落ち着きがない子ども!原因は一体なに?子どもへの対応の仕方は?
4歳になる私の息子は、幼稚園に入るまで、じっとしていられない、とにかく落ち着きがない子どもでした。
ベビーカーやチャイルドシートには長く乗っていられないし、電車に乗るのも一苦労。
レストランに入ってもゆっくり食事は出来ないし、スーパーでは周りの目を気にせず大騒ぎ。
一瞬のうちにどこかへ行ってしまい、迷子センターのお世話になることもたびたび。
児童館のおゆうぎには参加できたことがなく、同じ遊びやおもちゃにはすぐに飽きてしまい、座っている暇もない程の激しい目移り。
「こんなに落ち着きがないのは、息子が特別なんじゃないか…。」
「落ち着きのなさは個性?それとも…。」
と悩む日々が続きました。
何一つ思い通りにいかない子育てに不安がつのり、イライラして息子に怒鳴ってしまうこともよくありました。
私の様に、小さなお子さんの落ち着きのなさで悩んでいらっしゃる親御さんは、多いのではないでしょうか。
ここでは、幼い子どもの落ち着きがない行動の原因や、効果的な対応の仕方についてご紹介します。
ぜひ参考にしてみてください。
幼い子どもの集中力はどのくらい?
落ち着きがないというのは、別の言葉では、集中力がないともいえます。
では、実際に、どのくらい子どもの集中力は続くものなのでしょうか。
集中力が続くのは、幼児期の子どもであれば、年齢+1分ほどといわれており、かなり短いことがわかります。
小学生で15分ほど、中学生で30分ほど、高校生で45分ほど。
大人でも最長50分で、本当に集中力を高められるのは15分ほどしかありません。
大人でこれですから、幼い子どもの集中力が短くても仕方のないことです。
そもそもこれだけ短い集中力なのですから、幼いうちから集中力や落ち着きを求めることに無理がありますよね。
集中力や落ち着きが養われるのはいつ?
集中力は一般的に7歳頃までに養われるといわれています。
小学校に入って45分間の授業中にじっと座っていられるのは、こういった背景があるからなんですね。
集中力の育成には、幼児期の過ごし方が大きく影響します。
家庭環境はもちろん、幼稚園や保育園での生活も重要になるので、その子の成長に合った接し方や幼稚園選びなど、環境を整えてあげることがとても大切になります。
子どもに落ち着きがない5つの原因
子どもに落ち着きがないと、つい周囲と比較してしまい「どうしてうちの子だけ…。」と不安に感じてしまうものです。
私自身、子どもに落ち着きがない原因がわからず、「どうして?」と考えては悩んでいました。
落ち着きがない原因には、以下の5つが考えられます。
子どもが落ち着かずに動き回るのは、その子なりの原因がありますので、お子様をよく観察し、原因を追究していきましょう。
1.好奇心が旺盛で欲求が抑えられない
幼い子どもの脳はまだまだ未発達で、大人のように感情をコントロールすることができません。
興味を持ったものには何にでも手を伸ばし、遊びたいものを見つければ突き進んでしまいまうので、周りからは「落ち着きがない子」といわれてしまうことも。
これは裏を返せば知的な欲求にあふれている証拠でもあり、子どもなりに自分で確かめて、理解をしようと行動しているのです。
一般的に好奇心は成長するにつれ、少しずつ減っていくものなので、がまんができる年齢になるまで、怒らずに諭しながら気長に見守ることも必要です。
「落ち着きがない」と心配するよりも、「好奇心旺盛であるおかげで学びのチャンスがたくさんある」ととらえると、親の気持ちが楽になります。
落ち着いて欲しい場面などでは、子どもが落ち着ける環境を作るなど工夫してみましょう。
遊びたくなるものを子どもの目に触れないように片付けるだけで、遊びに対する欲求をおさえて、行動を落ち着かせることもできます。
2.自己主張の始まり
子どもは自分の思い通りにいかないと、かんしゃくを起こしてキレやすいものです。
何とか思い通りにしたくて大声を出したり暴れたりする行動が「落ち着かない」ととられることがあります。
しかし、「自分の思い通りにしたい」という自己主張は子どもの自我が芽生えてきた証拠であり、無理に抑えつけようとすることばかりが良いとは言えません。
子どもは上手く言葉で表せない感情を行動で表そうとします。
無理に抑え込むと主張の場を失って、行動をエスカレートさせてしまうかもしれません。
タイミングをみて気持ちをそらしてあげるなど、上手に対応してあげましょう。
3.ストレス
家庭環境の問題であったり、お友達同士のトラブルなど、子どもの世界にだってストレスはあります。
しかし、子どもは大人のように上手くストレスから逃げることも、発散させることも知りません。
子どもの抱えるストレスが、落ち着かない行動となって現れやすい傾向があります。
常時落ち着きがない、突然大声を出す、訳もなくかんしゃくを起こすなどの行動や、爪をかむ、おねしょなどの身体的な症状が出たりする場合は、子どもが何らかのストレスを抱え込んでいる可能性があります。
日頃から子どもの様子をよく観察し、感じているストレスはないか子どもの話をよく聞いてあげてましょう。
家庭内や外の世界で、嫌なことや不安に思っていることはないかなど、日常生活の中で引き出してあげると良いでしょう。
子どもが感じていることを口に出すだけでも、ストレスは軽減されます。
まだ上手にお喋りができない場合は、スキンシップを取ることでストレスを軽減させることができます。
ストレスがたまっている場合、子どもはあなたに向けてSOSサインを出しているかもしれません。
SOSサインを見逃さないでください!
幼い子どもの世界にだってストレスが!SOSサインを見逃さないで!
4.関心を引きたい
子どもはとても愛情を欲しています。
そのため、好きな人の「関心を引きたい」「かまってほしい」という時には、注意を引くために暴れたり落ち着きのない行動をとったりする場合もあります。
兄弟姉妹の誕生や母親の仕事復帰などの環境の変化によって、子どもが愛情不足を感じ、突飛な行動に走ることが多いと言います。
子どもは「自分は愛されていないのではないか」と不安を感じ、どうにかして親の関心を自分に向けさせるために、必要以上に動き回ったり、わざといたずらをするようになります。
そういう場合は、日頃から子どもをギュッと抱きしめて「大好きだよ」と愛情を伝えるようにするなど、子どもの心のケアを心掛けましょう。
5.ADHDの可能性
幼い子どもにとって、落ち着きのない行動はよくみられることなので、医師が診察してもグレーゾーンといわれることがあります。
個人差がありますが、6歳(小学校入学時)を過ぎても落ち着きが治らない場合は、ADHDが疑われることがあります。
ADHDについてさらに詳しくはこちら
落ち着きがない子どもへの対応の仕方
では、落ち着きがない子どもに、どのように対応したらよいのかをご紹介しましょう。
<感情的に怒らない>
落ち着きのなさの原因となっているものが何なのかを見極めた上で、ストレスのない接し方をしてあげることが大切です。
「どうせ言っても理解してくれないから、怒るしかない」と投げやりな気持ちになってしまうかもしれませんが、「理解出来ないのではなく、時間がかかっているだけ」と考えてください。
落ち着きのない子どもには安心感を与えることが効果的な接し方です。
決して感情的な言い方ではなく、近くに寄り添って、穏やかで静かな声で話すと、落ち着きのない子どもでも聞きやすいようです。
安心できる環境の元で時間をかけて繰り返し伝えることで、子どもが安心感を覚え、徐々に落ち着きのなさも治まっていくといいます。
<子どもの気持ちに共感する>
「じっとしていなさい!」と言われても子どもは無理です。
「もっと遊びたいんだね。じゃあ、お母さんのお買い物終わったら一緒に見に行こうね!」
という様に、まずは子どもの気持ちに共感し、それから今集中すべきことに注意を向けるようにしましょう。
子どもは、親が自分の心をわかろうとしてくれたと感じるだけで、安心感を抱きます。
<環境を整える>
いつも、部屋が雑然としていて、テレビはつけっぱなしになっている…というようなことはありませんか?
部屋が散らかっている場合や、雑音が多すぎる部屋にいると、どうしても注意力が散漫になってしまいます。
部屋を片付ける、刺激の強い音や光を控える、一日の中で静かな時間帯を作るなど落ち着ける空間を作りましょう。
穏やかな環境であれば、子どもも心乱れることなく過ごせます。
<プラス思考で考える>
落ち着きがないの子どもの行動を叱りつけたり、あちこち走り回るのを必死に追いかけていては、親はイライラするし疲れるばかりです。
「なんでこの子は落ち着きがないの?」と悩むよりも、「この子はこういう性格!」「元気があって子どもらしい!」と、ポジティブにとらえることで気持ちが楽になります。
親が子どもをありのまま受け入れることで、子どもは「自分は愛されているんだ」と感じ、安定した精神をもたらしてくれるものです。
<専門機関へ相談する>
もし親御さんや本人も困っていたり手に負えない時は、迷わずに行政や病院に行って相談をしてください。
また、少しでも不安に思うことがある場合でも、家族で抱え込まずに専門機関へ相談することで、解決の糸口を見つけられるかもしれません。
各都道府県に設置された発達障害者支援センターを中心に、各福祉窓口、教育現場、医療現場、など比較的充実した支援を受けることが可能です。
落ち着きのある子に育てるためには
日常生活の中で、子どもの落ち着きや集中力を養うために効果的なことはあるのでしょうか。
<絵本の読み聞かせ>
絵本に触れさせる機会が多かった子どもは集中力が高くなるメリットがあると言われています。
また、理解力や想像力を豊かにし、文字を覚える早さにも影響するといいます。
本を好きになることで、落ち着きを養うことが出来、教養も身につけることも出来るでしょう。
寝る前の絵本の読み聞かせを習慣にするなど、本に触れ合う機会を積極的に増やしてあげましょう。
<片付けや整理整頓>
子どもの落ち着きがない行動は、片付けや整理整頓などの教育が影響すると言われています。
おもちゃの片付けを自分でやらせずに、お母さんがいつもしている状況ではありませんか?
分類を考えたり、上手に収納する工夫をするなど、片付けや整理整頓には頭を使います。
そのため、片付ける行為が習慣として身につくことで、集中力が高められたり頭が良くなるといったメリットがあります。
小さいうちはお母さんが一緒にすることで、片付けや整理整頓が身につくように働きかけましょう。
<体を思いっきり使う運動遊び>
子どもには食欲や睡眠欲と同じように「本能的活動欲求」があります。
幼い子どもは、じっとせずに動き回っていることがありますが、それこそ、まさに遊んでいる瞬間なのです。
しかし、動き回っていることが落ち着きのない行動ととらえられ、大人からは「じっとしなさい!」と止められてしまうことが多く、そうなると心が満たされずに不安定になってしまいます。
反対に、欲求が満たされることで、情緒が安定するといえます。
この欲求を満たすためには、運動遊びが効果的と考えられています。
思いっきり子どもを遊ばせてあげることで、心が落ち着き、集中力を生み出すことにもつながります。
幼児期の運動遊びについて詳しくはこちらを参考にしてください。
幼児期の運動遊びはとっても大切!運動が心と体にもたらす効果とは
まとめ
落ち着がないのは、一般的に多くの小さい子どもに共通することです。
とは言っても、ついつい周りの子と比べてしまい「なんでうちの子だけ…」と悩んでしまうものですよね。
私も息子の落ち着きのない行動にずいぶん悩み、専門機関に相談しようか迷うこともありました。
しかし、幼稚園に入って間もなく、息子に劇的な変化があったんです!
初めの参観日のことです。
「うちの子がずっとイスに座っている!!」
「みんなと一緒に直立して歌をうたっている!!」
周りからみたら当たり前のことかもしれませんが、今までの息子からしたら考えられないことでした。
今では深刻に悩んでいた自分はなんだったんだろうと思います。
このように、成長するにつれ子どもの落ち着きのない行動はなくなっていくことがほとんどです。
なかなか心配がなくなることはありませんが、幼いうちはおおらかな気持ちで、長い目で子どもの成長を見守ってあげてください。
その中で、ここでご紹介した対処法を参考にしていただくなど、親にできることも考えて、前向きに取り組んで行きたいですね。
落ち着きがない子を見ると、心配で仕方ないかもしれません。
しかし、あまり心配しすぎはかえって子どものためにならないことが多いため、ときには子どもを信じて見守ってあげることが大切です。
あなたは子どもを信じられていますか?