プロが教える住宅ローンの繰上げ返済によるリスク!知らないと大損しますよ!
近年、住宅ローンを借りる方のほとんどは、長い借入期間を選択されます。
「月々の返済をできるだけ減らして、余裕ができたタイミングで繰り上げ返済しよう」
こう考えている人はとても多いと思います。
住宅業界でも、高齢になってローンを支払えるか不安だというお客様には、繰り上げ返済を提案するのがセオリーのように思われています。
しかし、私は簡単に繰り上げ返済をしてしまうのには反対だと考えています。
なぜなら、繰り上げ返済には支払い額や期間を短くできるというメリットの反面、リスクもあるからです。
繰り上げ返済をする際に考えなければいけないことは2つあります。
1つは繰り上げ返済手数料の問題で、もう1つは団信に入っている際に起こる問題です。
長期の住宅ローンを組み、繰り上げ返済をしていくことを考えているなら、絶対に繰り上げ返済のリスクについて理解してください。
この記事では、あなたが間違った繰り上げ返済をしたり、住宅会社の悪徳セールスに惑わされないための知識をお伝えします。
繰り上げ返済とは?
まずはじめに、繰り上げ返済について正しく理解されていない方が多いので、ご説明します。
繰り上げ返済とは、残債の全部または一部をまとめて返済することです。
資金に余裕ができたタイミングで、残債を一気に減らしたいときに繰り上げ返済をします。
支払い期間を短くするために繰り上げ返済をする方が多いですが、実は繰り上げ返済の際には、支払い期間を減らすのか、月の支払額を減らすのか選ぶことができます。
あなたに合った方を選んでください。
支払い期限を短くしたり、返済額を減らしたりできる繰り上げ返済は、とても魅力的です。
しかし、盲目的に繰り上げ返済をするのはとても危険です。
しっかりとリスクも理解したうえで、繰り上げ返済をしてください。
手数料に注意
繰り上げ返済のリスクの1つ目は、繰り上げ返済の手数料です。
最近では繰り上げ返済の手数料が無料の住宅ローンもたくさん登場してきましたが、全ての住宅ローンの繰り上げ返済手数料が無料というわけではありません。
繰り上げ返済手数料無料と言っている住宅ローンの中にも、一定金額以上の繰り上げ返済の場合は無料など、無料になるための条件が設定されていることもあります。
今後を楽にするための繰り上げ返済なのに、手数料が積み重なってしまっては意味がありませんよね。
繰り上げ返済の手数料はいくらなのか、無料になるための条件はあるのか、契約前に必ず確認しておきましょう。
最近では、金利や各種手数料が安いネット銀行の住宅ローンがとても注目されています。
積極的に繰り上げ返済を考えて住宅ローンの支払い計画を立てている方には、ネット銀行の住宅ローンがオススメです。
詳しくはこちらの記事を参考にしてください。
団信が実行されたときに資産が減る
繰り上げ返済のもう一つのリスクとして知っておいて欲しいのが、繰り上げ返済と団信との関係についてです。
1つ目にご説明した手数料については、言われるまでもなく意識していた人も多いと思います。
しかし、この団信についてのリスクは、実は住宅会社の営業マンや銀行窓口の人でさえ気づいていないことが多く、ほとんどの場合事前に説明されません。
知らなかったでは済まされない、とても大切なことですので、ここから先はもう一度集中しなおしてお読み頂ければと思います。
まず、団信について簡単に説明します。
団信とは、住宅ローンの契約者が死亡または高度障害によって働けなくなったとき、住宅ローンの残債をゼロにしてくれる保険です。
団信についてさらに詳しくはこちらをお読みください。
残債をゼロにしてくれる保険なので、補償額も残債とともに減っていくことになります。
団信の補償額=住宅ローンの残債
残債が2000万円なら補償額は2000万円、残債が1000万円なら補償額は1000万円です。
このことは必ず覚えておいてください。
勘のいい方ならもうお気づきかもしれませんが、繰り上げ返済をするということは、ご自身の手で、保証額を積極的に減らしていることになります。
例えば、住宅ローンの残債が2000万円だとします。
住宅ローンの残債と補償額は常に同じなので、残債が2000万円の場合、補償額も2000万円です。
ここに、手持ち金1000万円分を繰り上げ返済したとします。
すると、住宅ローンの残債は1000万円になり、補償額も1000万円になります。
残債が減ったかわりに、補償額も1000万円分減ってしまいました。
では、どうしてこれがリスクになるのでしょうか?
また、リスクになるとしたら、どうして住宅会社や銀行窓口で働く人達はリスクだと気付かないのでしょうか?
2000万円の住宅ローンの残債のうち、1000万円分繰り上げ返済をした場合で考えてみます。
まず、繰り上げ返済をする前の状態を確認します。
繰り上げ返済をする前は、住宅ローンの残債2000万円、手持ち金1000万円です。
この状態で、死亡または高度障害によって団信が実行されたとするとどうなるでしょう?
ローンの残債は無くなり、手持ち金が1000万円残ります。
では次に、繰り上げ返済をした後の状態を考えてみましょう。
繰り上げ返済をした後は、住宅ローンの残債1000万円、手持ち金0円です。
では、この状態であなたに団信が適応される事態が起きてしまったとします。
すると、どうなるでしょう?
住宅ローンの残債は清算されるので0円になりますが、手持ち金も0円になってしまいます。
繰り上げ返済をしなければ、団信が実行されたときに住宅ローンの残債がなくなり、これまで貯めた1000万円も手元に残ります。
しかし、繰り上げ返済をしたあとに団信が実行されると、住宅ローンの残債がなくなり、手持ち金は0円になってしまいます。
つまり、ここでお伝えしたい繰り上げ返済のリスクとは、繰り上げ返済をすることによってご家族に残せる資産が減るというリスクです。
今回の1000万円を繰り上げ返済した後に団信が実行されたケースを、残されたご家族の立場で考えると、1000万円が意味もなくなくなってしまったことになります。
その上、繰り上げ返済をする前なら団信の実行で2000万円補償されるはずが、補償されたのは1000万円になってしまっています。
補償額の面で考えても、1000万円損をしていることになります。
本来受けられるはずだった補償のうちの1000万円分と、手元に残るはずだった1000万円の、計2000万円の損です。
こう考えると、団信が適用されてしまう事態が起こったときを考えると、繰り上げ返済はしない方がいいですよね。
人は基本的に、自分が死んでしまったり高度障害を負うことを想定して生活していません。
それは住宅会社や銀行窓口の人も同じで、お客様がまさか、死亡または高度障害になることなど想像しません。
「もしものときに備えて保険に入った方がいい」
口ではそう言いながらも、実際は団信が適用されることを想像していないのです。
だから、なかなかこのリスクに気付けません。
もちろん何事もなく生活できるのが一番ですし、誰もがそうあることを望んでいます。
何事もなく生活できれば、繰り上げ返済をした方が将来は確実に楽になります。
繰り上げ返済のメリットと、万が一に起こり得るリスクも理解したうえで、繰り上げ返済をするべきかどうか判断することが大切です。
まとめ
いかがでしたか?
繰り上げ返済は、将来を豊かに暮らすためにとても有効な手段です。
しかし、リスクについて正しく理解していないと、繰り上げ返済によって逆に生活が苦しくなってしまうこともあります。
- 繰り上げ返済手数料についてしっかりと把握する
- もしも団信が適用される事態になったときのことを考える
繰り上げ返済をする前に、必ずこの2つのリスクについて理解しておいてください。
特にこの記事では、2つ目のリスクについてしっかりとご理解頂きたいと思っています。
誰しも、自分が死んでしまったり、高度障害を患ってしまうことなど想像したくありせん。
しかし、いつどこで何が起こるかわからない世の中ですから、想像したくないからといっても、無視してしまっては、残されたご家族が不幸になってしまいます。
そうならないためにも、あなたに万が一何かあったときのことも考えてみることはとても大切です。
このような目に見えないリスクが、住宅ローンにはたくさんあります。
しかし、それらのリスクに気づくことはとても難しく、多くの方がリスクに気づかずに住宅ローンを借りて失敗してしまいます。
そのような失敗をしないためには、信頼できるプロに相談することが大切です。
住宅ローンのプロというと、銀行や住宅会社を思い浮かべる方も多いと思いますが、実はそれは大きな間違いです。
詳しくはこちらの記事を参考にしてください。
住宅ローンの契約や返済に失敗しないためには、繰り上げ返済のリスクの他にも知っておかなければいけないことがあります。
住宅ローンで失敗しないために絶対にやってはいけないことを、こちらの記事にまとめました。
住宅ローンに失敗しないために、次はこちらをお読みください。
住宅ローンで失敗して後悔しないためにやってはいけないこと6選
この記事を参考に、繰り上げ返済のリスクを理解し、正しい住宅ローンの返済計画を立てて頂ければ幸いです。