第二種中高層住居専用地域とは?特徴と土地活用方法をわかりやすく解説!
新築を建てるにあたり、「三階建ての広い家に住みたい」「事務所兼自宅だと通勤のストレスがないよね」「近所にはレジャー施設があると休日は楽しめそう」など、夢が広がりますよね。
しかし、土地によって建てられる高さや大きさが決まっていることはご存じでしょうか?実は、建築基準法により建築物には決まりがあります。
土地には『住居』『商業』『工業』と大きく分けると3つ用途地域があり、それぞれに特徴があります。
3つの用途地域は、街の景観や住環境を保護する大切な制度。
その中で、中高層住居専用地域は、マンションやアパートのような3階以上の共同住宅や高さのある戸建て住宅を指します。
今回のテーマである『第二種中高層住居専用地域』は、住環境とテナントや事務所を含む商業地域が混在したエリアです。
特徴を知ることで、条件に合った土地探しのヒントになりますよ♪
第二種中高層住居専用地域とは?
『第二種中高層住居専用地域』とは、住宅と公共施設と小中規模の店舗がある地域を指します。
その他にも、条件を満たせば大きな商業施設も建設可能です。
大きなレジャー施設や娯楽施設はないけれど、学校やスーパー、病院が地域にあり日常生活に困らないのが特徴。
商業施設はあるものの、遊園地やホテルなどはないため、観光地のような賑やかさはなく、暮らしやすさから子育て世代に人気の地域です。
都市部では駅前や繁華街には面しておらず、少し離れた郊外に位置します。
反対に都心以外では、駅周辺や公共交通機関の近くに位置することが多く、移動に不便を感じないのも特徴。
生活に必要な施設が揃っていて、利便性も良いので、賃貸物件としても人気のエリアです。
第二種中高層住居専用地域の建物例
戸建て、マンションのほかに、床面積の合計が1,500平方メートル以内で2階以下の店舗や事務所・飲食店であれば建設可能になります。
その他に、学校や病院なども建築できるため、さまざまな種類の施設が立ち並ぶ街といえます。
第二種中高層住居専用地域の建物例がこちら。
- 小中高校、大学、専門学校
- 保育所、幼稚園、児童館
- 病院、介護施設
- 神社、教会、お寺
- 交番、ガソリンスタンド、公衆浴場
- 自宅兼事務所
- 駐車場付きの中規模なスーパー
ですが、映画館やパチンコなどの遊戯施設は範囲内に建てることができません。
また、工場や大規模な倉庫も建築不可のため、工業排水や空気汚染の心配はないでしょう。
第二種中高層住居専用地域の制限は?
第二種中高層住宅専用地域は、住民にとって良好な環境を守るため、建物の建築に制限が設けられています。
その指定の条件をクリアすることで、希望にあった建築は可能となるのです。
その中の代表的な3つの条件を分かりやすく解説していきますね。
建ぺい率について
建築時に関係する制限のひとつが『建ぺい率』です。
建ぺい率とは、敷地面積に対して建築可能な面積の割合のこと。
第二種中高層住居専用地域では、各地域によって30%から最大60%の範囲が条件として決まっています。
角地の場合、前面道路の幅や角度、道路の敷地に接する長さなどの条件がクリアできれば、建ぺい率をさらに10%加算することも可能。
土地によって建ぺい率が異なるので、家を建てる際には最寄りの役場で確認するか、インターネットで調べておくことをオススメします。
容積率について
高さのある建物を建てる時に関係するのが『容積率』です。
容積率とは、敷地面積に対して建物の延べ床面積の割合を指し、
基本的には容積率の値が高ければ高いほど、高さのある建築が可能。
第二種中高層住居専用地域は、建ぺい率と同様に都市計画で100%から最大500%内の容積率が条件として決まっています。
ただし、土地に面する前面道路の幅によって容積率が変わることもあり、建ぺい率と同じく事前に調べておくことが重要ですね。
基本的に高層ビルを除けば、中高層の建築物は可能です。ここでいう『中高層』は、高さが10メートルを超えるもの、もしくは地上3階以上が目安のものをいいます。
日影規制について
1日の中で住居が日影になる時間を制限するのが『日影規制』です。
日影規制とは、建築物にあたる陽光の確保することを目的とし、一定時間以上日影にならないようにすることが目的。
つまり、条件をクリアすれば高さのある建築物も可能であるということです。
第二種中高層住居専用地域は住居を中心とした用途地域のため、日当たりの確保など暮らしやすさに重点を置いた制度の一つですね。
日照時間が短い冬至の日を基準として、隣地に対し所有する建物による日影が一定以上つくられないように高さを制限します。
地域によって日照時間が変わるので、上記の2点と同様に最寄りの役場、もしくはインターネットで事前に調べておくことが大切です。
その他について
その他にもいくつか条件があります。
例えば、斜線制限とは、道路や隣地の距離に応じて各部分の高さを制限する決まりの一つ。
その中にも、道路斜線制限や隣地斜線制限、北側斜線制限があります。
これらの制限は、建築物同士の間に空間を確保して、日照・採光・風通しの妨げにならないように規制するものです。
第二種中高層住居専用地域では住民の暮らしを中心に考え、快適な環境づくりが制度として決まっているのですね。
第二種中高層住居専用地域の実際の暮らしは?
第二種中高層住居専用地域は、住環境を守るために様々な規約がありますが、「生活に必要なものが近所に揃っていて住みやすい環境だ」と感じる人が多い地域です。
レジャー施設が近隣にない分、華やかさには欠けるかもしれませんが、学校や病院、公共施設があることで治安や道路整備も行き届いていることが多く、それこそが魅力の一つですね。
第二種中高層住居専用地域に住むメリットデメリットは?
現在、子育て中の私にとって、第二種中高層住居専用地域での暮らしはすごく快適です!
具体的にどのようなメリットデメリットがあるのか、さらに詳しく見ていきましょう。
【メリット①】買い物がしやすい
住まいのエリアにスーパーやドラックストアがあることで、日々の買い物には困りません。
例えば、ご飯の用意中に買い忘れに気づいた時も、料理が冷めないうちにサッと買い物に行けることは嬉しいポイント。
また、2階以下かつ1,500平方メートルのショッピングセンターもあるため、食材や学校用品などジャンルが違う商品がまとめて買えることで、移動の手間が省けて助かります。
【メリット②】交通の利便性が高い
学校が近くにあることで、電車やバスの交通網が発達しています。
そのため道路環境の整備が整っていることが多く、道幅にもゆとりがあり自家用車での移動も楽に行えます。
また、駐車するためのパーキングやガソリンスタンドも同エリアにあるため、交通の利便性が良いといえるでしょう。
【デメリット①】遊戯施設がない
カラオケやボーリング場、ゲームセンターなど何人かが集まって遊ぶような遊戯施設はありません。
学校帰りに立ち寄る場所が限られてくることはデメリットの一つですね。
その他にもパチンコや競馬場もないため、ちょっと遊びに行くにしても遠出になってしまい面倒だと感じてしまうかもしれませんね。
ただし、子育て世代にとって治安面を考慮すると、遊戯施設が近くにないのはメリットと捉える方もいるでしょう。
【デメリット②】低階層の日当たりが悪い
日影規制はあるものの、条件をクリアすれば高さのある建築も可能。
そのため、マンションやアパートの低層部分は日当たりが悪くなることもあります。
1階に住むのであれば、部屋を明るく保つための工夫が必要な場合もあるでしょう。
例えば、壁紙や床は明るめの色を基調としたり、間接照明を設置したりすることで日当たりの悪さを緩和でき、オススメですよ。
第一種中高層住居専用地域と第二種中高層住居専用地域の違い
第二種中高層住居専用地域について解説しましたが、ここでは第一種中高層住居専用地域と比較して暮らしの違いを見てみましょう。
違いを知る前に、第一種中高層住居専用地域について簡単に説明します。
第一種中高層住居専用地域は、第二種と同じく用途地域の一つ。
主にマンションや住宅を中心とする閑静な住宅街を指します。
そのうえで、改めて実際の暮らしやすさを比較してみましょう。
住みやすさは?
第一種中高層住居専用地域では、建物の制限が厳しいため、大規模なレジャー施設はありません。
そのため、比較的閑静な景観が保たれ、ゆったりとした暮らしが叶います。
第二種中高層住居専用地域では、条件をクリアすれば大きな施設も建てられるため、第一種に比べると栄えている印象を受ける地域です。
ただしその分、車の交通量も多いため排気ガスや騒音を気にする人は、第一種中高層住居専用地域がオススメだといえそうです。
便利なのは?
生活利便性が高いのは、断然、第二種中高層住居専用地域です。
第一種に比べると、規制が緩いためテナントも多く、大型の商業施設があり買い物や外食がしやすい環境です。
また、公共交通機関が発達していたり、車が十分に通れる広い道路だったり、交通の利便性はよく移動に困りません。
ガソリンスタンドやコインパーキングもあり、都心郊外問わず便利だといえるでしょう。
第二種中高層住居専用地域のオススメ土地活用方法
人の流れも多い第二種中高層住居専用地域は、新しくお店を構えるにも有効です。
学校や病院など、人の集まる場所が近くにあることで、集客を望むことができるでしょう。
また交通の利便性がよいことで、事務所や店舗用に貸し出すことにも向いています。
例えば、マンションの1階を事務所として貸出、2階以上を賃貸物件として活用する方法も可能ですね。
大学周辺に賃貸アパートを運営すれば、地方から来る学生からの需要も高く、土地活用としてはオススメです!
反対に、空き地に太陽光発電を設置し、活用することは不向き。
高さのある建築も可能なため、思っていたよりも日影になり太陽光を集めることが難しくなるでしょう。
不動産運営をするなら、第二種中高層住居専用地域はオススメの土地だといえます。
まとめ
今回は『第二種中高層住居専用地域』について詳しく解説しました。
住居と商業施設が混在した用途地域の一つ。
住環境を良好にするため、さまざまな制度が整っています。
代表的な条件がこちら。
- 土地に対して建築可能な面積を示す建ぺい率
- 延べ床面積から建物の高さを示す容積率
- 住居が日影になる時間を規制する日影規制
その他にもさまざまな条件があり、住民の暮らしを守っています。
規制の中でも、住民の生活に必要な施設は揃っていて、学校関連や病院、小中規模の店舗も多数。
また、条件をクリアすれば大規模な商業施設も建設可能となり買い物には不自由しないですね。
交通の利便性も良く、公共交通機関が発達していたり、道路が整備されていたり人の流れが多い街といえるでしょう。
ただし、良いところばかりでもなく、カラオケや映画館などの遊戯施設がなく娯楽面では少し物足りなさを感じます。
他にも、高さのある建物が多いため場合によっては、低階層の日当たりが悪くなる場所もでてくるでしょう。
第二種中高層住居専用地域と似た用語で第一種中高層住居専用地域とも比較いたしました。
人の流れのある第二種に比べ、閑静な住宅街の第一種。
ゆったりと暮らすなら第一種、あらゆる面で便利なのは第二種ですね。
それぞれに特徴があり、どのような暮らしがしたいかによって住む地域を選択するのも良いでしょう。
人の流れの多い街である第二種中高層住居専用地域は、不動産としても魅力的。
空き物件をテナントや事務所として貸し出すもよし、賃貸マンションとして貸し出すもよし、幅が広がります。人の流れがある地域だからこそ、将来的にも活用方法は幅広いでしょう。
私の住まいは第二種中高層住居専用地域なのですが、日が沈んでも街には明りがあり治安もよく気に入っています。
もし気になった土地が見つかったら、用途地域についても問い合わせてみてくださいね。
引き続き、家に関する情報をお送りするので、よかったら他の記事もご覧ください!
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この記事の監修:嵯峨根 拓未 所有資格:二級建築士、宅地建物取引士 |