マンション売却で修繕積立金はどうなる?返金される3つのケース
マンション売却をするとき、今まで支払った修繕積立金はどうなるのか気になっている方は多いのではないでしょうか?
- 住んでいる間に大規模修繕がなかった
- 修繕積立金は戻ってくるの?
- 修繕積立金が返金されるのはどんなとき?
修繕積立金はマンションの大規模修繕に備えて、入居者がお金を出し合い、積み立てている貯金です。
基本的には、居住している間に大規模修繕がなかったとしても、支払った修繕積立金は戻ってきません。
しかし、修繕積立金が返金されるケースもあります。
この記事では、不動産売却時の修繕積立金の基礎知識、返金される3つのケースについてお伝えします。
記事を読んでマンション売却に役立てて頂ければ幸いです。
修繕積立金は返金されない
住んでいる間に一度も大規模な修繕が行われなかったら、売却するときに修繕積立金を返してもらいたいと誰でも思いますよね。
しかし、残念ながら一度支払った修繕積立金は返金されません。
修繕積立金は、老朽化していく建物の大規模修繕をする目的で積み立てているものなので、入居者が退去するたびに個別に返金していたら、本来の大規模修繕という目的を果たすことができなくなってしまいます。
そのため、毎月支払う修繕積立金はマンション管理組合の財産となります。
修繕積立金と管理費の違い
修繕積立金と一緒に毎月支払っているものに管理費があります。
修繕積立金と管理費の使いみちとして、以下の違いがあります。
修繕積立金 | 管理費 |
屋根・床の防水工事 外壁・手すり・建具の塗装 給排水管設備 電気・ガス・換気設備 通信設備 駐車場整備 |
共用部分の電気・ガス・水道代 共用部分の備品代 理事会の運営費 管理委託費 管理人業務 損害保険 |
修繕積立金
修繕積立金は、12~15年周期で行われるマンション全体の大規模修繕のために、居住者が出し合っている貯金です。
修繕積立金だけでは足りない場合、入居者から臨時で修繕費を徴収する場合もあります。
管理費
管理費は、共用部分の維持管理をするための費用です。
エレベーターの定期点検やエントランスや植木の清掃などは、管理費によって維持されているものになります。
つまり、修繕積立金と同様に、管理費も退去時に返金されることはありません。
修繕積立金が返金される3つのケース
通常は返金されない修繕積立金ですが、例外として支払った修繕積立金が戻ってくる場合があります。
管理組合が解散したとき
マンションの管理組合が解散する場合とは、建て替え等によってマンションが取り壊されるときです。
つまり、マンション自体がなくなってしまえば大規模修繕の必要がなくなるため、”備え”である修繕積立金は返金されます。
管理規約にき退去時に返金する旨が明記されているとき
マンションには、さまざまな決まりごとを記載した管理規約があります。
管理規約に「退去時は修繕積立金を返金する」と記載されている場合は、売却するときに支払った分の修繕積立金が管理組合から返金されます。
修繕積立金の目的を考えると稀なケースではありますが、売却前に一度管理規約を確認してみてください。
買主との日割り精算をするとき
修繕積立金は毎月まとめて前払いしていることが多いと思います。
マンション売却時の引き渡し日が、月の途中になる場合は、支払った分の修繕積立金を買主と日割り精算することができます。
売主と買主の負担割合は以下の通りです。
- 引き渡し前日まで…売主負担
- 引き渡し日以降…買主負担
6月1日~15日分…売主1万円
6月16日~30日分…買主1万円
注意していただきたいのは、修繕積立金を口座から自動引き落としにしている場合です。
口座変更の手続きには時間がかかるため、売却のタイミングによっては、次月分まで売主の口座から引かれてしまうことがあります。
その点を管理組合に事前に確認した上で、決済時にまとめて精算できるようにしてください。
修繕積立金から考える売却のベストタイミング
マンションの大規模修繕は12~15年周期で行われますが、修繕前に売却した方が良い場合と、修繕後に売却した方が良い場合があります。
どのタイミングで売却すると良いのか、説明します。
修繕積立金には2種類ある
修繕積立金の方式には、以下の2つがあります。
- どんどん値上がりしていく「段階増額積立方式」
- ずっと一定金額の「均等積立方式」
2つの積立方式の特徴を踏まえて、売却に最適なタイミングをみていきます。
段階増額積立方式なら大規模修繕前
修繕積立金の支払い方式が「段階増額積立方式」の場合、積立金額は大規模修繕直後に大幅に増額されるケースが多いです。
そのため、修繕積立金の安いうちに売却することで、買主にとっては毎月の負担額が安いため売れやすくなります。
また、近いうちに大規模修繕が行われることが分かっているので、買主としても確実に大規模修繕の恩恵を受けられるメリットがあります。
均等積立方式なら大規模修繕後
修繕積立金の支払い方式が「均等積立方式」の場合、大規模修繕をしても修繕積立金の金額は変わりません。
そこで、大規模修繕が終わってから売却することで、買主は修繕して綺麗になったばかりのマンションに入居できるメリットがあるため、売れやすくなります。
修繕積立金を滞納しているとどうなる?
入居中に修繕積立金を滞納していた場合は注意が必要です。
滞納している分の修繕積立金は、区分所有法によって、次の入居者=つまり買主が支払わなければなりません。
売却後のトラブルの原因になりますし、何よりも滞納していると売却しにくくなるため、滞納している場合は全て支払ってから売却してください。
金銭的な事情があって任意売却をする場合は、そもそも滞納分を支払うことが難しいため売却価格を安くして販売することになります。
まとめ
いかがでしたか?
マンションを売却する際、支払った分の修繕積立金は基本的に返金されません。
修繕積立金が返金されるのは以下の3つのケースです。
- 管理組合が解散したとき
- 管理規約に退去時に返金する旨が明記されているとき
- 買主と日割り精算をするとき
修繕積立金の金額を考慮して、最適なタイミングで売却することで、良い条件で売却することも可能です。
売却にベストなタイミングは以下の2つです。
- 段階増額積立方式…大規模修繕前
- 均等積立方式…大規模修繕後
修繕積立金を滞納していると、滞納分の支払いは買主が引き継ぐことになります。
トラブルを避けるためにも、滞納分はすべて支払ってから売却しましょう。
この記事があなたのお役に立てれば幸いです!