチェックが必要です。
国土交通省の政策の一つに『地域型住宅グリーン事業』があります。
この制度は、国土交通省が定めたグループにて長期優良住宅や省エネ性や耐久性に優れた木造住宅の取得が条件となる補助金です。
補助額が高額なため、要件に当てはまるマイホームを取得時はぜひ活用を!
相続税について
メリットでも簡単にふれましたが、相続税については『小規模等宅地の特例』を活用することで節税が可能です。
通常、相続する場合、不動産の資産価値に対して税金が発生します。
この特例を活用することで、相続する土地の価格が330㎡までは80%OFFに割り引くことが可能。
ただし、節税効果も高い分、条件も厳しいです。
- 故人の配偶者であること
- 住民票が故人と同じ親族であること
- 生計を共にした親族であること
上記に適する方は、特例を利用できる可能性が高いため、ぜひ調べてみてください。
平成30年の税改正により、さらに細かく条件が追加されています。
適用されれば、かなり優遇されるため、今は相続について考えていなくても、存在を知っておくことでもしもの時に活躍する可能性が高いでしょう。
まとめ
三世帯で暮らすメリットデメリットや家づくりのポイントを紹介しました。
三世帯にもさまざまな構成があり、祖父母と親と子の世帯や親と子と子の世帯もあります。
同居することで得られるメリットは
- 節税ができる
- 家事分担ができる
- 育児・介護を協力しやすい
- マイホーム取得費用が抑えられる
の4つですね。
反対にデメリットは
- プライバシー確保が難しい
- 住宅を売却しづらい
- 家にいてもリラックスしにくい
- 文化の違いがトラブルに発展しやすい
の4つです。
メリットを最大限に活かすため、家づくりのポイントもまとめました。
プライバシーを確保しつつ、コミュニケーションがとれる共有空間づくり。
どの世帯同士もストレスなく暮らすための、生活音やバリアフリーの配慮。
快適な生活のために考えなければならないことはたくさんあります。
また、3つの世帯が暮らしやすい家を建てるためには、高額な費用がかかります。
活用できる補助金や小規模等宅地の特例を活用した節税方法を知ることでお金の負担を減らすことも可能に。
特に、義両親や義理の兄弟など、血のつながりのない家族が同じ家で心地よく暮らすためには、さまざまな工夫が必要です。
一般的に嫌がられることの多い同居ですが、信頼できる仲間が身近にいることは、不安に陥りやすい子育てや介護をする人にとって、大きなメリットになります。
この記事が、みんなが安らぐ心地よい家づくりのヒントになれば幸いです。
新築の家づくりは慎重に行わないと、次の記事のように、後悔することになるかもしれません…