卒乳・断乳のタイミングは?知っておきたい上手な方法と心構え
赤ちゃんを母乳で育てていらっしゃるお母さんには、いずれおっぱいを辞めるタイミングについて考える時期が来ます。
ママのおっぱいが大好きな子どもにとって、ママの思い通りにおっぱいを卒業出来るかと言うと、なかなか難しいのが現実です。
離乳食が始まる頃から自然と授乳回数が減る子もいますが、子どもによっては全く離乳食を受け付けない場合もあります。
卒乳のためにママが授乳回数を減らそうとやっきになれば、かえって子どもが不安になりおっぱいに執着して、離れなくなるという悪循環に陥ることも。
スムーズに卒乳・断乳を進めるためにはどうしたら良いのでしょうか?
そんな悩みをお持ちの方のため、卒乳・断乳を上手に進める方法や知っておくべき心構えについてお話しをしたいと思います。
卒乳と断乳の違い
卒乳・断乳についてはっきりとした定義はありませんが、基本的には次のように考えられています。
<卒乳>
卒乳には【自然卒乳】と【計画卒乳】の2つの意味が含まれます。
【自然卒乳】-自然と子どもがおっぱいを飲まなくなること
【計画卒乳】-徐々に授乳回数を減らしていき、子どもが自然におっぱいを欲しがらなくなるように導いていくこと
<断乳>
ママのタイミングで日にちを決めて、スパッとやめること
ここでは、上記の定義で卒乳と断乳を区別させていただきます。
どのくらいで授乳をやめるべき?
子どもが1歳を過ぎると離乳食も進み、授乳しているママは「そろそろおっぱい辞めようかな?」と思ったり、子どもが大きくなってくると、周りから「まだ飲ませているの?」なんて言われて、断乳を考え始めるママが多いように思います。
実際、先輩ママたちはどのくらいで授乳を辞めているのでしょうか。
【卒乳・断乳をした月齢】
1歳未満——————-27%
1歳〜1歳6ヶ月未満 —42%
1歳6ヶ月〜2歳未満 —18%
2歳以上 ——————13%
(ベビカム、ウィークリーリサーチ第189回『卒乳・断乳について』のアンケートより)
このアンケートを見る限りでは、1歳〜1歳半のタイミングで卒乳・断乳をするママが多いようです。
1歳ほどで卒乳・断乳するママが多い一方で、日本小児科学会では4歳までの授乳を推奨しています。
また、WHO(世界保健機関)も2歳かそれ以上までの授乳を推奨しています。
そして、ユニセフの調査によると、世界平均の卒乳時期はなんと4.2歳!
卒乳・断乳に適した時期は個人によって違い、授乳は無理に辞める必要は無く、赤ちゃんの心の安定につながる良い物だとして認められています。
周りに流されずに、ママの気持ちと子どものペースを大事にしながら自分たちにあったタイミングで行って下さい。
断乳と卒乳はどちらがよいのか
これについては、ママの考え方や状況、子どもの発達状態によっても変わってきますので、どちらがよいと言えるものではありません。
それぞれの環境に合わせて、断乳にするか卒乳にするか決めましょう。
いつまでも母乳を飲んでいるために離乳食が進まないと感じるなら、思いきって断乳をするのは一つの方法です。
ママが薬を服用しなければならない場合や、新たに妊娠をしたことで断乳をせざるおえないこともあります。
ママの仕事復帰を控え、断乳をしておこうとするケースも多いでしょう。
一方、授乳は子どもに安心感と幸福感を与えることのできる重要な母と子のスキンシップでもあります。
子どももおっぱいが欲しいし、ママも飲ませていたいなら、断乳をせずに卒乳を待つのも自然なことです。
ママ自身が納得できれば、どんな形であっても良いのです。
周りの人が断乳したからといって焦ったり、周囲の意見などに振り回されて後悔のないように、それぞれのスタイルを大切にしましょう。
短期決戦型の断乳の進め方
断乳を考えるきっかけは人それぞれですが、断乳を決意してもおっぱいを求めて泣く子どもの姿に心が揺らいで、失敗してしまうこともあります。
出来るだけ我が子の負担にならないように、上手に進めたいですよね。
ここから、短期間で行う断乳をスムーズに成功させるための8つのステップをご紹介いたします。
1.まずは子どもの状態をチェック
- 離乳食が完了している(おっぱい以外の離乳食からしっかりと栄養をとれている)
- 離乳食が完了していないが、ミルク育児に切り替えることができる
- ストローやコップなどを使って、おっぱい以外から水分補給ができる
2.断乳を固く決意する
断乳を成功させるいちばんのポイントは、「必ず断乳する!」というママの固い決意です。
おっぱいが欲しくて一日中泣き喚く子どもが可哀想で、気持ちが揺らいでついつい授乳してしまう…なんてこともあります。
しかし、一度断乳に失敗すると、子どもは余計におっぱいに執着するようになります。
断乳は子どもの成長のための大切なステップです。断乳後の子どもの成長した姿を楽しみにしながら、強い決意で心を鬼にして臨みましょう。
3.スケジュールを立てる
短期決戦の場合は3日間が勝負と考えてください。
3日間で断乳を完了させるようにスケジュールを立てましょう。
この3日間はママにとって、身体的・肉体的な負担が大きく、とてつもなく長く感じられるものです。
断乳に取り組む3日間は、パパのお休みの日を含めるなど、協力してくれる人がいる日を選ぶことをおすすめします。
寝かしつけ、入浴をパパに頼むなど、代わってもらえるところは代わってもらうことで、ママの負担がぐんと減ります。
4.断乳に向けてムードをつくる
スケジュールが決まったら、断乳開始日より1ヶ月ほど前から、子どもに「もうすぐ、おっぱいとはバイバイだよ」と伝え、断乳に向けての雰囲気を作っていきましょう。
1歳を過ぎて言葉が理解できる子どもの場合、この言葉がけでスムーズに断乳できてしまうこともあるといいます。
1歳未満の赤ちゃんの場合、ママの言うことは理解できないかもしれませんが、きちんと言葉で伝えて雰囲気作りをしておくことは、ママの心の準備にもなります。
5.断乳決行日の前日
「明日でおっぱいは終わりだよ」と優しく、しっかりとした気持ちを持って子どもに伝え、たっぷりと授乳してあげてください。
6.断乳当日の朝
朝1回の授乳を最後とします。
このときも「これで、バイバイだよー」と伝えてあげましょう。
おっぱいに好きなキャラクターのシールを貼るなどして、おっぱいに向けて「バイバーイ」と手を振ることもおすすめです。
7.最後に授乳してからの過ごし方
あとはひたすら、おっぱいを欲しがらせない努力をします。
断乳が完了するまでは、出来るだけ外に出て身体をたくさん動かして、夜はぐっすりと眠れるように適度に疲れさせます。
お昼寝の時はおっぱいを欲しがらないように、パパにドライブに連れていってもらうなどして工夫をしてください。
それでも半日くらいすると、ママのシャツを覗き込んでおっぱいを探すようになります。
おっぱいを欲しがったら、パパに抱っこを代わってもらったりするなど、他の事で気を紛らわせます。
子どもの好きなお菓子やお握りなどを準備しておき、上手く利用しましょう。
お風呂ではママのおっぱいが目に入ってしまうので、出来れば入浴はパパにお願いしましょう。
ママが入浴させる場合は、おっぱいに肌色のばんそうこうを貼るなどして、おっぱいがないことを示します。
夜になるとママのおっぱいを求めて激しく泣き、抱っこしても反り返ったりと、母子共に眠れない長くて辛い夜になるでしょう。
夜中に何度も大泣きされると心が折れて、おっぱいをあげたい衝動に駆られてしまうかもしれませんが、そこでおっぱいをあげてしまうと、赤ちゃんは「泣けばおっぱいをもらえる」ということを学んでしまうので、心を鬼にして抑えてください。
時にはパパに抱っこをお願いしてママが寝たふりをするなど、夫婦で協力して乗り越えましょう。
8.断乳3日目
断乳3日目になると、「もう泣いてもおっぱいはもらえない」ということがわかってきます。
癇の強い子や神経質な子、それまで授乳に依存して眠りについていた子などは、もう少し長くかかるかもしれませんが、3日目あたりで赤ちゃんの変化を感じたというママも多いようです。
食事もしっかりと食べ、ぐっすり眠れるようになり、断乳が完了に近づきます。
もし断乳に失敗したら…
断乳に失敗する多くの場合は、大泣きする赤ちゃんにママが根負けしておっぱいをあげてしまうからです。
もし断乳に失敗してしまった時は、お母さんの体調と心の状態と今一度向き合って、断乳再開の時期を考えてみましょう。
断乳が失敗した場合、続けて何度も繰り返すと、おっぱいへの執着が更に強くなり断乳が余計に難しくなります。1~2ヶ月空けて母子共に気持ちを落ち着かせてから断乳を再開するようにしてください。
長期決戦型の計画卒乳の進め方
卒乳時期は子どもによって様々です。
まずは卒乳できる準備がどれくらい整っているかを判断し、子どもの気持ちと向き合いながら、次の7つのステップで進めていきましょう。
1.子どもの発達状態をチェック!
- 1日3回の食事がとれている(おっぱい以外の食事からしっかりと栄養をとることができる)
- ストローやコップが使えて、おっぱい以外から水分補給ができる
- 2本足で歩き、生活リズムが整っている(赤ちゃんがママから肉体的に自立したとみなされるひとり歩きは卒乳時期の目安の一つとなります)
2.おっぱい以外のスキンシップやコミュニケーションで愛情表現ができる
授乳は栄養を与えるだけでなく、赤ちゃんがママの愛情を感じて安心感を満たすという役割も担っています。
卒乳が近づいて来たら、子どもがおっぱいがなくてもママに愛されていると感じることが出来るスキンシップを重ねていきましょう。
授乳に代わるスキンシップで子どもの心が満たされるよう、卒乳に向けての心の準備を整えてあげましょう。
3.おっぱいをやめる日を言い聞かせる
時期を決めて言い聞かせる方法は、ある程度お母さんのいうことが分かる年齢になると有効です。
1ヶ月以上前から、カレンダーに好きなキャラクターのシールなどを貼って「この日におっぱいバイバイだよ」と伝えます。
一日が終わったら一緒に×印をつけていって、「おっぱいサヨナラの日」が迫っていることを認識してもらいましょう。
またこの時、「おっぱいがなくなっても、ママはあなたのことが大好きだよ」ということを伝えて、子どもを安心させてあげることが大切です。
4.授乳回数、授乳時間を少しずつ減らしていく
1ヶ月ほどかけて、徐々に授乳回数や量を減らしていくことで、子ども側の心の準備も促されます。
まずは食後の授乳を減らすところから始め、同時に昼間の遊びの時間を増やして授乳を徐々に減らしてください。
授乳量を段階的に減らしていくことにより、おっぱいトラブルのリスクも下がります。
5.離乳食の量を増やす
離乳食で赤ちゃんのお腹を満たしてください。
離乳食に腕をふるってしっかりとご飯を食べるように工夫をしたり、小腹が空いた時に一口食べられるようにおにぎりを常備するなど、子どもを空腹にさせないことで必然的におっぱいを欲しがらなくなります。
6.パパやおじいちゃん、おばあちゃんと一緒に過ごす時間を増やす
パパやおじいちゃん、おばあちゃん達とたくさんお出かけをして、楽しい思い出を作ってあげるようにします。
出来れば、夜眠る時もパパやおばあちゃんと寝ることに慣れさせてみてください。
ママと子どもだけの世界から視野を広げてあげることが、スムーズに卒乳させるポイントです。
7.卒乳の日は家族のスケジュール調整を
卒乳の日はパパも仕事がお休みで、家族みんながゆとりをもてる日を選ぶようにしてください。
朝に1回授乳をしてそれで終わりです。
家族でお出かけをするなど、楽しいことをして1日を過ごします。
日中にしっかり遊んで体力消耗させておくことが、体も心も満たします。
ある程度の疲れは、スムーズな入眠の条件です。
ママのおっぱいが張ったり、卒乳後3日間はママの体や、子どもの様子に変化が起きやすい時期です。
ゆったりとした気持ちで変化に対応するためにも、できれば卒乳後3日間はゆっくりと過ごせるように環境を整えておいてください。
もし卒乳が上手くいかなかったら…
卒乳がうまくいかなかったときは「まだ早かったのかも」、と判断し卒乳を一旦ストップしてみましょう。
焦らずに子供の様子を見つつ、少し間を空けてから、母子共に無理のない時期を見計らい再チャレンジして下さい。
卒乳、断乳後のおっぱいケア
卒乳・断乳後のおっぱいケアを怠ると乳腺炎を発症する可能性があります。
正しいケアでおっぱいトラブルを予防しましょう。
卒乳、断乳1日目〜3日目
卒乳、断乳を始めてからも、母乳量は急に減少するわけではありません。
特に断乳1日目〜3日目は強い張りを感じるママが多く、搾乳が必要です。
搾乳するときのポイントは次の通りです。
- おっぱいが張ってつらいときだけ軽く搾る
- 1日に1回~3回程度に分ける
- 乳輪のあたりやおっぱいのつけ根を刺激しすぎない
おっぱいが張ると本当に痛くて辛いものですが、搾りすぎたり、乳輪のあたりやおっぱいのつけ根の刺激してしまうと、新たにおっぱいが作られてしまいますので気をつけましょう。
また、温めると血行がよくなり更に張ってきますので、入浴は湯船に入るのは避け、シャワーくらいで済ませましょう。
冷たいタオルでおっぱいを押さえたり、あまり張りがひどく痛みを伴う場合は、母乳外来の受診や助産師さんのケアを受けてください。
卒乳、断乳4日目〜6日目
卒乳、断乳4日目ごろになると母乳の量も減り、張りもずいぶん楽になってくるでしょう。
そうしたら、母乳を全部搾り出すような気持ちで搾乳していきます。
両方の手のひらでおっぱい全体を包むようにして、外側から内側に向けて、大きなおにぎりを握るような気持ちで搾り出します。
それ以降のケア
卒乳、断乳から1週間が経過したら、残る母乳をしっかりと搾り出しましょう。
全部搾り出したら、以降は1週間ごとに搾るようにします。これを繰り返して母乳が出なくなれば、おっぱいケアは終わりです。
個人差がありますが、1ヶ月~2ヶ月程度で終了するママが多いようです。
まとめ
母と子の絆でもあった授乳タイム。
おっぱいを止めるということは大きな決断です。
よく考えてママ自身で納得できる答えを出してくださいね。
卒乳や断乳は、上手にできる場合もあれば、失敗を繰り返す場合もあります。
そのときの環境や、ママや子どもの気持ち、体調にも左右されるので、焦らずに無理のないように取り組んでください。
卒乳・断乳という成長のステップを踏むことが出来たなら、おっぱいの代わりにたっぷりとスキンシップを取って、たくさんの愛情を注いであげてくださいね。
ママの身体のケアも忘れずに。