【空き家所有者のための基礎知識】罰金もありえる特定空き家とは?
超高齢化社会に突入している日本では、増え続ける空き家が社会問題になっています。
- 所有している空き家を売るか迷っている
- 高い税金を払いたくない
- 更地にしないと売れないのかな?
- 早く空き家を売ってお金にしたい!
すでに空き家を所有していたり、近い将来に相続する可能性があると、さまざまな疑問や不安がありますよね。
空き家は、放置すると高額な税金を払うことになる可能性があります!
資産であるはずの不動産を”負”動産にしないように、早めに手を打つことが大切です。
この記事では、空き家の売却方法、税金に関する注意点について解説します。
こちらの記事で疑問をなくして、空き家の売却に取り組んでください!
空き家は社会問題
総務省が行った調査結果によると、2013年の全国の空き家の数は820万戸と7戸に1戸が空き家という状況になっています。
※実測地…総務省「住宅・土地統計調査」
※予測値…野村総合研究所
そして2033年の空き家数は2,150万戸と、住宅の1/3が空き家になると予測されています。
空き家ができる理由
空き家が増えている原因は、自宅を所有していた高齢者が亡くなったり、老人ホームへの転居などで住人がいなくなってしまうこと。
また、最近では空き家を持っていても固定資産税などの維持費、相続税、売却時の所得税がかかることから、親族がだれも相続をしたがらず放置されるケースなどかなり深刻化しています。
空き家の分類
電気・ガス・水道の使用状況などをチェックし、1年間生活状況がないと判断されれば空き家となります。
空き家は、以下の4つに分類されます。
- 売却用…販売中の空き家(不動産会社の管理)
- 賃貸用…入居者募集中の空き家(不動産会社の管理)
- 二次利用…別荘などの普段は使わない空き家(所有者の管理)
- その他…上記以外の空き家(所有者の管理)
所有者の管理が行き届かずご近所トラブルになったり、安全面・衛生面での問題が発生するなどの事例があります。
「その他の空き家」は過去20年で2倍以上に増えており、今後さらに急速に増加すると予想されます。
特定空き家とは
どんどん増え続ける空き家に対して、政府が対策を打ち出しました。
放置されているその他の空き家の中でも、「特定空き家」に該当すると罰金や固定資産税の値上がり対象となってしまいます。
特定空き家になる条件
国土交通省の「空家等対策特別措置法」では、特定空き家の判断基準が定められています。
- 倒壊等が著しく、保安上危険となるおそれのある状態
- 著しく衛生上有害となるおそれのある状態
- 著しく景観を損なっている状態
- 周辺の生活環境の保全を図るために 放置することが不適切である状態
4つのうちどれかに該当すると、特定空き家と判断されます。
特定空き家に認定されると・・・
特定空き家に認定されると、まず地方自治体から文書で忠告を受けます。
そして税金の控除などが適用されなくなり、高額な固定資産税を支払う義務が発生します。
また、周囲に悪影響を及ぼす恐れのある特定空き家に対し、自治体は対策を命じることができます。所有者がこの命令に従わない場合は、50万円の罰金を請求される可能性も出てきます。
特定空き家に認定されないようにするには定期的なメンテナンスをするしかありません。
もし将来的に住む予定がないのであれば、税金がかさむだけなので早めに売却した方が良いでしょう。
更地にしたほうが売れやすい?
空き家を売却するとき「更地にしないと売れないんでしょ?」という疑問がありますよね。
しかし、必ずしも更地にしなければならないということはありません。
更地にした方が良い場合と、しなくてもいい場合を見ていきましょう。
更地にした方が良い例
建物を解体し、更地として売りに出した方が良いケースを説明していきます。
更地の方が価格が高い
査定をするときに、建物あり・なしでどれくらい価格が変わるのかを調べてみてください。
たとえば、
- 建物ありの査定額 1,300万円
- 建物なしの査定額 1,600万円
上記のような価格差があれば、解体費用200万円をかけても更地にした方が良いという結果になります。
建物の劣化が激しい
古い建物には構造上の問題がたくさんあります。
- 雨漏り
- 歪み
- 傾き
- シロアリ
リノベーションをしても住めないと判断される物件の場合は、更地にして売却した方が早く売れる可能性があります。
売却に時間がかかると、その分価値が下がり維持費はかさんでいくので、長い目で見てできるだけ損失を小さくするように考える必要があります。
周りに新築が増え、古い家では売れる気配がない
周囲に新築物件が増えて、建物が周りの景観から浮いている場合は、なかなか買主が見つからないため更地にした方が売れやすいといえます。
こちらも、長く所有することになった場合の固定資産税の支出などを計算し、いつまでに売れれば損がないかを検討する必要があります。
更地にしない方が良い例
更地にせず、建物付きで売りに出した方が良い場合もあります。
その事例を見ていきましょう。
リノベーションやリフォームが可能
リノベーションは、新築では表せない雰囲気を醸し出すことができ最近注目を集めています。
更地にする前にリフォームまたはリノベーションを検討することも大切です。
リノベーションをすることで「味のあるおしゃれな家」になり、買主が見つかりやすくなる可能性も出てきます。
あなたにとってただ古かった建物が、新しい価値を持って生まれ変わるかもしれません。
更地にすると税金がはね上がる!
売りやすくするために更地にすることは良いのですが、注意しなければならない点もあります。
実は、1月1日の時点で家が建っている土地(住宅用地)は、その年の固定資産税が優遇されています。
【住宅用地の特例】
・小規模住宅用地(200㎡以下の部分)
…固定資産税1/6に、都市計画税1/3に減額
・一般住宅用地(200㎡を超える部分)
…固定資産税1/3に、都市計画税2/3に減額
つまり、解体すると住宅用地の特例から外れ、支払う税金が何倍にもなってしまうということ。
解体しても買主がみつからなければ、高額な負担となってしまうため注意が必要です。
信頼できる不動産会社を見つけて、解体時期や販売時期について相談すると良いかもしれません。
空き家を売却する手順
空き家を売却する流れについて説明していきます。
- 住宅ローンの調査
- 相場を調査
- 不動産会社選び
- 売却活動
- 売却条件の交渉
- 売買契約締結と引き渡し
具体的に、ひとつずつ見ていきましょう。
住宅ローンがあるか調査
土地や建物にローンが残っている場合は、ローンを完済しないと売却できません。
- ローンが残っているか?
- 残っている場合は売却したお金で返せるか?
まずはこれらについて確認しましょう。
土地の相場を調査
土地の価格は、地域によって大きく異なります。
ただ漠然と「いくらで売りたいなぁ」と思っていても、地域の相場と差があれば希望額での売却はかないません。
手元にどのくらい現金が残るかで今後のライフスタイルも変わってくるので、その地域のだいたいの相場を予測しておきましょう。
不動産会社を選ぶ
相場の予測がある程度ついたら、不動産会社を選びます。
査定は1社だけでなく必ず複数の不動産会社に依頼するのが鉄則。
建物付きの場合と更地にした場合、それぞれ査定してもらうとなお良いです。
不動産会社は行政処分を受けたことがなく、その土地の悪い部分もしっかり話してくれる担当者のいる会社を選んでください。
売却活動を始める
不動産会社が決まったら、解体の判断や売り出し価格を決めて売却活動を始めます。
売却活動は、チラシ、不動産ポータルサイト、レインズへの物件が掲載が、主な広告手段になります。
ご自身でもポータルサイトをチェックし、不動産会社からの報告を定期的に聞いて販売状況を把握し、時間が経っても売れない場合は対策をしていくことが大切です。
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購入希望者と条件の交渉
買主が見つかったら「買付証明書」または「購入申込書」という書類を使って、希望購入価格、支払い条件、引き渡し希望日などが買主側から提示されます。
このときに、値引き交渉などが行われます。
不動産会社を交えて交渉し、売主と買主が合意すれば契約成立となります。
売買契約締結と引き渡し
売主と買主の希望が合致したら売買契約締結をして引き渡しになります。
- 固定資産税等の精算
- 登記費用支払い
- ローン完済
- 抵当権抹消
- 所有者移転登記
- 仲介手数料の支払い
決済・引き渡し時に売主側の書類の準備に不手際があり、契約書通りに引き渡しができないと債務不履行になってしまう場合がありますので、書類などの準備は余裕を持って進めましょう。
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まとめ
いかがでしたか?
空き家を放置してしまうと、後々大きな問題やトラブルに発展してしまう可能性があります。
今回の記事のポイントは以下の通りです。
- 特定空き家を放置すると罰金対象になる可能性がある
- 状況により更地にするかそのまま売却するかを選択する
- 更地にすると払う固定資産税が多くなる
- 空き家売却の不動産会社は複数社を比較する
不動産を売却するためにはさまざまな手順があり、時間がかかります。
空き家を所有している方は、ぜひ早め早めに売却の準備を行ってくださいね。
また、自治体で行っている空き家バンクなども活用してみてください。
この記事があなたのお役に立てれば幸いです!