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不動産売却って代理人に頼める?失敗しない「委任状」の書き方と注意点

 2019/08/24 不動産
 

こんにちは!おうちの悩み.comです。

不動産売却をするとき、事情があって自分で手続きができないことってありますよね?

そんなとき「売却を誰かに頼めたらなぁ・・・」と思いませんか?

  • 不動産売却って代理人に頼めるの?
  • お願いするなら誰に頼むべき?
  • 「委任状」の正しい書き方を知りたい!
  • 書式はあるの?自分で作るの?サンプルは?
  • 代理人とトラブルになるのは嫌だ!

不動産売却は「委任状」を作成すれば、代理人に売却手続きを任せることができます。

ただし不動産売却は高額な取引なので、代理人は慎重に選ばないといけません

また、委任状の書き方を間違えてしまうとあなたの意向を無視した取引が成立して、あなたが損をしてしまうかもしれません。

 

そんな失敗をしないように、この記事では不動産売却を代理人に委任する正しい方法を解説します。

この記事を読めば、あなたは安心して代理人に不動産売却を任せることができます!

 

不動産売却の「委任」とは?

家を売るとき、売主がやるべきことは山ほどあります。

事務手続きはもちろん、売却価格を決めたり値引き交渉に応じるなど、売主の判断が必要になる場面はたくさん出てきます。

これらの手続きを所有者本人ができないときは、代理人に委任することができます。

 

委任の仕組み

不動産売却ができるのは、原則、不動産の名義人のみです。

ですが、やむを得ない事情があるときは、委任状を作成して代理人に売却を依頼します。

代理については、民法で次のように定められています。

【民法第99条】(代理行為の要件及び効果)

  1. 代理人がその権限内において本人のためにすることを示してした意思表示は、本人に対して直接にその効力を生ずる。
  2. 前項の規定は、第三者が代理人に対してした意思表示について準用する。
Wikibooks

一言でいうと、代理人がしたことは本人がやったのと同じことになります。という意味です。

強い権限を持つ代理人は「ちゃんと所有者から依頼されていますよ」と証明するために、各種手続きの際に委任状を提出しなければなりません。

 

委任の流れ

委任の具体的な流れは、以下のようになります。

まずは、売却を依頼する不動産会社に「委任による売却をしたい」という旨を相談してください。

その後、不動産会社が本人と会って売却の意思確認をします。

本人の売却意思を確認できたら「委任状」を作成します。

売却活動、決済・引き渡しは代理人が行うことになります。

ポイントは、不動産会社の担当者、司法書士に一度は会わないといけないということです。

もし、委任状1枚で売却できてしまったら、悪意のある親族が委任状を偽造して売却代金を受け取ることもできてしまいます。

しかも、たくさんの人が売却に関わっていたのに「誰も気付かなかった」という事態になりますよね。

原則本人にしかできないことを他の人がやるわけなので、最低限の意思確認だけは必要ということです。

編集部
名義人本人と司法書士が顔を合わせるタイミングは、契約や決済の場になることもあります。

同席できないときは、司法書士が直接会いにきて「本人の意思確認」をすることもあります。その場合は司法書士の出張費として3万円ほどかかります。

 

委任が必要になるケース

代理人に不動産売却をお願いできるのは分かったけれど、「やむを得ない事情」とは一体どんな場合なのでしょうか?

委任が必要になる4つのケースをみていきます。

 

①遠方に住んでいるとき

所有者が地方や海外など遠方に住んでいるときは、売却のために出向くのは難しくなります。

特に不動産売却の手続きは、「平日だけ」「午前中だけ」など曜日や時間が限定されることも多いので、近くに住んでいたとしても、仕事が多忙な人もスムーズに売却することができません。

このようなときは、親族を代理人にして不動産売却をすることができます。

 

②入院中で身動きがとれないとき

所有者が、病気やケガで入院しているときは身動きがとれませんよね。

また、高齢者や車いすの方など、あちこち動き回って手続きするのが大きな負担になる場合も、売却を委任することがあります。

 

③共有名義の不動産を売るとき

相続した不動産は、親族との共有名義になっていることがあります。

共有名義の不動産売却をするときは、名義人全員が手続きに立ち会わなければなりません。

でも、住んでいる場所がみんなバラバラだと、何度もスケジュールを合わせるのは難しいですよね。

そこでスムーズに手続きを進めるために、名義人のうち誰か1人を代表者にしてその他の名義人が委任するというケースが多いです。

また、離婚によって夫婦共有名義の家を売る場合など、お互いに顔を合わせたくないときも、どちらか一方が委任して売却手続きを進めることができます。

【関連記事】

【共有名義の不動産】トラブルなく売却するための「4つの方法」と知っておくべき注意点!

 

④未成年者が不動産を相続したとき

未成年者が親の不動産を相続して、売却するという場合もあります。

まず、未成年者は自分名義であっても不動産を売ることはできません

さらに、自分で代理人を選ぶこともできないので、法律で定められた親族が「法定代理人」になります。

ちなみに、大人が自分の意思で代理人を選ぶときは、選ばれた代理人は「任意代理人」と呼ばれます。

 

代理人になれる人

不動産売却を委任する代理人は、基本的に誰を選んでもいいことになっています。

ただし、あなたの資産を大きく左右することになるので、本当に信頼できる人を選ぶことが大切です。

一般的に、親族、司法書士、弁護士などに委任するケースが多いです。

代理人は所有者と同じ強い権限を持つことになりますので、値下げ交渉や、リフォームを行うべきか?など、代理人の判断でさまざまなことが決められていきます。

「こんなはずじゃなかったのに!」というトラブルにならないように、代理人は慎重に選んでください。

 

委任状の書き方

委任の仕組みは分かった!代理人も選んだ!となったら、実際に委任状を作成していきます。

不動産売却の委任状は、実は決まった書式はありません。

自分で作成してもいいですし、不動産会社や司法書士が用意したフォーマットを利用してもいいです。

ただし決まった書式がないだけに、それぞれの不動産会社によって記載内容が異なっています。

不動産売却はまったく同じケースというのが存在しないため、あなたの意向に沿っているか?追加したい文言はないか?などをしっかりとチェックしておくことが大切です。

 

委任状のサンプル

委任状の内容には、ざっくりしたものから細かく取り決めているものまで様々な書式があります。

トラブルになりやすいのはざっくり書かれた委任状の方です。

「そんなことまで頼んでないよ!」「相談してから決めてほしかったのに…」といったトラブルを避けるためには、細かい点まできちんと取り決めておくことをオススメします。

トラブルになりにくい委任状のサンプルは、以下のような内容になります。

委任状

委任者○○○(以下「甲」)は、受任者□□□(以下「乙」)に対し、甲所有の下記不動産を下記条件で売却することを委任し、その代理権を付与する。

 

売買物件 ○○○○

 

売買条件

1.売買価格 金○万円

2.手付金額 金○万円

3.引渡し日 令和○年○月○日

4.違約金額 売買価格の1割以上で、乙が買主と協議して定める。

5.公租公課の分担起算日 引渡し日

6.金銭の取扱い

乙は、買主から受領する手付金および売買代金その他の金銭を、受領の都度、すみやかに甲の指定する銀行預金口座(××銀行××支店・普通123456)に振り込み、引き渡す。

ただし、売買契約書に貼付する収入印紙代、固定資産税等の清算金その他の金銭で、甲が負担する必要があるものについては、乙がこれを売買代金等から控除し、残額を甲に振り込む。

前項の領収証の発行および受領は、すべて乙が甲の代理人として行う。

7.所有権移転登記申請手続

甲は、売買代金全額の受領と同時に、買主への所有権移転登記申請手続を行うものとし、そのための一件書類をあらかじめ△△司法書士に預託しておき、乙が、甲の代理人としてそのための準備と当日の確認を行う。

乙は、前項の所有権移転登記申請時に、買主に対し物件の引渡しを行うものとし、そのための図面その他の関係図書および鍵の引渡しをあらかじめ甲から受けておく。

8.その他の条件

本件売買契約に用いる契約書の書式は別添契約書を使用するが、それ以外の事項で上記売却条件に定めのない事項および上記売却条件の履行に変更が生じるときは、その都度甲・乙協議して定める。

有効期間

この委任状の有効期間は3ヵ月とする。

ただし、甲・乙の合意により更に3ヵ月間更新することができる。

以上

令和○年○月○日

甲(委任者)

住所 ○○○○

氏名 ○○○  印

乙(受任者)□□□殿

 

上記委任事項確かに受任いたしました。

令和○年○月○日

乙(受任者)

住所 ○○○○

氏名 □□□  印

甲(委任者)○○○殿

委任状に記載するべき内容

では、上記の委任状についてくわしく解説します。

「甲」や「乙」など難しい用語があるので、見ただけで拒否反応を起こす人もいると思います。

でも実は、これでも必要最低限の簡単なことしか書かれていません。

意味がわかれば拍子抜けしてしまうくらい簡単なので、是非覚えておいてください。

委任状の記載内容
  • 委任者(甲)

売却を委任する所有者のことです。

  • 受任者(乙)

売却を頼まれた代理人のことです。

  • 売買物件

売却する不動産の住所です。

ここは、登記簿謄本にある内容(所在、地目、構造、床面積など)に沿ってそのまま書きます。

  • 売買価格

いくらで売ってほしいのか?という売却価格です。

  • 手付金額

手付金はいくらにするか?という金額です。

はっきりとした金額を決めずに「売却価格の1割」などにしてもOKです。

  • 引渡し日

すべての売却手続きをいつまでに完了させたいのか?という日です。

  • 違約金額

売買契約を破棄したらお互いにいくら支払うのか?という金額です。

これもはっきりと金額を決めずに「売却価格の2割」などにしてもOKです。

  • 公租公課の分担起算日

固定資産税やマンション管理費などの精算をどうするか?ということです。

一般的には、引渡し日を起算にして日割り精算します。

  • 金銭の取扱い

「売却代金や手付金を受け取ったら、すぐにこの口座に振り込んでください。

もし収入印紙などの実費がかかったら、その分は売却代金から差し引いておいてください」

という内容です。

振込み先の記載がないと、売却代金などを受け取れません。

  • 所有権移転登記申請手続

「所有権移転登記に必要な書類は△△司法書士に預けておくので、確認と手続きをお願いします。

あなたにも鍵や図面を渡しておくので、引渡し日に買主さんに渡してください。」

という内容です。

権利書などの重要書類の取扱いについても、きちんと書いておくことが大切です。

  • その他の条件

「この委任状に書かれていないことがあれば、その都度相談してください」

という内容です。

これが結構重要で、勝手な判断で大幅な値下げをされると困るようなときなどは必ず記載してください。

  • 有効期限

委任状の有効期限です。

売却が長引いたときは3ヵ月間延長することができます。

  • 「以上」

「以上」の記載は重要です。

あとで代理人に有利な条件を書き加えられないようにするためです。

捺印をした委任状を、その場でコピーするのも有効です。

  • 日付

委任した日を記載します。

  • 所有者の住所・氏名・印

「□□□さん、この内容でお願いします!」という所有者の意思表示です。

  • 代理人の住所・氏名・印

「かしこまりました○○○さん。この内容で売却します!」という代理人の意思表示です。

このような内容になっています。

これだけ細かく書かれていても、大事なポイントだけを記載している程度なので「売却の一切を任せる」というざっくりした委任状が、いかに怖いかが分かると思います。

 

権限の範囲を明確にするのがポイント!

委任状作成のポイントは、代理人の権限の範囲を明にすることです。

  • 値引き交渉は代理人に任せるのか?その都度相談するのか?
  • 契約締結まですべて任せるのか?契約だけは自分でやるのか?
  • リフォームや解体の判断も任せるのか?

このように、どこからどこまでを代理人の権限とするのか?という範囲を明確にしておくことで、後々のトラブル防止になります。

あなたの希望をふまえて、記載内容の追加や変更をしてください。

不動産会社の担当者に伝えれば、相応の文言に変更してもらえたりするので是非相談してみてください。

 

委任をするときの必要書類

委任状作成には以下の書類が必要になります。

  • 実印と印鑑証明書(3ヵ月以内のもの)
  • 住民票(所有者のみ)
  • 本人確認書類(代理人のみ)

不動産会社が用意したフォーマットによっては、代理人の押印や印鑑証明が不要なこともあります。

 

白紙の委任状は危険!

「白紙の委任状」とは、条件についての記載が空欄になっている委任状のことです。

白紙の委任状に、サインや捺印をしてしまうと「すべて任せるので自由にやってください」と意思表示したことになってしまいます。

そうなれば、あなたの意向に沿わない売却が進められてしまい、大きな損失を被る可能性があります。

例えば・・・

所有者は、ローンを完済できる価格で売却してほしいという認識だった。

しかし、代理人がローン残高を大きく下回る価格で売却したため、資金調達が必要になってしまった。

白紙の委任状には、このようなトラブルの危険があります。

代理人が自分に有利な条件を書き加えることもできてしまうので、とても危険です!

くれぐれも、白紙の委任状を提出することがないように注意してください。

 

不動産会社に委任ってできるの?

「売却を任せる親族がいないから不動産会社に任せたい」という場合もありますよね。

不動産会社は売買のプロなので、家族に頼むより確実だし安心だと思われるかもしれません。

結論からいうと、不動産会社が代理人になると仲介手数料が2倍になります

通常の仲介では、不動産会社の受け取る仲介手数料は【売却代金×3%+6万円】が上限になっています。

しかし、不動産会社が代理人となる「代理販売」の場合は【売却代金×6%+12万円】が上限になります。

つまり、不動産会社に代理をお願いすると、通常の仲介手数料の2倍の金額を支払わなければいけなくなるということです。

不動産会社に代理を依頼するときは、このような手数料がいくらなのかについて確認してください。

 

まとめ

いかがでしたか?

不動産売却は、原則として名義人本人しか行うことはできませんが、やむを得ない事情があるときは委任状によって売却を依頼することができます。

大事なポイントは3つです。

  • 代理人は信用できる人を選ぶ
  • 委任状には権限の範囲を明確に記載する
  • 白紙の委任状は絶対に避ける

このような点に気を付けて、トラブルのない不動産売却をしてください!

この記事があなたのお役に立てれば幸いです。

 

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ライター紹介 ライター一覧

嵯峨根 拓未

嵯峨根 拓未

所有資格:宅地建物取引士

初めての不動産購入や売却はわからないことだらけだと思います。
宅建士の立場から、不動産に関する正しい知識と情報をお伝えします!

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