【不動産売却の値引き交渉術】有利に進める3つの心得とは
家を売るとき、買主から値引き交渉をされることがあります。
- できれば値引きしたくない…
- もめてしまって交渉決裂になるのは困る
- 上手に交渉して高く売りたい!
と悩んでしまいますよね。
家を高く売るためには、値引き交渉術を身に付けることが大切です。
気持ちに余裕をもって値引き交渉できれば、あなたにとって納得のいく売却になります。
この記事では、不動産売却の値引き交渉の心構えと高く売るテクニックをお伝えします。
上手に値引き交渉をするための参考にしてください!
値引き交渉はどうやって行われるの?
不動産売却の値引き交渉は、以下のようにおこなわれます。
【値引き交渉の流れ】
①内覧
②購入申込書の受取り
③担当者を通して価格交渉
④交渉成立
買主が提出する購入申込書(買付申込書)には、以下の内容が記入されています。
【購入申込書】
- 売り出し価格
- 購入希望価格
- 手付金の金額
- 住宅ローンの利用予定
- 契約希望日
- 引き渡し希望日
- 購入希望者の住所・氏名
- 購入申込書の有効期限など
「購入希望価格」が、この価格まで値引きしてほしいという買主の意思表示です。
つまり、値引き交渉は購入申込書を受け取った時点でスタートしています。
交渉自体は不動産会社の担当者が間に入るので、売却が初めてでも心配ありません。
価格を決めるのはあくまでも売主ですので、担当者が勝手に値引きすることもありません。
値引き交渉の3つの心得
値引き要求に対応するには、次の心構えが大切です。
- 値引き交渉は“当たり前”と心得る
- すべての要求を受け入れなくてもよい
- 切羽詰まった事情を悟られないようにする
それぞれ詳しく説明します。
値引き交渉は“当たり前”と心得る
高額な不動産を購入するときは、普段は値切らない人も多少値切るのが普通です。
買主側の担当者が「値引き交渉をしてみましょう!」と助言することもあるくらい、値引き交渉は“当たり前”のことだと心得てください。
売主としては「値切るような人に売りたくない・・・」という気持ちもあるとは思いますが、歩み寄って契約を成立させることが何よりも大切になります。
すべての要求を受け入れなくてもよい
値引き交渉をされても、すべて買主の言うとおりにする必要はありません。
なぜなら、買主はたくさんの物件を見てきて、あなたの家を気に入ったからこそ購入申込書を提出しているからです。
つまり「値引かないなら購入しない!」と思っているわけではありません。
むしろ「無理な交渉をしてせっかく見つかった物件を逃したくない」という不安を抱えています。
売主と買主は「同じ立場」であると意識して堂々と交渉した方が上手くいきます。
切羽詰まった事情を悟られないようにする
売却代金が生活の維持にどうしても必要な事情があっても、切羽詰まっていることを買主に悟られないようにしてください。
「とにかくお金が必要なら粘れば妥協するはず」と足元を見られてしまうと、交渉が不利になってしまう恐れがあるからです。
売主の事情をすべて明かす義務はないので「急いで売る必要はない、価格に折り合いがつけば売ってもいい」くらい余裕のある振る舞いをして、交渉の主導権を奪われないようにしてください。
不動産売却を有利に進める4つの交渉術
では売却を有利に進めるために、成功しやすい4つの交渉術をご紹介します。
- 値引きを見込んだ価格設定
- 数字のマジックを使う
- あいだを取った価格を提案
- 買主の側から上限額を聞き出す
それぞれの具体的なトーク、交渉テクニックをお伝えします。
値引きを見込んだ価格設定
値引き交渉は、一般的に十万円~百万円単位で行われます。
そこであらかじめ、希望売却価格に5~10%上乗せした価格に設定するのが基本となります。
【例】最低2,800万円で売りたい場合
2,800万円×5%=140万円
2,800万円×10%=280万円
140~280万円上乗せした、2,940万円~3,080万円の間で価格設定
高めの価格に設定しておけば、値引きに応じても損をすることなく希望価格で売却できます。
数字のマジックを使う
①価格を端数にする
不動産売買の交渉では、「端数切り」がもっとも多く使われます。
【例】2,980万円の場合
80万円を切り捨て、「2,900万円になりませんか?」と交渉されます。
最初から2,900万円のピッタリな価格にしてしまうと、百万円単位で交渉されて値引き幅が大きくなってしまいます。
②数字の「8」と「9」を入れる
人間は「8」と「9」があると安く感じると言われています。
スーパーなどで、200円よりも198円の商品をお得に感じたことはないでしょうか?
不動産も同じで、3,000万円よりも2,980万円の方が“お得”と感じるため、購入につながりやすくなります。
ちなみに「0」と「5」は“高くも安くもない”と感じる数字と言われています。
③1,000万円の壁を超える
買主がインターネットで物件を探すとき、「2,000万円以上~3,000万円未満」など条件を絞り込んで検索します。
ここで、“2,000万円台”と“3,000万円台”どちらに表示されるかによって、物件の発見率が変わってきます。
早く売りたいのであれば2,900万円、高く売りたいのであれば3,200万円にするなど、1,000万円の壁を上手く利用してください。
あいだを取った価格を提案
お互いの希望価格の中間を取って交渉するのも、成功率の高い交渉術です。
【例】売り出し価格2,600万円
2,400万円の値引き交渉があった場合・・・
2,600万円と2,400万円の間を取り「2,500万円でいかがでしょうか?」と交渉します。
お互いに100万円ずつ譲り合うため、あっさり交渉成立することが多いです。
買主の側から上限額を聞き出す
あいだを取った価格でも納得できないときなどは、買主から上限額を聞きだし、値引き幅をおさえるテクニックもあります。
【トーク例】
物件を気に入っていただきありがとうございます!
こちらもローン返済があり、希望の価格では正直厳しいです。
ただ、こうしてお会いできたのも何かの縁ですし、買主さんのような素敵な方にぜひ売却したいと思っています。
できる限り歩み寄れるようにしたいのですが、たとえばいくら位でしたら購入可能でしょうか?
このように、買主側から具体的な価格を提案してもらいます。
「2,400万円なら…」と言われたら、食い下がって「2,450万円ではいかがでしょうか?」と交渉することで受け入れられる可能性が高くなります。
売主から価格提案してしまうと、その価格以上では売れなくなってしまうので注意してください。

予想外の展開になったときの対処法
いくら値引き交渉をしても、スムーズに話がまとまらないこともあります。
そんなときの対策を知っておくと、冷静に対処できます。
よくある4つのケースと対処法をお伝えします。
- 大幅な値引き要求をされた
- お互いの意見が合わない
- 交渉が長期化してしまった
- 購入希望者が複数あらわれた
大幅な値引き要求をされた
常識の範囲を超えるような大幅な値引きを要求されたら、まずは相手の意図を見極めてください。
・資金に余裕があるのに、ダメ元で無茶な交渉をしている ・本当に予算が足りずに交渉をしている
理由を知った上で、あなたの気持ちを大切にしつつ冷静な判断をしてください。
- ローンを完済できる価格なら売却しよう
- 早く売るために交渉に応じよう
- 資金繰りを考えてきっぱり断ろう
買主の本当の事情を探るときは、信頼できる担当者に相談するのがおすすめです。
お互いの意見が合わない
何度交渉を重ねても平行線になってしまうときは、価格を安くする代わりに瑕疵担保責任を免除するなど、価格以外の条件を見直してみてください。
“欠陥”は買主にとってのリスクではありますが、絶対に欠陥があるとは限らず、そもそも瑕疵担保責任期間も3ヵ月程度が一般的です。
売主の考えるメリットと買主の考えるメリットが真逆というケースもあるため、柔軟に対応することで交渉が上手くいくケースもあります。
交渉が長期化してしまった
値引き交渉が長引いてしまうと「この物件は決まらないかもしれないから、一応他の物件も探しておこう」と買主が動く可能性があります。
買主の希望どおりの価格にするときは「値引きをしたら本当に買うのか?」と購入意思を最終確認してください。
最終的にあなたが譲ったにも関わらず「やっぱりやめます」となれば、今まで費やした時間がすべて無駄になってしまいます。
購入希望者が複数あらわれた
これはうれしい悲鳴ですが、人気のある物件は購入申込みが重なることがあります。
売主としては「高く売りたいけれど、最初に買いたいと言ってくれた人に売るべきかな?」と迷ってしまいますよね。
交渉権は、購入申込書を提出した順番なので、1番手との交渉が決裂したら2番手に交渉権が移ります。
高く売るのであれば、まずは1番手に次のように交渉してみてください。
【トーク例】
大変申し訳ないのですが、値引きなしで購入したいという方が現れてしまいました。
こちらとしても、できれば高い価格で売りたいのが本音なのですが・・・いかがでしょうか?
このように伝え「そんなに人気があるなら値引きなしで購入します!」となれば、1番手との交渉は成立します。
「値引きなしだと厳しい」という返答であれば、丁重にお断りして2番手に満額で売却します。
“あくまでも1番手の買主を優先したい”という気持ちを伝えてください。

値引きを断ってもいいのはこんなとき
売主としてはできれば値引きたくないのが本音ですよね。
値引きを断っても契約が成立しやすいのは次の3つのケースです。
- 売り出し直後
- 売り出し価格が安い、または値下げ直後
- 人気物件
それぞれ詳しく説明します。
売り出し直後
売り出した直後に購入申込みをしてくる買主は、「希望の物件がやっと見つかったぜ!」という購入意欲の高い買主である場合がほどんどです。
「あわよくば値下げしてほしいけれど、とにかく手に入れたい!」という気持ちに近いので、値引きに応じなくても交渉成立する可能性が高いです。
売り出し価格が安い、または値下げ直後
早期売却のために売り出し価格を相場より安く設定しているときは、元々値引いて売り出しているようなものですよね。
値引きを断って交渉決裂になっても、安い物件は需要があるのですぐに他の買主が見つかるでしょう。
また、値下げした直後も買主はすでにお得だと感じています。
「元は○○円で、大幅値下げをしたばかりなんです。」と伝えれば、値引きなしで契約成立に至るケースが多いです。
人気物件
購入希望者が多いと売主が主導権を握ることができ、多少強気の価格でも交渉成立しやすくなります。
人気物件の目安は、売り出しから1週間以内に内覧希望が複数あった場合。
ただし様子を見るのは1ヵ月くらいにして、物件の新鮮度が高いうちに少ない値引き幅で早めに売却することをおすすめします。
値引きした方がいいのはこんなとき
反対に、値引きするべきなのは以下のケースです。
- 1ヵ月問い合わせがない
- 3ヵ月売れない
- 売却を急いでいる
このようなときは、値引きをしないと売れ残ってしまう可能性が高いので要注意です。
1ヵ月問い合わせがない
売り出しから1ヵ月経ってもまったく問い合わせがないときは、価格が相場とズレている可能性が高いです。
そこで、値下げをして再度売り出すことで売却につながりやすくなります。
値下げ幅の相場は、インパクトを与えられる「50~100万円」が妥当です。
3ヵ月売れない
売却価格は適正なのに3ヵ月間売れないときは、そもそも需要が少ないということです。
一度売却のチャンスを逃すと何ヵ月も買主が見つからない可能性もあるので、値引き交渉には柔軟に応じた方が得策です。
売却を急いでいる
買い替えや転勤で売却を急ぐ場合は、値引きに応じないと次いつ購入希望者が現れるかわかりません。
さらに、売り出しから6ヵ月を過ぎると「売れ残り物件」のイメージがついてしまい、ますます売れにくくなってしまいます。
3ヵ月内覧予約がなければ不動産会社を変更する
価格は安いし需要はあるはずなのに、3ヵ月間まったく内覧がないときは、不動産会社が“囲い込み”をしている可能性があります。
囲い込みとは、不動産会社が売主と買主の両方から仲介手数料を受け取るために、自社の買主だけに無理矢理物件を売ろうとする悪質な行為です。
せっかく他社で見つかった買主をシャットアウトし、価格を下げざるを得ない状況に追い込まれてしまいます。
もし、不動産会社や担当者に不信感があるのなら不動産会社を変更することをおすすめします。
複数の不動産会社を一度に比較できる一括査定サイトなどを利用して、信頼できる不動産会社を選びなおしてみてください。
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担当者と信頼関係を築くことが大切!
不動産の値引き交渉は、不動産会社の担当者が行います。
そのため、担当者との信頼関係をしっかり築いておくことが大切になります。
担当者も人間なので「連絡を無視する」「横柄な態度をとる」といった売主のために、精一杯努力しようとは思えないものです。
仕事の取引先と同じように丁寧に対応し、信頼関係を築くことで、困ったときにあなたの力になってくれるはずです。
まとめ
いかがでしたか?
不動産売却の現場では、値引き交渉は当たり前のように行われます。
交渉をするときは気持ちに余裕を持って、冷静に対応することが大切です。
価格にこだわりすぎて売却のタイミングを逃さないように、柔軟に対応するのが一番です!
売主と買主がお互いに気持ち良く取引できるように、おおらかな気持ちで交渉に臨んでください。
この記事があなたのお役に立てれば幸いです。
ぶしつけに「いくらなら買いますか?」と聞いてしまうと、買主は「失礼だな」と感じてしまいます。
あくまでも「その価格では難しいけれど、どうしてもあなたに売りたい!」という気持ちを伝えてください。